2016年5月24日

『手書きの戦略論』磯部光毅・著 vol.4326

【必読。7つの戦略論】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4883353540

東日本大震災以降、マーケティング本にとっては不毛な時代が続きましたが、ここに来て、面白いマーケティング本が出始めています。

なかでも、先日ご紹介して大反響を呼んだ、USJのCMO、森岡毅さんによる『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』、そして本日ご紹介する『手書きの戦略論』は、秀逸です。

※参考:『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4041041414

ちょっと前にご紹介した『クール 脳はなぜ「かっこいい」を買ってしまうのか』も、マーケティングの重要なヒントになる書籍で、やっとマーケティング書が盛り上がってきました。

※参考:『クール 脳はなぜ「かっこいい」を買ってしまうのか』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532356911

なぜここまで不毛な時代が続いたかというと、おそらくはそれ以前のマーケティング戦略が効かなくなっていたから。

なかでも、従来通り広告を打ってコピーで売る、という単発のモデルは、今ではもう厳しくなっています。

そこで読んでおきたいのが、最近の潮流も踏まえて書かれた、この『手書きの戦略論』。

サントリー「JIM BEAM」「ザ・プレミアム・モルツ」「伊右衛門」トヨタ自動車「G’s」、ダイハツ「タント」など、名立たる企業のブランドコミュニケーション戦略を担ってきた著者、磯部光毅さんが、今求められる「7つのコミュニケーション戦略」を説いています。

広告の歴史を踏まえ、丁寧に書かれており、実際の広告例についても、写真付きで紹介があります。また、実務に携わっていた人しか気づかない盲点についても、きちんと言及しており、実践的です。もし土井がいまも大学で教鞭をとっていたら、間違いなく教科書に採用したでしょう。

さっそく、ポイントをチェックして行きます。

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◆7つの戦略論
・ポジショニング論
(お客さんの頭の中で、競合と違った位置づけを得る)
・ブランド論
(お客さんの頭の中に、そのブランドらしさの連想構造をつくり、記憶に残す)
・アカウントプランニング論
(お客さんの隠された本音を探りあて、動機づける)
・ダイレクト論
(お客さんの直接的な反応を受け止めながら、長期的な関係をつくる)
・IMC論
(お客さんとの複数の接点をつなぎ、最適なメッセージ、施策を出し分ける)
・エンゲージメント論
(お客さんが自ら関わりたくなるような施策を通して、共感しあう関係をつくる)
・クチコミ論
(ソーシャルメディア上で、情報が信頼と共感をともなって拡散することを狙う)

◆ポジショニングは2種類
「オーバーテイク型」:既存の価値軸の中で競合に勝る違いをつくる
「カテゴリーメイク型」:まったく新しい価値軸を打ち立てて違いをつくる

カテゴリーメイク型のように大きな違いをつくることは大切ですが、違いをつくろうとするあまり、ブランドの特徴とターゲットを安易に尖らせすぎるのも考えもの

新しく入ってきた情報が、これまでの知識をベースに理解できる、関連づけられる、腹落ちすると長期記憶に残れる

固定的な「ブランド」から、動的な「ブランディング」へ

ブランドの中心は、ミッションとビジョンへ

たくさんの人を動かしたいなら当然、大きなインサイトを見つけるべきで、ブランド固有のものよりも、人間の普遍的な心理を探ったほうがいいかもしれません

◆電通が作ったSIPSモデル
Sympathize(共感)→Identify(確認)→Participate(参加)→Share and Spread(共有&拡散)

◆中長期的にファンをつくる「オールウェイズオン型」のエンゲージメント
※全部で9種類。ここでは一部紹介
1.情報提供タイプ
2.活動レポートタイプ
6.商品共創タイプ
8.コミュニティタイプ
9.おトク・便利タイプ

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従来のマーケティング手法に手詰まり感を感じていた方も、この7つのコミュニケーション戦略に沿ってプランを立てれば、きっと成果が生まれるはず。

包括的な内容でありながら、しっかりと役立つ視点や武器もくれる、じつにバランスの良い一冊です。

経営者、マーケターはぜひ買って読んでみてください。

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『手書きの戦略論』磯部光毅・著 宣伝会議
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4883353540

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◆目次◆

はじめに
プロローグ
第1章 ポジショニング論 「違い」が、人を動かす。
第2章 ブランド論 「らしさ」の記憶が、人を動かす。
第3章 アカウントプランニング論 「深層心理」が、人を動かす。
第4章 ダイレクト論  「反応」の喚起が、人を動かす。
第5章 IMC論 「接点」の統合が、人を動かす。
第6章 エンゲージメント論 「関与」が、人を動かす。
第7章 クチコミ論 情報の「人づて」が、人を動かす。
最終章 7つの戦略論を俯瞰する 「戦略の統合」が、人を動かす。
参考文献
あとがき

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