【生涯現役でいたい人に】
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一時期、リスキリングに関する本が山ほど出ていましたが、最近、すっかり話題にならなくなってしまいました。
土井が思うに、その理由は、われわれが以前の仕事やスキルにアイデンティティを重ねてしまっているからだと思います。
本日ご紹介する一冊は、そんなわれわれが、どうやって自己を変革していくか、ヒントをまとめたNYタイムズベストセラー作家陣大絶賛のベストセラー。
著者は、健康、ウェルビーイング、ピークパフォーマンスの維持に関する研究者、作家、コーチのブラッド・スタルバーグ氏。
サブタイトルに「最新研究が実証する最強の生存戦略」とありますが、本当に研究結果に基づいて、われわれが自己を再構築する方法を書いています。
本書によると、大人は平均で36回も“人生を揺るがす出来事”を経験するらしく、混乱を経験することなく、人生を終えることは基本、無理なようです。
であれば、変化や混乱を受け入れ、それに対応する方法や心構えを学んだ方がいい。
本書には、そのための賢明な考え方が書かれています。
なかでも興味深かったのは、「賢明な希望」と「賢明な行動」の話です。
われわれの脳は、予測する存在らしく、その予測をもとに現実を評価している。
つまり、適切に予測する技術がないと、勝手に失望してしまい、賢明な行動が取れなくなるということです。
変化が訪れている時に、古いものに固執するのではなく、状況に応じて自分を変えていく。
本書では、それができた人物の例として、マフィアの運転手からハリウッドの一流スタント・ドライバーになったジョージア・デュランテ、プレースタイルやラケットを変えて復活し、41歳まで現役を続けたテニスプレイヤーのロジャー・フェデラーの例が出てきます。
どうすればわれわれが現実の変化を正しく捉え、それに応じて自分を変えていけるか、重要なヒントが示されています。
リスキリングの本を読んでも結局変われなかった、という人に、心理的な面からのアプローチを教えてくれる、良い本だと思います。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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調査によると、大人は平均で36回も“人生を揺るがす出来事”を経験するという。18か月に一回の割合だ
変化を今までとはまったく異なる視点で捉えて対応する方法--わたしはこれを“ぶれない柔軟性”と名づけた
混乱が起きると、生命システムは安定性を求め、最終的に新しい形での安定性にたどり着く。スターリングとエアは、このプロセスを“アロスタシス”と名づけた。アロスタシス(allostasis)は、ギリシャ語の“allo(「異なる」の意)”と“stasis(前述したが「立っている」の意)”を語源とする
ホメオスタシスが「秩序→無秩序→秩序」というパターンを特徴とするのに対して、アロスタシスは「秩序→無秩序→再秩序」を特徴とする
自分自身を何度も再構築することで、強くて耐久力のあるアイデンティティを維持している
無我とは、不変の我は存在しない、つまり自分だと認識するもの(我)は常に変化するという意味だ
生きることは失うことだ。そして確実に失うとわかっているからこそ、人生はより有意義なものになる
「非現実的なまでに高い期待を抱くと、失望して人生の満足度が下がりやすい。デンマーク人は満足度がきわめて高いが、彼らはそもそも多くを期待していない」(南デンマーク大学の疫学者たちの論文)
ぶれない柔軟性を身につけるうえでもっとも重要なことは、適切な期待を定めることだ
悲痛な状況下での楽観主義で人生に向き合う人--特に、変化や困難に何度も遭遇すると予測している人--は、身体的にも精神的にもストレスに強い
「賢明な希望」と「賢明な行動」にコミットする
何かに打ち込むあまりにそれをアイデンティティと混同すると、不安やうつ病、燃え尽き症候群に陥りやすくなる
今日意志を貫いてわずかでも生産的な行動を取れれば、ワクワク回路が有効になり、明日も同じような生産的な行動を取りやすくなる
あきらめることで進むべき道が見えてくる
ルーティンがあると、一日の流れが確実に予測できるし、混乱のさなかでも秩序が保たれているような感覚になる
一番いい方法は、強い自己鍛錬と強いセルフコンパッション(自分への思いやり)の合わせ技だ
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ギリシャ語を学んでいた土井としては、「allostasis」の“allo”の訳は、「異なる」よりも「もう一つの」の方がしっくりくる気がしました。
混乱期に自分をアップデートし、もう一次元上の自分になる方法が書かれています。
ぜひ読んでみてください。
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『変わりつづける人』ブラッド・スタルバーグ・著 福井久美子・訳 ダイヤモンド社
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◆目次◆
Introduction ぶれない柔軟性
PART1 柔軟でぶれないマインドセット
第1章 人生の流れに心を開く
第2章 困難を想定する
PART2 柔軟でぶれないアイデンティティ
第3章 流動的な自己認識を育む
第4章 柔軟でぶれない境界線を築く
PART3 柔軟でぶれない行動
第5章 主体的に対応する
第6章 意味を見出し前進する
おわりに
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