【ルービックキューブ発明者、初の自伝】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334962548
本日ご紹介する一冊は、全世界で10億人以上が遊んだとされる、「ルービックキューブ」の発明者、エルノー・ルービック氏による初の自伝。
航空機の設計士として有名なハンガリーの英雄、エルノー・ルービック・シニアを父に持ち、発明家、建築家、建築学教授、図法幾何学の専門家…、とさまざまな顔を持つ著者が、どのような幼少期を送り、どうやって知的好奇心や創造性を育んでいったか、どうやってこの奇跡の玩具を思いついたのか…。
哲学的な話や幾何学の話、著者の人生哲学なども交えながら、興味深いエピソードが披露されています。
問題解決能力や創造性を伸ばすにはどうすればいいか、ロングセラー商品に必要な考え方やデザインとは、そして途方もない成功を収めながらも幸福でいる方法とは…。
このコンパクトな本から、人生で大切なものが少なくとも3つは見つけられる、そんな贅沢な一冊です。
知的な文章のため、幾分読むのに骨は折れますが、文章に慣れたら、あとはワクワクがずっと続く、知的好奇心あふれる内容です。
途中で紹介される偉人たちの名言も、人生で何か創造的なことを成し遂げたい読者に、ヒントを与えてくれると思います。
お子さんの創造性を伸ばしてあげたいと考える親、教師にも、ぜひおすすめしたい一冊です。
さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
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矛盾は解消すべき対立ではなく、受け入れるべき対比的要素だと思う。矛盾し相容れないことに苛立つより、斬新な組み合わせを試してみる材料として矛盾を捉える方がいい
わたしたちにとってパズルは、祖先にとってそうだったのと同様に、潜在的な創造力を引き出す道を指し示すものだ。好奇心があれば、周りに存在するパズルに気づくだろう。そして気づけば、解こうとするだろう
動物界の他の種も大半が「What?」「Where?」という問いを抱く。食べられる側でも食べる側でも、これは生死に関わる問いだ。同時に、人間に近いサルをはじめとしたごく僅かな種だけが「How?」への答えを追求する。そして道具を作るようになる
変化を起こす方法は二つある。これまでの問いに対する新しい答えを見つけるか、これまで問われることのなかった新しい問いを見つけるか
標準化されたテストで真の知性を測れるのか? できないのは明白だ。一方、問題に対する創造的な解決法を導くのは、想像力だ
わたしたちが本当に測れるのは、子どもたちがスキルを向上させるために重ねてきた努力だけなのだ
初めておもちゃショーに参加したとき、わたしは他のほぼ全ての「おもちゃ発明家」と重要な共通点を持っていることに気づいた。それぞれ違う本業を持ち、それで生計を立てているという点だ
人間の資質でわたしが最も素晴らしいと思うのは、現実から抽象性を生み出し、現実を伝えるためにその抽象性を用いる知力があることだ。アインシュタインは光でそれを行った。キュレネのエラトステネスは地理学で行った
創造的な変化は既存のネットワークにある要素を配置しなおすことで起きる。既存のネットワークの豊かさを認識し、そこから新しい解放のために必要な要素を引き出すことが、創造的なプロセスにおける非常に価値ある資産となる
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創造性を発揮して活躍する人の条件、国境や時代を超えて愛されるロングセラー商品の秘密が、おぼろげながらわかった気がします。
また、人生や仕事において求められる問題解決力を高める秘訣についても、たくさんヒントが得られました。
ビジネスパーソンにオススメなのはもちろんですが、ぜひ、学校の推薦図書にして欲しいと思います。
ひさびさに「買い」の一冊が出ましたね。
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『四角六面 キューブとわたし』エルノー・ルービック・著
久保陽子・訳 光文社
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334962548
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◆目次◆
はじめに
1
2
3
4
5
6
著者たちへのインタビュー
訳者あとがき
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