2010年8月27日

『ビジネスで一番、大切なこと─消費者のこころを学ぶ授業』 ヤンミ・ムン・著 vol.2228 

【ハーバード・ビジネススクールの人気授業】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478012849

30万部を突破したというマイケル・サンデルの『これからの「正義」の話をしよう』しかり、『20歳のときに知っておきたかったこと―スタンフォード大学集中講義』しかり、最近は、大学の講義モノがどうも流行っているようです。

※参考:『これからの「正義」の話をしよう』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152091312

※参考:『20歳のときに知っておきたかったこと』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4484101017

本日ご紹介する一冊も、そんな大学講義モノのなかの一冊。

テーマは「マーケティング」、講師は現在、マイケル・ポーター、クレイトン・クリステンセンと並び、ハーバード・ビジネススクールで絶大な人気を誇るヤンミ・ムン教授です。

本書では、企業が競争を激化させた結果、差別化が消費者にとって意味のないレベルまで細分化することの結末を指摘。

代わりに、航空会社のジェットブルーやIKEA、ソニーのAIBO、ミニクーパーといったブランドを例に、これからの時代の差別化戦略を説いています。

消費者が期待するものを取り上げ、期待してもいないものを提供する「リバース・ブランド」の手法、カテゴリーの認識を変えることで弱点をなかったことにできる「ブレークアウェー・ブランド」の手法、挑戦的なやり方でファンをつかむ「ホスタイル・ブランド」の手法…。

これがわかっていれば、行き詰っていたはずの商品開発、マーケティングにも、新たな展開が望めるはず。

ファインマンから影響を受けたという著者が、エッセイ風に書いており、じつに興味深い読み物に仕上がっています。

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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理想の生活や所有に対する考え方は、一夜にして変わった。「過剰」は追い出され、住まいやクローゼットを満たすモノを慎重に吟味するようになっている。「豊かな時代は終わった。豊かでなくなったからではなく、豊かさが私たちの憧れの的としての地位を失ったからだ」。そう感じたのを覚えている

プロは違いに着目するが、素人は類似点に目が行く

カテゴリーが成熟すると、購買頻度の最も高い消費者でさえ比べる努力をむなしく感じ始める。これは危険な転換点だ。差別化要因と非差別化要因の重みが変化し始める。ささいな違いに注目する愛好家が減り、違いの意味に疑問を持つ顧客が増え始める

何かを測定することは、それを重視すると決めたに等しい。尺度は特定の方向を指示するものとなり、競い合う群れが一斉にその方向に走り出す

かつてSUVカテゴリーの評価軸は、明らかに頑丈さと信頼性だった。追随ブランドも必死でこの点を訴求した。時間とともに燃費や安全性、快適さといった尺度が加わり、その結果、上のようにカテゴリー内の製品は次第に均質化している

たいていの企業は、消費者の期待に応えようとする場合、一つの軸だけで考えがちだ。私たちを喜ばせ、期待を上回ることができるか(プラス)、失望させるか(マイナス)。だが、軸は他にも存在し得る。たとえば、消費者の期待には応えていないが、予想もしなかった方法で心をつかむ場合

ジェットブルーは、単に素朴にシンプルに、というだけでなく、乗客が格安航空会社に期待したことのない贅沢をつけ加えた。すべての座席がレザーシートで、衛星放送が見られる。揺れで乗客を飛び上がらせたりはしない。これが、リバース・ブランドのやり方だ。期待するものを取り上げ、期待してもいないものを提供する

ブレークアウェー・ブランドは、そうした消費者の分類プロセスに意図的に介入し、デフォルトに代わるカテゴリーを提示する。「これが一切れのチーズに見えるのはわかっている。でも、空飛ぶじゅうたんだと考えてみたらどうかな」

マーケターの役割は三つ。第一は製品に関して。製品を理想的な角度から示し、ぜひとも買いたいと思わせるのが腕の見せどころだ。第二はアクセス。人々が無理なく入手できると感じられるよう、その製品を流通させ、適切な価格をつけなくてはならない。第三はブランドコミュニケーション。ブランドの価値を消費者に伝える

これが、実際、人の人たるゆえんだろう。ともに生きるために、内的一貫性は必要ない。私たちは、私たちにとっての真実が様々であり、整然とした秩序に従うには人生は短すぎると感じている。アイデア・ブランドもこのことを理解しているように見える

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『ビジネスで一番、大切なこと─消費者のこころを学ぶ授業』ヤンミ・ムン・著 ダイヤモンド社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478012849

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◆目次◆

序 棚に並ぶシリアルは、どれも同じに見える
第一部 私たちが陥っている「競争」の正体
第二部 私たちの目を奪うアイデア・ブランド
第三部 私たちは、人間らしさに立ち返る

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