【データから見た若者の実態】
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ビジネス書の世界では、相変わらずマネジメント本が売れていますね。
40代、50代のマネジャーが若手を理解できない、というのが背景にあるのだと思います。
本日ご紹介する一冊は、HRアワード2024書籍部門最優秀賞を獲得した一冊。
リクルートワークス研究所が行ったさまざまな調査のデータを元に、若手の実態とマネジメントのズレを明らかにし、どんなマネジメントを行ったら有効か、仮説を示した力作です。
著者は、一橋大学大学院社会学研究科を修了し、経済産業省を経て、リクルートワークス研究所の主任研究員を務める古屋星斗(ふるや・しょうと)氏です。
・「Z世代」は存在しない
・「職場がゆるくて辞めたい」という若手が少なからず存在している
・会社に不満はないけど不安がある
・離職希望者が多いのは「きつい職場」と「ゆるい職場」
など、今の若手の本音をデータから読み解き、「腫れ物に触る」式のマネジメントでは、若手を繋ぎ止められない実態を明らかにしています。
後半には、有効なマネジメントや人材育成のヒントが書かれています。
・活躍には心理的安全性とキャリア安全性の両方が必要
・褒めるだけでなくフィードバックする
・若手が“少し前の過去の自分”と比較できる指標を設定する
などのアドバイスは、悩めるミドルマネジメントに、光を与えるヒントとなるのではないでしょうか。
データからわかった、「若手を育成できるマネジャーの9のポイント」などもマネジメントの参考になると思います。(年齢や越境経験、重要かもしれませんね)
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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Z世代の価値観は「二極化」が著しい。「最近の若者はこうだから、こう育成しよう」というアプローチは、もはや効果が乏しい
ひとつのポイントは、人からどう見られるかという視点を強く持っている点である。「人から羨ましがられることは、自分にとって重要である」や「自分が行動するか否かを決める際、友人にどう思われるかが重要な判断材料になる」について、10代の「あてはまる」割合が他の世代と比較して極めて高い
「何か違う」と思ったら会社を辞める、ハラスメントや不正があれば相談する、ハラスメントや不正があれば会社を辞める、の3項目ともに「あてはまる」と回答した割合は10代が最も高かった
実際に若手社員から、「居心地は良いが、このままだと社外で通用する人間になるために何年かかるのかと焦る。何か自分で始めたりしないと、周りと差がつくばかりなのではないか、このままではまずいと感じている」といった声は本当によく聞かれるのだ
現在の20代後半の若手の離職経験率は51.5%と過半数を超えているし、副業の実施率は13.7%、副業をしたい者は35.3%で合わせてほぼ半数である
職場の「キャリア安全性」の3つの要素
(1)時間視座(2)市場視座(3)比較視座
キャリア安全性スコアと年収の相関係数は0.043とほとんど無関係であった
若手を育成できるマネジャーの9のポイント
(1)年齢層が比較的若い
(2)若手とのコミュニケーション頻度が一定以上ある
(3)配属・異動の前後で、管理職が事前に希望を聞くこと、決定後に個別の場でコミュニケーションをする
(4)若手へのOff-JTなどの教育訓練機会が充実した企業に所属している
(5)社員同士の職場を越えた「横断的なつながりを生み出す」制度があ る企業に所属している
(6)自らも職場の外の越境経験をしている
(7)若手に対する「呼び方」は無関係
(8)入社したての若手にも多くの(社会的)経験を求め、また期待をしている
(9)フィードバックの形式よりも、指導内容の明確性や内容の充実に注力している
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結局、年齢が若い方がマネジメントが上手くいくという話や、Off-JTの充実が重要という話など、経営者が知っておいた方がいい内容もあり、これは経営者、ミドルマネジメントが本腰を入れて取り組むべき問題だと思いました。
安易な「Z世代論」に流れる前に、ぜひ一読をおすすめしたい一冊です。
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『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか』古屋星斗・著 日本経済新聞出版
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◆目次◆
はじめに
第1章 「Z世代」は存在しない
第2章 「ゆるい職場」と若手の不安
第3章 若手は会社をこう見ている
第4章 心理的安全性だけでは活躍できない
第5章 若手を育成できる管理職、できない管理職
第6章 「ゆるい職場」時代の育て方改革 5つのヒント
第7章 「優秀な人材ほど辞める」を食い止めるには
第8章 若手がひらく、会社と社員の新しい関係
おわりに
注釈
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