2019年5月23日

『歴史からの発想』堺屋太一・著 vol.5278

【故・堺屋太一氏が遺した名著】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532192161

本日ご紹介する一冊は、故・堺屋太一氏による『歴史からの発想』。

アマゾン時代に読んでいた本ですが、BBMでの紹介はなかったので、ご紹介することにしました。

堺屋氏は、当時世界一の集客数を誇った大阪万博の仕掛け人であり、元通商産業省(現・経済産業省)の官僚。

土井も生前、2度ほどお会いしていますが、その歴史観には、毎回目からウロコが落ちたものです。

本書を読んで気づくことは、未来予測の達人だった堺屋氏が、「技術」「人口」「資源」の変化に着目していたということ。

移り変わるこの3つの視点に、変わらない「人間の本性」を加えれば、予測はより精度を増すということです。

この「はじめに」で、歴史の読み方を学ぶだけでも、本書を読む価値があるでしょう。

本書がユニークなのは、第1章が「戦国時代」からスタートすること。

氏によれば、戦国時代というのは、足利幕府の体制が老朽化していた時代。中央が力を失い、地方が経済力・軍事力を持って自立した結果、「実力主義」「下剋上」の戦国時代が登場したというのです。

何だか現在に似ていますね。

第2章は、日本史に学ぶ「組織」と「人間学」ということで、豊臣秀長を論じています。読者は、ここを読むことで、日本的組織における処世術を学べると思います。

そして第3章は、世界帝国を築いたジンギス・カンの画期的発想。なぜジンギス・カンが東西を統合させることに成功したのはなぜなのか、その理由がわかると思います。

さっそく、いくつかポイントをピックアップしてみましょう。

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旧体制の破綻と現実の混沌の中で新しい時代が生まれるのは、歴史が繰り返し教えるところだ

歴史は、特定の環境に過剰適合することの危険を教えている

技術や人口、資源に関する変化は常にあり、かつ不可逆的なのだ

技術や人口や資源の情況は変化しても、もう一つの歴史の要素である人間の本性はそれほど急激に変わることはない

時代により地域によって、価値観は違い欲望の対象は異なる。だが、欲するものを求める場合の行動、忌み嫌うものから逃れる方法には共通性がある

人間は、いつの時代、どこの地域でも、「豊富なものを沢山使うのは格好のよいことだ」と信じる美意識を持つ。これまた、歴史の示す人間性の一端である

「戦国」とは自由競争社会

乱世においては「下剋上」は必然的方向なのだ。そして一旦それが起ると、伝統や家格の値打ちは急速に失われ、ますます下剋上が起りやすくなる

自立化する豪族たちをまとめていくためには人間的迫力と周旋の才がいる。一族郎党の信頼を保つには人望と自制が必要だ

「戦国時代」中期になると、主家をお飾りにして実力を振るう簒奪者が続出する

彼ら、「国盗り」たちの処世と才能には、財閥解体や創業者の追放中に社長となり、いつの間にか人脈を固めてオーナー然と居座った企業エリート出の戦後社長の面影がある。しかし、この種の国盗りで「戦国時代」のあとまで家の続いた者は意外と少ない

豊臣秀長に学ぶ、名女房役4つの条件
1.ナンバー1の可能性を持っていないナンバー2であること
2.自分の名でものごとをしないということ
3.ある段階まで事を進めたら、最後のツメはナンバー1に譲る
4.みんなが手柄を立てたがるときに陰に回れる

ジンギス・ハンが世界帝国を築いた3つの画期的発想
1.大量報復戦略 2.秘密警察 3.宗教の自由

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ひさびさに読みましたが、やはり堺屋さんの歴史本はいいですね。

これを機に、未読の他の本も読み漁ってみようと思いました。

じつは本書の「戦国時代」の部分は、氏がこれをさらに3つに分けているのですが、これによると、現在の日本はおそらく「中期」。

となれば、この後は「後期」になるわけで、ここが読めていれば、美味しいことになるような気がします。

ぜひ買って熟読していただきたい一冊です。

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『歴史からの発想』堺屋太一・著 日本経済新聞出版社

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◆目次◆

文庫版まえがき
はじめに
第1章 知の宝庫「戦国」を読む
超高度成長期「戦国時代」
第2章 日本史に学ぶ「組織」と「人間学」
第3章 中国史──万古不変の知恵
「世界帝国」を築いた三つの発想

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