2025年2月14日

『歩く マジで人生が変わる習慣』 池田光史・著 vol.6660

【これは傑作。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4910063412

本日ご紹介する一冊は、週刊ダイヤモンド編集部を経て、NewsPicks編集長、現在はNewsPicks CMO(Chief Media Officer)を務める著者が、「歩く」ことを思索した一冊。

一足の靴との出会いから、歩くことに興味を持った著者が、文明やテクノロジーの進化がもたらした変化に思いを馳せ、「歩く」ことの意味や効用、身体性の復権について考察した内容で、じつに興味深い読み物です。

ユヴァル・ノア・ハラリが『サピエンス全史』で投げかけた疑問、偉人たちがなぜ歩いていたか、スタンフォードでの実験、シリコンバレーで定着したウォーキングミーティング、歩きやすさと都市の関係、シューズビジネスの今とトピックが変遷し、最終的には、われわれ人間にとっての幸福論に帰る。

『サピエンス全史』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B071NVR71M

面白くて、一気に読んでしまいました。

本としてよくできているのは、論文が登場する箇所に、いちいち実験の概要が書かれていること。

「論文タイトル」「掲載ジャーナル」「掲載日」「実験場所」「研究内容」が一覧できるようになっていて、理解が深まるよう、工夫されています。

また、図や写真も効果的に使われており、まるで著者の「歩く」思索の旅にお伴しているような気分になりました。

座ることの弊害や、歩くことの効用を説いた本はありますが、本書のように、都市論や幸福論と交えて書いた本は珍しい。

歩くことで生産性を上げたい人、そもそも生産性などという世界とは離れて生きていきたい人、歩行と健康の関係について知りたい人、人類にとっての歩行の意味が知りたい人に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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テクノロジーや経済の未来は、いよいよこの視点、つまり人間の身体性という視点を抜きにしては語れない時代に突入していくんじゃないか、と直感するようになった。人間の幸せは、動物として快調かどうかにかかっている

「歩けば答えがひらめいた」という経験をしたことがある人は、少なくないはずだ。歩行と思考はつながっている

よく歩くことで、この海馬の体積の減少ペースを抑えられるどころか、逆に鍛え抜かれて大きくなることが明らかになったのだ

なんと本当に、歩行中の創造性スコアのほうが、座っているときのそれよりも、平均60%も高かった

シリコンバレーでは、とある工夫が、日常茶飯事のカルチャーとして半ば根付いているのだという。それが「ウォーキングミーティング」だ

いまではリンクトインの社員たちは、自転車専用の道を散歩しながら1on1をよく行っているという。その道は一周歩くのに20~25分ほどかかるため、30分の1on1に最適なのだ

その研究室の主は、宮崎良文・名誉教授と池井晴美・准教授。彼らは2004年から2018年の15年にわたって実施した実験から、都市歩行よりも森林歩行をした人のほうがストレスが低下することを解明した

なによりショッキングな事実は、長時間の座位が続くと、どんなに運動を増やそうとも、そのリスクを相殺するのは難しいということだ

所得格差ならぬ「活動格差(Activity Inequality)」が大きい国ほど、肥満率が高いことがわかった

活動格差が大きい国では、女性の活動量が男性に比べて著しく低いことが示された

WEFの2019年のレポートによると、歩きやすい都市の賃貸価格は、オフィスや分譲住宅において、実に35~45%のプレミアムが付いている

「目的に縛られているのは現代人だけですよ」

ハラリは言う。人々が時間とともに知能を高めたという証拠は皆無だ。狩猟採集民は農業革命のはるか以前に、自然の秘密を知っていた。なせなら、自分たちが狩る動物や採集する植物についての深い知識に生存がかかっていたからだ

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じつにエキサイティングな読書体験でした。

読めば、自分の生活を見直し、週末にシューズを買いに行きたくなること、間違いなしです。

ぜひ、読んでみてください。

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『歩く マジで人生が変わる習慣』池田光史・著 NewsPicksパブリッシング

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◆目次◆

はじめに
Step1 脳のこと
Step2 身体のこと
Step3 街のこと
Step4 足のこと
Step5 靴のこと
Step6 自然のこと
おわりに
謝辞

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