2016年4月25日

『読書は格闘技』瀧本哲史・著 vol.4297

【元マッキンゼー、瀧本哲史氏の読書論】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087716554

ビジネスの出発点が「ゴール」であるように、ビジネス書の出発点もまた「ゴール」でなければならない。

このゴールから逆算する方法に関して、「ビジネスブックマラソン」第一号で紹介した『プロフェッショナルマネジャー』の著者、ハロルド・ジェニーンはこう言っています。

※参考:『プロフェッショナルマネジャー』
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<<三行の経営論>>
本を読む時は、初めから終わりへと読む。
ビジネスの経営はそれとは逆だ。
終わりから始めて、そこへ到達するためにできる限りのことをするのだ。

土井に言わせれば、読書も同じです。
本も初めから読むのではなく、ゴールから逆算して読むべきなのです。

ゴールを達成するために何が必要なのか、何を学べばいいのか、ここが明らかでないうちに読み始めてはいけない。

ここを意識した読書論が少ないのは、本当に残念です。

本日ご紹介する一冊は、そんななかでは珍しく王道を行く一冊。

元マッキンゼーのコンサルタントで、エンジェル投資家、起業家、ベストセラー作家の瀧本哲史氏が、読書について持論を述べています。

本書の特長は、まず著者が成功するために必要と思われる原理原則を述べ、そのヒントを示してくれる書籍を紹介している点。

『人を動かす』VS『影響力の武器』
『フラット化する世界』VS『文明の衝突』
『ストレスフリーの整理術』VS『ザ・ゴール』

など、通常あまりなされない対比がなされ、そこからビジネスの本質論に達する様は、読んでいて痛快ですらあります。

詳しい書籍紹介は本書に譲るとして、ここでは本文のなかから気になった記述を紹介しましょう。

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高い普遍性を持つ法則を読者に理解させるには、状況が理解しにくい事例を使って読者の思考を促すという方法が良い。そこで『人を動かす』なり(『韓非子』の)「説難」が著者の意図とは無関係にとっている方法が、結果的にとても有効であり、この二冊をして古典たらしめているのではないか

IT技術の進歩により、世界が擬似的に一つになる。雇用も先進国から発展途上国に移転し、移転した富によって、発展途上国の市場が、労働市場だけでなく顧客市場としても、グローバル市場のなかで重要な位置づけに変わっていき、最終形態として世界は一つの市場になるというわけである

古典はその時代性、地域性を超えた普遍性を抽出することによって、逆に今、この場所で使える武器に作り替えることができる

「年収の高い人と低い人では時間の使い方が違った!」といった特集がビジネス誌で組まれるが、これは、年収と年齢はかなり相関しているので、年齢の差やポジションの違いでしかない擬似理論がほとんどだ

実は本当に仕事の効率を上げる方法は、やること自体を根本的に組み替え、努力を必要としない仕組みをつくることによって桁違いの結果を得ることだ

結論から言うと「ハイテクイノベーション産業」こそ、オンラインではやりとりしにくく、近距離での対面のやりとりが重要になってくる

強みというのは市場と競合との関係で決まるものであって、自分の中だけでは決まらない

結局のところ、科学技術を突き詰めていけば、神への挑戦に近づいていかざるを得ない

価値が多様化し誰かに正しいことを決めてもらうのが難しく、大きな組織に人生を委ねることが危険で、自分自身で価値について考えていかなければならない現代の日本においては、リバタリアニズムに魅力を感じる人々が増えてきたのではないか

『タッチ』はバブル期前の作品にもかかわらず、すでに低成長で目標を持ちにくい時代を先取りしていたのかもしれない

本を読み終えた後、しばらくして、その内容を完全に忘れてしまい、その後の思考や行動の変化が何もなければ、それは、冒険に出て、宝の山に入りながら手を空しくして帰るに等しい

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マーケティングを得意とする著者らしく、「なぜこの名著がベストセラーとなったのか」という時代背景にも触れられており、じつに興味深く読むことができました。

ジャンルも、学術書から漫画まで多岐にわたっており、その本質を突く主張には、舌を巻きます。

入門者向けというより、既にある程度書籍の知識のある方が読めば、面白く読める本だと思います。

ぜひチェックしてみてください。

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『読書は格闘技』瀧本哲史・著 集英社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087716554

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◆目次◆

Round0 イントロダクション
Round1 心をつかむ
Round2 組織論
Round3 グローバリゼーション
Round4 時間管理術
Round5 どこに住むか
Round6 才能
Round7 大勢の考えを変える(マーケティング)
Round8 未来
Round9 正義
Round10 教養小説──大人になるということ
Round11 国語教育の文学
Round12 児童文学
読書は感想戦──あとがきにかえて

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