【与謝野晶子の力強い言葉】
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本日ご紹介する一冊は、歌人・作家・評論家として活躍した、与謝野晶子の言葉集。
パラパラめくったところ、刺さる言葉が多かったのでじっくり読んでみたのですが、これは面白い一冊です。
男女関係や子育てに関する教訓もありますが、半分ぐらいは、仕事や自己啓発、思考や創造性に関することです。
与謝野晶子は、未来志向の方だったようで、懐古主義の保守的な老人に対しては、手厳しい意見を述べています。
日本の教育に関して述べた以下の部分は、まるで今の社会の到来を予見したようですね。
<日本の教育は、青年の教育にばかりかたよっています。そのため、青年の思想はどしどし前に進んでいくのに、老人は一度若いときに教育されたきりで、その思想は過去のままにひからびています。社会の要が、老人と青年とで成り立つものである以上、両者の意思の疎通が行われなければ社会は順調に進歩しないわけです>
また、こうも述べています。
<私が老人を尊敬したく思うのは、老人がその豊富な経験を自慢せず、目の前の真実に対する実感を大切に生きようとしているときです。新しく流動的に生きようとしているときです>
生きる姿勢や学ぶ姿勢、さらには働く姿勢にも言及されており、なかには実用的な意見を述べた部分もあります。
議論について述べた部分を見てみましょう。
<必要のないところに、真の議論はありません。明らかに必要なものについては議論は生じません。議論というものは、新しい必要を予想したり、新しい必要を考えたりする場合に行われます>
「新しい必要」について考える。
こんな仕事のヒントも書かれています。
イメージとは裏腹に、ビジネスパーソンにとって役立つ内容です。
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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知力とは、知識の量ではなく、物事に対する理解力
あなたの本棚を豊かにしてください。たとえば、これから三年間、デパートで買い物するお金を、あらゆる分野の専門書に費やせば……と想像してみてください
常識が不足しているのも困りますが、それがあまりありすぎて、肥満した人の心臓が脂肪過多で圧迫されるように、人間の命である想像力を萎縮させてしまう結果になっては困ります
人は芸術があるので心が広げられ、人生を二倍豊かに生きることができます
創造は、過去と現在を材料として、新しい未来を発明する能力
日本の教育は、青年の教育にばかりかたよっています。そのため、青年の思想はどしどし前に進んでいくのに、老人は一度若いときに教育されたきりで、その思想は過去のままにひからびています。社会の要が、老人と青年とで成り立つものである以上、両者の意思の疎通が行われなければ社会は順調に進歩しないわけです
金銭は所有するものではなく、役立てるべきもの
労働の目的は、互いに助けあって、社会全体の幸福を増すため、各自の実力を持ち出して働くということでなければなりません
必要のないところに、真の議論はありません。明らかに必要なものについては議論は生じません。議論というものは、新しい必要を予想したり、新しい必要を考えたりする場合に行われます
私たちは考える人にならなければなりません。そして、自分の考え方が正しいかどうか、さらに考え、必要であれば、考え直す人にならなければなりません
小さな思い込みにこだわることで、どれだけ本来的なものを見落としてきたかわかりません。人間が本当に自由を望むのであれば、何よりも、各自の心の牢獄になっているそうした強大な偏見から解放されることを第一に心がけなければならないでしょう
過去の栄華に憧れ、馬車を永久の乗りものと考えている教養のない人は、飛行機の発明を予測することができません
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昔から与謝野晶子の言葉は面白いと思っていましたが、なるほど、元は堺の商人の子だったわけですね。
進取の気性に富んだ、興味深い言葉集だと思います。
ぜひ読んでみてください。
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『与謝野晶子 愛と理性の言葉』与謝野晶子・著、松村由利子・編集 PHP研究所
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◆目次◆
はじめに 美しく、力強い言葉の数々
I 幅広い読書で自らを育てる
II 働く喜びは金銭には換えられない
III 人生の海へ漕ぎだすために
IV 男女という性差を超えて
V 愛は常に訓練されるべきもの
VI 子どもを育てる喜びを分かちあう
VII さまざまな自由を求めて
VIII 考える人として若々しく
IX 国家は個人のために
X 芸術にふれる人生を
参考文献
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