【後継者が会社を大きく伸ばすには】
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長崎県最古の企業、田中鎌工業では、後継ぎが事業に参画して以来、海外からの注文が殺到しています。
また、同じく知人ですが、札幌に本拠地を置くヤマチユナイテッドグループは、今の山地章夫社長が引き継いで会社は急成長、2022年現在で、年商は245億円に達しています。
地方では、スタートアップよりもアトツギベンチャーの方がうまくいく。
これは、実感としても言えると思います。
本日ご紹介する一冊は、この「アトツギベンチャー(ベンチャー型事業承継)」の提唱者、山野千枝さんが、後継者のための事業心得を記した一冊。
大阪産業創造館を経て、一般社団法人ベンチャー型事業承継を設立、数多くのアトツギベンチャーを支援してきた著者だからこそ書ける、ディープな事業承継のヒント・事例が満載の一冊です。
「○千人に指導」とか言いながら、事例が薄っぺらい本を読むと、心底うんざりするのですが、本書は、事例・アドバイスともに「深い」。
後継社長が直面するお金や人間関係、ビジネスの問題を事前に指摘し、どう解決すればいいか、丁寧なアドバイスをしています。
なかでも感銘を受けたのは、「未来志向の経営者になるためにアトツギ時代に学んでおくこと」としてまとめられた、事業承継までのロードマップ。
この表を見るだけでも、後継社長になるまでにやっておくべきことが、明確になると思います。
同様に、家業の経営資産と未来志向キーワードを掛け算する「新規事業アイデアの拡散シート」も役に立ちます。
これを使えば、家業から突然変異することだって、できるかもしれません。
イノベーティブなビジネス視点と、それを実行する前に付けておくべき基礎スキル、さらには組織内で生まれるであろう軋轢の解決策まで、じつに実践的なアドバイスがなされています。
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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もしアトツギとして家業で新しい事業を模索しているならば、むしろ違う世界にアンテナを張りましょう
最先端のテクノロジー情報に触れるに当たって、有効な方法があります。それは「スタートアップのピッチイベントに観覧者、視聴者として参加してみる」ことです
家業のことを理解しないまま、はやりのキーワードに乗っかった表面的な新規事業を立案したところで、家業の本質的な強みを生かした事業には育ちません
DX担当に名乗り出る
やった方がいいことをやって、やめた方がいいことをやめる
「株を整理するために兄弟間で泥試合となった」「社員から訴えられた」「資金繰りに窮して自宅を手放した」「粉飾決算していた」「幹部社員が横領していた」など、門外不出の「黒歴史」とでもいうべき、リアルなエピソードこそ、創業家が語り継ぐべき歴史
創業者や先代の「年齢」を入れた沿革をつくる
思いつきのような新規事業に手を出してしまうと、ちょっとした障壁が現れたときに踏ん張ることができません
家業を再定義する
アトツギは社長になるまでに、いろんな業界や分野のニュースを見るたびに「10年後の世界はこうなっている」と予測する習慣を付けましょう
新規事業は地続きの関連多角化で
「これからの時代」「家業の強み」「自分の強み」を掛け算するのがアトツギの新規事業
会社の広報担当に就任する
もし可能なら、先代とは別の領域の仕事を担当させてもらいましょう。先代が国内市場を担当するならば、海外市場の開拓はアトツギが担当する。既存のルートセールスは先代が担当するならば、EC通販による新規開拓はアトツギが担当する、といった具合です
未来の姿を共有できる税理士を探す
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トドメに、「社長になるまでのファイナンス対策」が出てくるのも、事業承継を知り尽くした著者ならではで、じつに勉強になります。
数字が苦手なアトツギでもできる数字の把握、将来のトラブルを避けるための視点など、アドバイスが細かくて、本当に感動しました。
ぜひ、読んでみてください。
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『アトツギベンチャー思考』山野千枝・著 日経BP
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◆目次◆
はじめに
1章 家業に入る前後のマインドセット
2章 家業を知る。自分を知る。
3章 家業で新しいビジネスを創る
4章 アトツギを取り巻く人々
5章 社長になるまでのファイナンス対策
データ編
おわりに
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