【ヤマザキマリ&ラテン語さんが選ぶ、65の名句】
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本日ご紹介する一冊は、『テルマエ・ロマエ』で知られる漫画家・随筆家のヤマザキマリさんと、Xでラテン語の魅力を毎日発信しているラテン語研究者「ラテン語さん」の対談企画。
2人が選んだ人生に効くラテン語の名句を計65紹介しており、選んだ名句についてそれぞれが語る、という内容です。
ラテン語さんが、dimidium factiqui coepit habet「物事を始めた人は、その半分を達成している」というホラーティウスの言葉を紹介すれば、それに対してヤマザキマリさんが漫画の執筆に例えて話を膨らませる。
おそらくラテン語Lover同士の、目に見えない絆があるのでしょう。シンプルな名句から、驚くほどディープな仕事やプライベートの話まで深掘りされており、これは面白い対談だと思いました。
ラテン語さんの人間性や、ヤマザキマリさんの恋愛遍歴や留学の話、創作の裏話などは、出版に興味のある方なら、誰もが興味を持つ内容だと思いました。
紹介されている名言は、前述のホラーティウスのほかに、オウィディウス、キケロー、エンニウス、ウェルギリウス、プリニウス親子など。
エピキュリアン(快楽主義者)だったカエサルに対するキケローの「燃費の悪い」生き方や、ウェルギリウスの勇気にまつわる3つの格言、ホラーティウスの「有益を快楽に混ぜるものが全票を獲得する」など、善く生きるための知恵が書かれており、勉強になります。
人生を始めたばかりの少年が読んでも、金儲けしたい青年が読んでも、何かで躓いた中年が読んでも、余生の指針を求める高齢の方が読んでも、何かしらヒントが得られる一冊だと思います。
ラテン語に詳しい二人だからこそできる、ディープなラテン語解説もあって、とても楽しめる一冊でした。
いつまでやっているかわかりませんが、Amazonで買った人には、DL特典として、スマホ壁紙5種が付いてくるらしいです。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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ボーナス、モニター、アルバム、オーディオ、といったラテン語は、その多くが戦前戦後、英語などの外国語経由でもたらされた言葉です。もともと英語だと思っていた外来語が、実はそのまま古代ローマ時代から存在していたラテン語だということは、なかなか知られていません(ヤマザキマリ)
dimidium facti qui coepit habet
「物事を始めた人は、その半分を達成している」という言葉が、ホラーティウスにあります(ラテン語)
漫画という作業のし始めが実はとても大変で、要するに白い原稿用紙にネームという絵コンテを描くのだけれど、それが一番大変なんです(ヤマザキマリ)
ira furor brevis est
「怒りは短い狂気である」(ホラーティウス)
nil admirari なんですが、ホラーティウスは何事にも驚かないこと、それが人が幸せになり幸せであり続ける「ほとんど唯一の方法」であるということを言っているんですね(ラテン語)
aequam memento rebus in arduis servare mentem「困難な状況において冷静を忘れるな」はまさにギリシャ哲学に傾倒したホラーティウスならではの言葉(ラテン語)
carpe diem 「一日を摘み取れ」
文脈を読むと、一日の実を摘み取れ、つまり一日一日を目いっぱい楽しめという解釈になると思う(ラテン語)
知性は、怠惰を覚えると、どうしてもそっちに持ってかれちゃうんですよね。運動が面倒くさい、というのと同じです。でも、長生きのために肉体の健康ばかりを慮っていたら、人間は簡単に野蛮化してしまう(ヤマザキマリ)
親しくしている年配の友人も、誰でもいいから幅広く付き合う、というのは50代をピークに清算されるようになっていく、と言っていましたし、自分の現場を見てみてもまさにその通りだと思います(ヤマザキマリ)
multa docet fames
「飢えは多くのことを教える」
facit indignatio versum
「怒りが詩を作る」
怒る人が消えてしまうと社会がダメになる話じゃないけど、毒素だと思えるものとも共存していかないと、健全な人間社会にはならないでしょう。とにかく、無菌室のなかで人に天才と思わせるような発想は生まれません(ヤマザキマリ)
omne tulit punctum qui miscuit utile dulci
「有益を快楽に混ぜるものが全票を獲得する」
(ホラーティウス)
vita si scias uti longa est
「人生は使い方がわかっていれば長い」
(セネカ)
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紹介し切れないくらい良い言葉が並んでおり、またそれにちなんだ二人の対話、エピソードも面白い。
名言自体は有名なものが多いですが、二人がその言葉をどう受け止めたか、人生でどう役立てたかが読みどころです。
ぜひ読んでみてください。
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『座右のラテン語』ヤマザキマリ、ラテン語さん・著
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◆目次◆
はじめに ヤマザキマリ
第1章 人生と友情
第2章 芸術家のエネルギー
第3章 恋愛指南
第4章 ラテン語の表現世界
第5章 生き方について
第6章 為政者たちのラテン語
第7章 歴史の教訓
おわりに ラテン語さん
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