【大前研一が語る21世紀の教養とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334975607
本日の一冊は、かつてマッキンゼーの日本代表を務め、現在はビジネス・ブレークスルー大学院大学の学長を務める著者が、現在の日本の「知の衰退」を嘆き、そこから抜け出す方法を指南した一冊。
ダイエットブームや食品偽装事件、耐震偽装マンション問題、さらには『国家の品格』のベストセラーに関しても、情報を受け取る側、あるいは購入した側に考える力が不足していたからだ、と指摘。
なかでも、『国家の品格』については、<「思考停止のすすめ」であるばかりか、「スモールハッピネスのすすめ」であり、さらに「鎖国のすすめ」である>と手厳しい。
また、小泉純一郎を絶賛する日本の政治に関しても厳しい批判を加え、その問題点の本質を深くえぐっている。
さらに、いま問題となっている、製造業によるリストラの問題も、悪しき規制による「官製不況」ということでくくり、その裏に政府の規制があったことを指摘している。
本書を読んでわかることは、いかに現在の日本人が「疑う」ことを忘れているかということ。
本書は、日本のビジネスマンに、疑うことの重要性と、疑うための「知性」を身につけるきっかけを与えてくれる、そんな一冊です。
本書を読む方が、大前さんの意見すら「疑う」能力を身につけることを期待して、この一冊をおすすめしたいと思います。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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グローバル・エコノミーという舞台で主要プレーヤーになるのに、豊かな鉱物資源に恵まれているとか、人口規模が大きい、また強大な軍隊を保有しているといった要素はもはや関係なくなってしまっている
テレビ番組で「納豆がダイエットにいい」と紹介されると、何も考えずに買い占めに走り、翌日には日本中のスーパーから納豆が消えてしまう。納豆の次はバナナだ
「人間は考える葦である」という言葉で有名なパスカルは、こうも言っている。「考えることは疑うことから出発する」サイバー化が進んだグローバル経済の世界では、「勝ち組」が国境を越えて「負け組」からどんどん富を奪い、しかも、その構造が固定化される恐れがある
考えない人間は、じつは意見を持ってしまう
冷静に考えてもらいたい。姉歯物件は相場より3割も安い価格だったのだ。なんでもかんでも自己責任とは言いたくないが、常識的に考えてこれだけ安い物件を買っておきながら、このマンションを買った人たちは、その価格に付随するリスクについては”何も考えなかった”のだろうか?
懸念される「官製不況」のうち、これから起こりうる最も大きなものは、「製造業2009年問題」だろう。法改正でこの年から、「派遣が正規社員と同じ仕事をしている場合は条件を同じにしなさい」ということになっていたからだ
世界が原子炉に頼るということはすなわち日本がその主導権を握ることを意味する。じつは現在、原発を完全な形で供給できる会社は世界に4社しかないからで、そのうち3社が日本の会社だからである。その4社とは、日本の日立、東芝、三菱重工と、原子力が総発電量の80%近くを占めているフランスのアレヴァだ
日本人は死ぬ瞬間がいちばん金持ちである
議論の本質はいつもすり替えられる
本来、自分の能力は自分が判断すべきである。そして、自分のやりたいことはその判断に基づいて自分で決めるものだ
教師の仕事というのは、「これが答えに至る道ではないか」という仮説を検証しながら未踏の道を進む、その「勇気」と「根気」を生徒に与える仕事へと変わっていく
”考える”ということと、その力を養成するということは、じつは意外に簡単である。ともかく、現場から発想すること。これにつきる
教育で最も大事なことは「今後どうやってメシを食っていける人間をつくるか」である
時代が変わったのだから教養も再定義が必要である
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『「知の衰退」からいかに脱出するか?』光文社 大前研一・著
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◆目次◆
第1章 「低IQ社会」の出現
第2章 官製不況の根は「知の衰退」
第3章 1億総「経済音痴」
第4章 政局と「集団知」
第5章 ネット社会と脳
第6章 無欲な若者と学力低下
第7章 「集団IQ」を高める教育改革
第8章 「低IQ社会」で得をしているのは誰か
第9章 勝ち組から学べ
第10章 21世紀の教養
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