【最強の知的生産本】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478120676
本日ご紹介する一冊は、ベストセラー『限りある時間の使い方』のオリバー・バークマンが激賞し、NYタイムズのベストセラーとなった知的生産本。
『限りある時間の使い方』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0B314CCMH
著者は、日本ではまだあまり知られていませんが、仕事術分野で絶大な人気のカル・ニューポート氏。
翻訳を、『限りある時間の使い方』や『エッセンシャル思考』『エフォートレス思考』を手掛けた高橋璃子氏が手掛けています。
『エッセンシャル思考』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4761270438
『エフォートレス思考』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4761275812
これまでにも、知的労働のための時間管理本をたくさん紹介してきましたが、これはそのなかでもトップ3に入る注目作です。
冒頭で著者が指摘するのは、知的労働における「生産性」の定義の怪しさ。
それを指摘するために、「プロローグ」では、ニューヨーカー誌の専属ライターであるジョン・マクフィー氏が、「伝説の記事」を書き上げた時のエピソードを紹介しています。
ジョン・マクフィー氏は、原稿に着手してから何もできないまま2週間を過ごし、その時頭に浮かんだ森に住む72歳の男性、フレッド・ブラウン氏をストーリーの中心に据え、歴史に残る記事を書き上げました。
著者はここから、知的労働における真の生産性とは何かを考察し、最終的にスローワーキングの「3つの原則」に辿り着きます。
その3つの原則とは、以下の通りです。
1.削減 やるべきことを減らす
2.余裕 心地よいペースで働く
3.洗練 クオリティにこだわり抜く
本文では、これら3つを実現するための考え方や戦略、タスク処理のヒントを提示しているのですが、これがまた秀逸です。
変に仕事を振られないための「逆タスクリスト」方式(仕事を振る側にコストを負わせる)や、プル方式のワークフロー(空いている人が仕事を取りに来る)、「保留ボックス」と「実行リスト」でタスクを管理する方法、新たな仕事を依頼された時の「インテーク通知」などは、今すぐ採用したい、優れた手法だと思います。(「インテーク通知」のメール例は、これだけで1万円払ってもいいぐらい価値のある内容です)
特に、編集者や著者、フリーランスの方にとっては、仕事を超効率的にし、本来取り組むべき質の高い仕事に集中する、良いきっかけになると思います。
PCもスマホも、リモートワークのためのあらゆるツールも、戦略なしに使っては、真の生産性に貢献しない。
スケジュールいっぱいに仕事を詰め込むことをやめ、本気で「人生の作品」に取り組むために、ぜひ読んでおきたい仕事術です。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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新しい仕事を引き受けるたびにあらかじめ必要な時間を見積もり、仕事の予定時間をすべてカレンダーに登録する
誰かに小さな仕事を振られたら、「タスクリストに追加してください」と指示する
誰かが新しいプロジェクトを投げてきたら、とりあえず保留ボックスに突っ込んでおこう。保留ボックスは充分に大きいので、プロジェクトの数に制限はない。一方、実行リストに入れるプロジェクトは、最大でも3つに絞り込もう
インテーク通知に含める情報
1:プロジェクト着手までに必要な詳細情報の提供依頼
2:自分が現在抱えているプロジェクト数
3:今回引き受けた仕事の完了時期の見積もり
偉人たちは特定の短期間ではなく、生産を通じて何を生みだすかに関心があった
農耕民の働き方が単調で途切れなく続くのに対して、狩猟採集民のスケジュールは変化に富んでいる。労働の合間に長い休憩が差し挟まれることも多い
最初に「これぐらいかかる」と感じた期間の、ちょうど2倍の期間で見積もる
1日のスケジュールを無理のないものにするために、2つのことを提案したい。
(1)スケジュールするタスクの数を減らす
(2)カレンダーの余白を多く確保する
月曜日には、会議を入れるのをやめよう
ベースキャンプの面白い方針のなかに、仕事を「サイクル」単位で回すというものがある。ひとつのサイクルの長さは6~8週間で、そのあいだメンバーは明確かつ緊急の目標に集中する。そして各サイクルが終わると、2週間のクールダウン期間が設けられる ※ベースキャンプはソフトウェア開発会社
ケルアックは3週間で一気呵成に書きあげただけでなく、長いロール状の紙をタイプライターにセットし、髪の入れ替えによって思考が中断されないようにしていたという
ホームオフィス(兼務室)の外で洗濯かごの前を通りすぎるとき、脳は家事の文脈にシフトしてしまい、本来やるべき仕事に集中するのが難しくなる。これは人の脳が連想によって動くからだ
大事な仕事をするために、自分だけの個人的な儀式を作りだすこと。次に、メンタルを効果的に鼓舞するために、その儀式に思いきった要素を取り入れることだ
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知的生産術の本としては、この10年でトップ3に入るぐらい読み応えのある、実践的な内容でした。
仕事を減らすだけでなく、質の高い知的生産をするための秘訣が書かれた、現代人必読の一冊です。
ぜひ読んでみてください。
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『SLOW 仕事の減らし方』カル・ニューポート・著 高橋璃子・訳 ダイヤモンド社
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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478120676
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◆目次◆
プロローグ
パート1 ニセモノの生産性
第1章 生産性のウソを暴く
第2章 もっといいやり方を見つける
パート2 仕事の減らし方
第3章 削減 やるべきことを減らす
第4章 余裕 心地よいペースで働く
第5章 洗練 クオリティにこだわり抜く
エピローグ
謝辞
原注
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