2017年11月25日

『電車をデザインする仕事』水戸岡鋭治・著 vol.4872

【「ななつ星in九州」デザイナーの仕事論】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/482071886X

本日の一冊は、「ななつ星in九州」、883系特急「ソニック」、72系気動車特急「ゆふいんの森(三世)」、885系特急「かもめ」、岡山の路面電車「MOMO」、高速船ビートルなどのデザインを手掛けた日本を代表するデザイナー、水戸岡鋭治さんによる仕事論です。

以前、何かの雑誌で、水戸岡さんとジウジアーロさん(イタリアの鉄道やクルマのデザインで有名)が並んで紹介されているのを見て、「日本にもこんなカッコいいデザイナーがいたんだ」と驚き、ずっと興味を持っていましたが、本はなぜかずっと本棚にささったまま、読めずにいました。

今回手に取ろうと思ったのは、先日講演で大分を訪れ、博多⇔大分間の「ソニック」に乗ったのがきっかけ。

外見がカッコいい、スペックが高いというのを超えた「上質な体験」をし、氏はここまでデザインしていたのか、と感銘を受けたからです。

そして、実際に本を読んで氏のデザイン論を確認した時、土井が体験したものは、まさしく氏が意図したものだとわかりました。

これを大分講演の前に読んでいれば、大分県立芸術文化短期大学のみなさんに、もっと良い話ができたのに、と悔しくてなりません。

そして、前回の出張は岡山と大分だったのですが、この水戸岡さんは岡山出身でJR九州と長らくお仕事をしている方なのです!嗚呼!

せめてもの罪滅ぼしに、今日はいつもより、バッチリ赤ペンチェックをさせてください。

いつもよりボリュームが多くても、気にしないでくださいね。

それでは、さっそく赤ペンチェックです!

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人は、自分のまわりの環境に影響を受けるものです。質の高い空間で過ごすと、それにふさわしい姿であろうとします

『売らんがためのデザインではなく、使うためのデザイン、「美しい」ではなくて「正しい」デザイン』

私はいつもデザインをはじめるときに「今の時代に生きる人が何を求めているのか」をよく観察します。その答えのひとつが「素材」です

私が新しいデザインを考えるときにしていることは「思い出を探すこと」です。新たな発想はひらめきではなく、そのデザイナーがこれまでに体験した「楽しかった、心に残っている思い出」から生まれてくる

与えられたテーマからストーリーを描くことがデザイナーの仕事

本来、大人がするべき最大の仕事は子どもに感動を与えることです。だからこそ、私たちデザイナーは、子どもに感動を与えるような空間を生み出さなければならないと常に考えることが大切だと思います。それがやがて、私たち日本人の個々における五感が磨かれていくことにもなると思うからです。車両にしても街並みにしても、手間暇をかけた最高レベルのものを大人が本気でつくれば、子どもたちは必ず何かを感じるはずです

どんな素晴らしい伝統や文化があったとしても、その時代における人たちが理解できるデザインで表現しなければ理解されません

私のモノづくりのメッセージとしては子どもとお年寄りを喜ばせることを念頭に置いています

私が車両デザインをするとき、旅という時間と環境をデザインすることからスタートします。つまり、「列車での旅をどう過ごすのか」という問いかけからすべてがはじまるわけです

入り口と出口の間を埋める細かな部分に思いを込めて本気で手間暇をかけることがデザインであり、それを大切に生かしていくことが大げさにいえば「文化」なのではないでしょうか

専門家、玄人が最高の人・事・ものでないと、次の世代は育たない(人間国宝・松田権六の言葉)

デザインには「特注感」がなくてはいけない

人間はこの不都合を受け入れれば受け入れるほど、能力が伸びていきます。都合の悪いことを克服することで、それまでの自分にはなかった発想やスキルが身についていくからです

私がいつも使っている言葉で「米仕事」と「花仕事」というものがあります。企業人としての稼ぎ仕事を米仕事、これに対して社会人としての務め仕事(公共や自分に繋がる仕事)を花仕事といいます(中略)日本では経済重視の「企業戦士」が多く、圧倒的に米仕事が多いのですが、私はできるだけ文化を持ち込んだ花仕事をしていきたいと考えています

お客様が座る椅子というものは車両をデザインするうえではとても重要な役割を担っています。なぜなら、それぞれのお客様が唯一専有できるものが椅子で、あとは公共のスペースになっているからです

期待値を超えれば、大事にされる

世の中には「不平等」と思えることがたくさんありますが、その大半は自分の努力や経験不足による不平不満だと私は思います

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この本は、前半が著者のデザイン論・仕事論。後半は著者が手掛けた車両の紹介・解説となっています。

読み終わった後、自分は著者のように、ここまで誇りを持って、熱く、楽しそうにこれまでの自分の仕事を語れるだろうか、と疑問を抱きました。
(誇りに思える仕事ももちろんありますが、半分くらいかもしれません)

この本を通じて、仕事とは、未来の社会のために、そして未来の自分のためにするものだと強く感じました。

未来に誇れる仕事をする。

本書を読んで、これからの仕事のやり方の指針ができました。

デザイナーに限らず、すべての仕事人におすすめしたい一冊です。

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『電車をデザインする仕事』水戸岡鋭治・著 日本能率協会マネジメントセンター

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◆目次◆

Part1 プロデザイナーとしての心構えと仕事術
第1章 総合的で創造的なデザインをめざす
第2章 デザインの基本、デザイナーの原点
第3章 日本の良さを活かすデザイン
Part2 デザインの現場
第4章 鉄道デザインの裏側
第5章 公共デザインの裏側

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