【グローバル+AI時代の日本語力。】
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本日ご紹介する一冊は、世界標準で伝わる日本語を書こうという試み。
言うまでもなく、グローバル化と生成AIの影響で、外国人やAIが理解できる日本語の必要性が高まっています。
「AIに負けない」という文脈では、今井むつみ先生が書いた『言語の本質』のオノマトペが有効ですが、あれは外国人やAIには伝わりにくい。
※参考:『言語の本質』
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実用を重んじるならば、むしろオノマトペを排した「プレインジャパニーズ」の方が有効なのです。
本書では、主にビジネス文書を題材に、いかにシンプルで伝わるコミュニケーションをするか、その秘訣が書かれています。
執筆陣は、トヨタ自動車のグローバルコミュニケーションのプロジェクトにも関わった、一般社団法人日本プレインランゲージ協会代表理事の浅井満知子氏と、英文雑誌記者、テクニカルライターで、機械翻訳開発もしている森口稔氏、NTT、東洋大学経済学部教授を経て、一般社団法人日本プレインランゲージ協会理事を務める山田肇氏。
日本人が外国人やAIに対して文章を書いた場合、何が問題になるのか、どう改善すれば良いか、要点を丁寧に解説しています。
なかでも注目は、本書のコアとなる、プレインジャパニーズの18のポイント。
・結論を文頭に置く
・読みやすいデザインにする
・漢字とひらがなの割合に気を付ける
・能動態を使う
・主語、述語を近づける
・日本特有の概念や表現に注意する
これだけでも勉強になりますが、さらに詳細を読み進めれば、伝わりやすいプレインジャパニーズの秘訣がバッチリ理解できると思います。
巻末のインタビューに、元ボストンコンサルティング グループ日本代表の内田和成さんが登場し、グローバルで伝わりやすいコミュニケーションの秘訣を説いています。
グローバル企業でコミュニケーションに苦戦している方、外国人にアドバイスする立場にあるコンサルタント、コーチなどは、このパートだけでもぜひ読んでおくといいと思います。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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コミュニケーションでは、受け手が目的を達成できるように情報を整理して提示するのが肝要
曖昧で話者の意図が伝わりにくい表現に「YES BUT」があります。たとえば、「私は賛成なのですが、会社が反対しています」というのは曖昧な言い方です。YES ANDを使った効果的な表現に書き直すと、より的確に意図を伝えることができます。(アンドリュー・シルバーマン氏)
段落には効果的な見出しを付ける
一つの段落には一つのまとまりの情報を記載する
箇条書きを使う
番号リストを使う
表やイラストを使用する
補足情報は分けて記載する
漢字とひらがなの割合は3対7
一文40~50文字の短い文を心掛ける
一つの文には一つの情報だけを書く
専門用語は最小限に抑える
カタカナ語のうち日本語に定着していないものは、日本語表現に換える
アルファベットの略語には、正式な綴りと日本語での説明を添える
二重否定は避ける
重ね言葉は使わない
重ね言葉とは、同じ意味の言葉を無駄に繰り返すことを指す。たとえば、「前もって準備する」や「後で後悔する」といった表現がそれに当たる
主語と述語はできるだけ近づける
多様な読み手を想定する場合、日本特有の概念を使った表現に注意が必要である。たとえば、「500円玉のサイズ」という表現は「直径○○ミリメートルの円」と言い換えるのがよい
AIが苦手とする曖昧な表現例
「当社の業績は、今後も安定的に推移する見込みです。」
「市場の状況が好転すれば、当社の売上は増加する可能性があります。」
「為替リスクには適切に対応していく方針です。」
「当社は今後、適切なコスト削減策を講じる予定です。」
×あそこはマズい。
That place is bad.
×今朝はご飯を食べた。
I ate rice this morning.
上の2例は「マズい」や「ご飯」が複数の意味を持っているために文全体も複数の意味に解釈できる例である
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言葉を標準化しようという試みは、過去にもいくつかあって大体失敗に終わっていますが、グローバル化と生成AIの影響で、このプレインランゲージのトレンドは、否が応でも広がりそうですね。
プレインランゲージを導入することで、電話の問い合わせが減った、ミスが減少したなどの報告もあるので、企業レベルで取り組んでみてもいい案件だと思います。
ぜひ読んでみてください。
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『プレインジャパニーズの教科書』一般社団法人日本プレインランゲージ協会・編著 コスモピア
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◆目次◆
はじめに
第1章 プレインランゲージとは
第2章 伝わらないビジネス文書
第3章 伝わるビジネス文書 18のポイント
第4章 プレインランゲージの効果
第5章 プレインジャパニーズと機械翻訳
第6章 プレインランゲージの歴史と世界の動向
応用編
資料編
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