2011年2月28日

『デフレと超円高』岩田規久男・著 vol.2413

【日本経済の現状を知るための一冊】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062880911

本日の一冊は、日本経済が長引くデフレから脱却するにはどうすればいいか、反骨の経済学者、岩田規久男さんが提言した一冊。

日本経済が強くなった実感がまったくないのに、なぜか続く円高。

本書では、その理由の説明から入り、デフレと円高がもたらす雇用への悪影響と、その結果起こる長期的な不利益を説明しています。

いわく「デフレによる円高は企業の海外進出を促し、雇用を減らす」。

そして、若者が職につけず、つけたとしても非正社員であることは、将来の労働生産性の低下を招く、と警鐘を鳴らしています。

さらに本書では、「中国からの安値輸入品がデフレの原因」とする「中国安値輸入デフレ説」や、「中抜きデフレ説」、「銀行の貸し渋りデフレ説」、「低生産性デフレ説」「生産年齢人口デフレ説」など、さまざまなデフレ説を一蹴。

中盤では、「インフレもデフレも貨幣的現象である」とし、その理由を説明。そして後半では、日銀と政府に対し、強烈な批判と提言を行っています。

主張しているのはインフレ・ターゲティングであり、もちろんこれがうまく行くかどうかは神のみぞ知る、です。

しかしながら、「人々の行動パターンは人々が参加しているゲームのルールに依存する」といった話や、手段と目的を取り違えるべきではない、との主張は、大いに聞く意義あり、だと思います。

ビジネスマン、投資家にとっては、これから政策当局、日銀の動きを注視する上で、ひとつのガイドラインとなる一冊だと思います。

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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若者世代が職につけず、つけたとしても、非正社員であることは、若年世代にとって不幸であるばかりか、それは将来の日本経済を担う若者の仕事能力(つまり、労働生産性)が低下することを意味する

多くの高齢者は資産を低利であるが、デフレで購買力の上がる安全な円預金で運用している。デフレでは、その他の資産で運用しても、リスクが大きすぎ、利益を確保するのは難しいのである

デフレによる円高は企業の海外進出を促し、雇用を減らす

デフレで得をするのは、競争が制限されているなどの理由から、デフレになっても、名目賃金が上がり、雇用の安定している一部の特権的な人たちである

中国からの安値輸入品が増えると、国内商品やサービスの中には、価格が上がるものもあれば、下がるものもある

日本がデフレであることと、日本の生産性上昇率との間にはなんらの関係もない

一九九八年以降、生産年齢人口が複数年連続で減少した国は11ヵ国ある。この中で、デフレになった国は日本だけである。むしろ、重要な問題は、生産年齢人口の中に、失業している人や低所得の非正社員が多いことである

インフレもデフレも貨幣的現象である

貨幣の供給は銀行の信用創造に依存する

銀行が信用創造によって、どれだけ貨幣を供給するかは、金融政策に依存する

マネタリー・ベースと超過準備の持続的拡大は株価を引き上げる

量的緩和は「民間におカネが出回り、それがモノの購入に使われる結果、物価を引き上げる」のではなく、将来の貨幣の供給経路や物価に関する市場の予想を変えることによって、まずは、為替相場や株価に影響を与えることから、その効果を発揮し始めるのである

長期経済停滞は「バブルつぶしの金融政策」から始まった

日本は円安誘導のために、円売り介入をして、「通貨安競争」と非難されることはない。デフレ脱却のために、世界の標準的な中央銀行と同じ金融政策を採用し、諸外国に向けては、「デフレ脱却のための適切な金融政策を運営しているだけです」と言えばよいのである

人々の行動パターンは人々が参加しているゲームのルールに依存する。ルールが変われば人々の行動も変わる

政府は早急に、インフレ目標の達成を日銀に義務付ける日銀法改正案を国会に提出して、その成立に全力を傾けるべきである

日銀の長期国債購入は、デフレを脱却して、おだやかなインフレに移行するための有力な手段である。この手段が金融政策か財政政策かは、国民にとってどうでもよいことである

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『デフレと超円高』岩田規久男・著 講談社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062880911

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◆目次◆

第一章 円高はなぜ起きるのか
第二章 デフレは円高を生む
第三章 デフレと円高はなぜ悪いのか
第四章 構造デフレ説の誤謬
第五章 デフレは貨幣的現象である
第六章 日銀の金融政策の目的は「デフレの安定化」
第七章 インフレ目標でデフレも円高も止められる
付論:それでも納得しない読者のために

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