2015年1月10日

『実践デザイン・シンキング』日経デザイン編集部・著 vol.3826

【デザイン・シンキング、日本の最先端事例は?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822264947

昨日は、リーアンダー・ケイニーの『ジョナサン・アイブ』を紹介しました。

※参考:『ジョナサン・アイブ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822250709

これからの企業にとって顧客重視のデザイン・シンキングがどれほど大事か、痛感できる本だったと思います。

本日は、そのデザイン・シンキングをさらに深く学ぶため、日本の最先端事例を取り上げた『実践デザイン・シンキング』をご紹介します。

カラー写真をふんだんに使い、ヤマハ、ソニー、リコー、ブリヂストン、三菱重工グループ、ヤフー、富士ゼロックスなど、数多くの企業事例を紹介し、デザイン・シンキングの本質とプロセスに迫ります。

これを読む限り、日本の大企業も積極的にデザイン・シンキングに取り組んでおり、ヤマハやコクヨファニチャー、ブリヂストンなどは、社内にデザイン・シンキングの推進母体を立ち上げ、新製品や新サービスに取り組んでいるようです。

本書では、デザイン思考を手掛けるコンサルティング会社のプラグとクライアントである小林産業グループの「チップソー」開発の事例、スタンフォードd.schoolのデザイン・シンキングの「5つのステップ」などが紹介されており、デザイン・シンキングの基礎をひと通り学ぶことができます。

ソニーが開発した4K超短焦点プロジェクター「Life Space UX」、360度画像を1回で撮影できるリコーの「THETA(シータ)」など、デザイン・シンキングで生まれた商品群も紹介されており、いくつかは個人的に欲しくなるほど魅力的でした。

最後の方に、ヤフーUXデザイナーの清水淳子氏、NEC中央研究所イノベーションプロデューサーの佐藤敏明氏、ソニークリエイティブセンターデザインリサーチャー佐宗邦威氏の鼎談がありましたが、全員口を揃えて「好き嫌いが大事」と言っているのが印象的でした。

「デザインに正しさという基準はあまりなく、良い悪いや好き嫌いという要素が大きい」(佐藤氏)

「ロジックだけじゃなく、好き嫌いという人間らしい感覚がないと、製品やサービスも間違った方向に進むことがある」(清水氏)

「正しい正しくないに加えて、好き嫌いという感覚の使い分けが、新しいアイデアやビジネスに欠かせなくなっていますよね」(佐宗氏)

いきなりコンサルタントは雇えないけれど、デザイン思考の何たるかが知りたい、画期的な新製品を作りたい、と思う企業の経営者、マネジャー、商品開発担当は、ぜひチェックしてみるといいでしょう。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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生活者がどんな行動を取り、どんな考え方をするか、どんな感情を示すか、などを詳細に観察し、時にはインタビューすることで何を求められるのかを把握することが、発想の起点になる

フィールド観察とは文字通り、消費や生産など現場の活動状況を実際に観察したり体験したりすることである。「エスノグラフィー」とも言う。対象相手の日常行動を詳しく知ることで、理解・共感をさらに深めることが目的である

◆小林産業グループの中正機械 チップソーの使用についてわかったこと「1回使うと切れ味が悪くなるから、現場に常に予備のチップソーを置いている」「いつも2つ3つは車に積んである」「1000円以下の安い商品は買わない。すぐに切れなくなるから」「大手の純正品を購入するようにしている。多少、価格は高いが安心だから」「買うのは2000円前後でせいぜい3000円から4000円ぐらい。8000円だと悩む」
→実際にチップソーを試してみて切れ味が良いことを示すことさえできれば、大手ブランドの壁を崩せるのではないか

d.schoolではデザイン・シンキングを「共感」「問題定義」「創造」「プロトタイプ」「テスト」の5つのステップで考えている

「共感」とはデザイン・シンキングの起点となるステップで、文字通り「他人が感じていることを感じる」ことである

プロトタイプを作成したら、「テスト」のステップだ。ユーザーが使っているシーンを想定し、その場面を自分たちで演じてみて疑似体験し、不具合を確認する。素早く作り、素早く失敗することがポイントである。改良を重ねることで、アイデアが次第にはっきりしてくる

「何か不便なことはありますか、などとユーザーに聞いても本音は出てこない。むしろユーザーの行動や操作しているときの気持ちについて質問した。どんな画面を見ているのか、使用時間はどれくらいか、など具体的に掘り下げて聞くようにした」(ヤフー メディアサービスカンパニーゲーム本部企画部企画4兼メディアサービスカンパニーゲーム本部開発部制作の野口幸恵氏)

◆富士里和製紙の気づき
実際に街に出て、観察や突撃インタビューをしたことで見えてきたのは、12ロール入りトイレットペーパーの持ち運びにくさだった

プロトタイピングがやる気を引き出す

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『実践デザイン・シンキング』日経デザイン編集部・著 日経BP社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822264947

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◆目次◆

第1章 デザイン・シンキングとは何か
第2章 事例──発想を育てる
第3章 事例──顧客起点を徹底
第4章 事例──現場主義を貫く
第5章 事例──新たな社会基盤へ
第6章 成功のカギは全社が一丸となった推進体制
第7章 クリエイターがビジネスを主導
第8章 デザイナーの役割が変わる

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