2023年3月23日

『フィナンシャル・タイムズ式図解の技術』アラン・スミス・著 濱浦奈緒子、深町あおい・訳 vol.6201

【これぞプロのデータの見せ方】
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本日ご紹介する一冊は、フィナンシャル・タイムズ(FT)紙のビジュアルデータ・ジャーナリズム部門長であり、FT紙上でコラム「チャート・ドクター」を執筆、TEDトーク「統計を好きになるべき理由(Why you should love statistics)」が200万回以上再生されている、アラン・スミス氏による、図解の技術。

世界屈指の経済紙であるフィナンシャル・タイムズで実際に使われている図解テクニックを解説したもので、これは勉強になります。

図解表現の技法は全部で9つあり、それぞれの場合にどんなグラフを使えばいいか、勘所も含めて丁寧に解説されています。

FT式図解表現の9技法
・量を比較する
・時系列変化を表す
・相関関係を表す
・分布を見る
・流れを表す
・ランキングを表す
・へだたりを見せる
・割合と構成要素を表す
・地図を使った表現

政治・経済のニュースで頻出するグラフの作り方が書いてあり、ビジネスパーソンがマスターしたら、ビジネスで求められるほぼすべてのケースに対応できると思います。

本書が優れているのは、模範的な図解表現だけでなく、あえて悪い見本も見せて、どうすれば改善できるのか、どのグラフを選択すればベストなのかを示している点。

通読すれば、自分の狙いに合った適切な図解表現ができるようになると思います。

図を見せられないのがもどかしいですが、さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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図解は「関係性」を見せるためにある

優れた図解は通常、すべての数字を表示するようなことはしない

「積み上げ棒グラフ」で構成比率を示す

データセットのなかの巨大な値を処理する方法のひとつが、対数スケールを使って図解を作成すること

比例シンボルチャートは棒グラフよりも注意を引きやすく、どんな値も比較できる

ドットを使って、個別の値を強調する--グループシンボルチャート

アイソタイプ(国際絵言葉)を使って心理的インパクトを与える

「ドットプロット」でふたつの情報を比較する

ハリネズミチャートで過去に外した予測も見せる

比較対象を前面に出せば、データが多くても伝わりやすくなる

折れ線のかわりに色の濃淡で時系列を見せる--カレンダー・ヒートマップ

サークルタイムラインを使って、個々のM&A案件を目立たせる

「日付」と「長さ」に注目したいときは--プリーストリー・タイムライン図表(年表)

ストリームグラフで構成要素の変遷を見せる

量を見せつつ、構成要素の変遷も見せるには--積み上げ面グラフ

バーコード・プロット
値どうしが近くに集まっているときに分布が見やすい

スロープ・チャートなら、異なる時間軸のランキングを同時に見せられる

対立する意見のデータを表すときは、対称棒グラフが使える

階層ごとに割合と構成要素を示すには--陽光チャート

指数関数的な成長は対数スケールだと見やすい

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棒グラフよりも注意を引きやすく、どんな値も比較できる「比較シンボルチャート」や、異なる時間軸のランキングを同時に見せられる「スロープ・チャート」、現代の図解よりも優れているウィリアム・プレイフェアの折れ線グラフなど、あまり紹介されないマニアックな図解表現も紹介されており、初心者から上級者まで、幅広く読める内容だと思いました。

コミュニケーションの目的は相手を動かすことだと思いますが、本書は相手を動かす図解の技術を紹介した、ビジネスパーソンのためのコミュニケーションバイブルだと思います。

ぜひ、読んでみてください。

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『フィナンシャル・タイムズ式図解の技術』アラン・スミス・著
濱浦奈緒子、深町あおい・訳 ダイヤモンド社

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◆目次◆

まえがき
第1章 学校では教えてくれなかった「データの見せ方」講義
第2章 なぜ図解が重要なのか
第I部 フィナンシャル・タイムズ式 図解表現の9技法
第3章 図解の共通認識があると、思考の質が変化する
第4章 量を比較する
第5章 時系列変化を表す
第6章 相関関係を表す
第7章 分布を見る
第8章 流れを表す
第9章 ランキングを表す
第10章 へだたりを見せる
第11章 割合と構成要素を表す
第12章 地図を使った表現
第II部 フィナンシャル・タイムズ式 視覚化の科学
第13章 図表はどのように読み取られるか
第14章 「軸」が知覚を歪ませる
第15章 自然と目を引く「図表タイトル」の書き方
第16章 デザイナーでない人のための図解デザイン入門
第17章 不確実性を図で表す
第18章 「図解の言語」が職場の思考力を上げる
謝辞

索引

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