2025年2月18日

『すごいアイデア』今井裕平・著 vol.6662

【カンブリア宮殿に出演の著者、待望の処女作】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4396618298

わらしべ長者がお堂を出て、最初に掴んだものは、「わら」。

彼は、それをアブと結びつけることでおもちゃに変え、子どもの心を捉え、それがお金持ちへの道につながりました。

そう、お金持ちになるための必須科目は「アイデア」なのです。

本日ご紹介する一冊は、そのアイデアの公式を、気鋭のビジネスデザイナーがまとめた一冊。

著者は、100万本を超えるヒットとなったメモがわりに使えるリストバンド「wemo」、コクヨ初の賃貸住宅事業「THE CAMPUS FLATS Togoshi」、吸水スポンジタオル「STTA」、伊勢茶ボトルレンタルサービス「朝ボトル」などのヒットで知られる今井裕平氏。

「カンブリア宮殿」に出演して話題のビジネスデザイナーですが、これがどうやら最初の著書のようです。

本書では、「才能・センス・感性」に頼らない、再現性あるアイデアの「公式」を紹介しており、ダイソンやメルカリ、AKB48、ルンバなど、豊富な事例でこの「公式」を検証しています。

タイトルに『すごいアイデア』とありますが、本書が目指す『すごいアイデア』とは、「独自性」と「市場性」が両立しているアイデアのこと。

商品開発だけに偏らない、事業創出全般に通じるアイデア創出法が書かれており、起業家、経営者、事業開発の担当者はぜひ読んでおくといいと思います。

「アイデアは情報と情報の組み合わせ」と言われますが、現実にはそれだけでビジネスが生まれることはない。

本書を読めば、その理由が明確にわかると思います。

一度読んで「公式」をマスターすれば、かなりの確度で、アイデアを再生産できるようになると思います。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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アイデアの手順
(1)発想する:<独自性>の創出
(2)定める:<市場性>の要件化
(3)見極める:要件を満たす<独自性>の選択

精査すべき制約条件は「目的」「範囲」「資産」の3つに大別できる

<独自性>の定義
(1)競合と差異がある
(2)その差異が圧倒的に大きい

ルンバには従来の掃除機と決定的な違いがある。今では当たり前のように思われているが、それは「自動」であるということだ。(中略)もしあなたが掃除機メーカーの開発担当だったとする。上司に新しい掃除機を企画せよ、と指示されたらどのような掃除機を考えるだろうか。、そのときに「自動」という視点で発想することができるだろうか。おそらく、吸引力や軽さ、コードレスなど、「手動」を前提にした掃除機を企画するはずだ

新常識のシンプルな公式
A(常識)→B(新常識)

A(常識)とB(新常識)を対義語、つまり真逆の単語でシンプルに記述すること

メルカリ
BtoC→CtoC

パナソニック「ラムダッシュ パームイン」
持ち手:ある→ない(ヘッドのみ)
未使用時:仕舞う→仕舞わない

羽田空港国際線ターミナルにある「KIRI JAPAN DESIGN STORE」「日本人旅行者が海外にお土産を持っていくためのギフトショップ」

顧客数を増やすための最小限の要件
(1)[対象]:渇望者が発掘できる
(2)[認知]:認知させる手段がある
(3)[動線]:購入までの動線を描ける

顧客数を劇的増やすためには、「省く」や「滞りを解消する」で動線の最適化を試みても限界があることも多い

Amazonプライムは、一網打尽の模範例

wemoの事例
着眼点:Fashion→Function
アイデア:メモできるタトゥーシール
着眼点:使い捨てる→繰り返し使える
アイデア:ボールペンで書いて消せる
ウェアラブルメモ

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中小メーカーにとっては、103ページで紹介されている新素材「METALFACE」(透明樹脂素材を本物の金属に見せる特殊印刷)のマーケティング事例が参考になると思います。

アイデア本の多くは、「事業」の視点が欠けていることが多いのですが、本書はその辺もカバーした、ユニークな切り口の一冊です。

ぜひ、読んでみてください。

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『すごいアイデア』今井裕平・著 祥伝社

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◆目次◆

はじめに
序 章 アイデアづくりの原則
第1章 発想する--<独自性>の創出
第2章 定める--<市場性>の要件化
第3章 見極める--要件を満たす<独自性>の選択
補論:wemo--<独自性>と<市場性>の両立事例
おわりに--デザイン思考vs建築思考

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