2013年6月25日

『シェール革命後の世界勢力図』中原圭介・著  Vol.3262

【新エネルギーが変える世界】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478025061

本日の一冊は、予測の正確さで知られる経済アナリストの中原圭介さんが、シェール革命後の世界経済を論じた一冊。

著者は、既に前作『アメリカの世界戦略に乗って、日本経済は大復活する!』で、シェール革命の話を書いていますが、前回はあくまで絵に描いたモチ。

※参考:『アメリカの世界戦略に乗って、日本経済は大復活する!』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492395857

今回は、そのシェール革命の最先端の動向と、革命による勝ち組/負け組、既に新たなビジネスに乗り出した企業を、実名入りで紹介しています。

シェールガスを使った「直接還元鉄」の生産を検討している電炉大手の米ヌーコア、大規模なエチレン工場をアメリカ国内に建設する予定の英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル、米ダウ・ケミカルと連携してシェールガスを原料に使う石油化学コンビナートを建設すると発表した旭化成やクラレ…。

今後、シェール革命に乗って業績を伸ばしそうな企業の名前が、バンバン登場し、読み応えがあります。

また、これまで調子が良かったロシアやブラジルなどの今後の雲行きについても触れられており、投資家にとっては見逃せない内容が目白押しです。

黒田日銀に対する厳しいコメントを含め、スタンスのはっきりした本ではありますが、それだけに論旨は明快でわかりやすい。

グローバルに投資している方はもちろん、今後の世界経済の動向を知りたい方にも、ぜひ参考にしていただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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電気の生産量が中国ではいまひどく落ち込んでいます。中国経済が10%台の成長を記録していたとき、電気生産量の増加率は前年比で平均14%程度伸びていたのに、2012年以降は平均5%程度で推移しているのです。そのことから見ても、実際の成長率は5%にも達していないのではないかと考えられます

安いエネルギーが世界中の企業をアメリカに引きつける

電炉大手の米ヌーコアがシェールガスを使う「直接還元鉄」の生産を検討しています

多くの国では地下資源は公有であるのが普通ですが、アメリカでは、地下資源にも地主の所有権が及びます。したがって、アメリカで油田開発をするときは、地主から数年、土地を借り、採掘権にお金を払うことになります。シェールオイルブームから、近年、この採掘権が高騰していて、ここ数年の間に10倍以上になった例もあるといいます。さらに、採掘収入に対しておよそ25%ものロイヤルティを地主に支払うのが慣行になっているため、地主も積極的に土地を貸し出すことになります。これもシェール革命が驀進するひとつの要因となっているのでしょう

アメリカ国内で増産が進むシェールガスは現在、輸出先が自由貿易協定(FTA)締結国に限られていて、国内消費がメインになっています。そのような状況下で、2012年12月に米エネルギー省は「これまで規制してきた天然ガスの輸出拡大がアメリカの利益になる」という報告書を発表し、早くも2013年5月には輸出拡大を許可する決定を下しました。輸出拡大が許可されたことにより、石油メジャーが輸出を見込んで投資している大型設備が完成した後、すなわち2016~2017年にはアメリカ産のシェールガスが世界に大量に供給されることになるのです

先物市場のある商品はすべて投機マネーに翻弄され、実勢を無視した価格になってしまう

エネルギー大国ロシアの凋落が始まる

ブラジル通貨レアルの実効為替レートは、2005~2012年の8年間で5割上昇しています。その間、輸入は倍増したのですが、輸出は1割程度しか増えていません。こうしたケースでは、通常、経常赤字が急激に膨らむはずですが、そうならなかったのは、ひとえに資源価格、とりわけブラジルの代表的な輸出資源である鉄鉱石の国際価格の高騰と高止まりによるものです

これからの高成長諸国はといえば、それは東南アジアの国々です。フィリピン、インドネシア、タイなどでは中間層の所得が増えており、かつての日本のように、家電製品や自動車の購入など、消費意欲の高まりが経済を牽引しています

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『シェール革命後の世界勢力図』中原圭介・著 ダイヤモンド社
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◆目次◆

第1章 ひとり勝ちするアメリカ経済
第2章 これからの産業はがらりと変わる
第3章 復活のカギはデフレにある
第4章 デフレと不況はまったく関係がない
第5章 シェール革命で苦境に立つ資源国
第6章 世界経済はシェール革命で二極化する
第7章 日本はデフレでも景気回復できる

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