2008年4月11日

『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか』城 繁幸・著

【若者たちの苦悩と選択】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480064141

本日の一冊は、『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』で衝撃デビューを果たした著者が、久々に放つ注目作。

※参考:『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334933394/

昭和的なキャリア観から平成的キャリア観への変遷を、当事者である若年層のインタビューをまとめることで示した、興味深い一冊です。

外資系金融エリートから新聞記者、作家、公務員まで、幅広い層にインタビューしており、それぞれの世代、職業の価値観が肉声で伝わる、そんな内容に仕上がっています。

著者は本書で、「もっとも効率的な生き方を提示してもらい、後はそれに従うだけというのは、それこそ昭和的価値観の本道」と従来のキャリア観を切り捨て、反対に「二一世紀のエリートとは、自分の足で歩いていける人間」と、自身の思想を披露しています。

社会全体でどのような政策をとっていけばいいのか、企業がどんな制度を作っていけばいいのか、ということに対する答えは示されていませんが、若年層が自分の生き方を考える上で、また企業が若年層の本音を知る上で、参考になる一冊だと思います。

まだまだ混迷が続く日本経済。若者へのインタビューがカオス的に並んだ本書も、現在の日本の混迷ぶりを表しているかのようです。

自由や資本主義を追い求めた結果、凋落したアメリカの衝撃レポート『ルポ貧困大国アメリカ』と併せて読めば、現在の人々の悩みの本質が見えてくるに違いありません。

※参考:『ルポ貧困大国アメリカ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4004311128/

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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”平成的価値観”とは何だろう。それは一言でいえば多様性だ

二一世紀の勝ち組とはなんだろう。現在、金融業界では直接金融へ
の流れを受け、人もカネも、邦銀から外資系や新興の証券会社へと
シフトしている。後者の中に、新たなエリート層が形成されつつあ
るのは間違いない

彼らが邦銀を避ける理由は、その体質にあるという。「すごいんで
すよ、邦銀は。入行して最初の三ヶ月、ずっとATMにお金を入れ
る仕事だけをやらせたり(笑)。そういう愚痴をOBから聞かされ
て、行こうと思う学生なんていませんよ。今じゃあ、自分のいたゼ
ミで、第一志望を邦銀にする人間なんてまずいない」

「会社と個人は、ギブアンドテイクの関係。報酬をねだるだけでは
なく、会社から求められるグレードを常に満たし続けるのも、従業
員の義務でしょう」(二八歳 外資系金融機関 アソシエイト)

今、何かと問題になる出生率低下に、個人の所得水準が深く関係し
ているのは間違いない。たとえば、三〇代男性の正社員と非正社員
では、既婚率に倍の開きがある

「出世のためにいい記事を書くなんて、本末転倒ですよ」
(三〇代前半 新聞記者)

経済が成熟すると、主導権は消費者の側に移る。大量生産ではなく、
消費者の多様なニーズを汲み取ることが重要となったのだ。つまり、
今度は体ではなく、頭で勝負する時代だと言える。男社会を基本と
する年功序列は、既にその存在意義を半ば失っているのだ

東大出でSEを三年だけ経験している三〇歳と、専門学校卒業後第
一線で一〇年間システム開発に従事してきた人間なら、普通の人事
担当者なら間違いなく後者を評価する

「私の座右の銘は”公私混同”。仕事にせよ余暇にせよ、人生とし
て楽しまないと、良い仕事なんてできませんからね」(山田真哉)

中央省庁への選抜試験である国家公務員採用I種試験の受験者数は、現在二年連続過去最低を更新中

最近、上場企業人事担当者一〇〇人に行われたアンケートで、「バ
ブル世代(四〇歳前後)で課長に昇格していない者が、今後ポスト
につけると思うか?」という問いに対し、「ない」と答えた企業が
五五パーセントにも上ったのだ(二〇〇六年読売新聞社調査)

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『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか』城 繁幸・著

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480064141
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◆目次◆

はじめに
第一章 キャリア編
第二章 独立編
第三章 新世代編
あとがき

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