【人生を有利にする音声学】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894768860
本日ご紹介する一冊は、長年BBMを読んでいる方ならきっと食いつく、いわゆる「掘り出し物」系です。
ご紹介するのは、慶應義塾大学言語文化研究所教授の川原繁人さんが書いた、音声学の本。
音声学のなかでも、「音象徴」と呼ばれるジャンルを扱っており、人やモノの名前が与えるイメージを研究したものです。
アイスクリームの名前で、「Frish」と「Frosh」だと、どっちが買ってみたいと思うか、男性/女性の名前で印象が良いのはどんな名前か、値段を安く思わせる音があるが、それはどんな音か、など、興味深い事例が載っています。
他にも、秋葉原のメイドさんの名前の分析や、ポケモンの名前に隠された法則など、とにかく実験内容が面白い。
本来の音声学は、かなり数学を駆使する学問らしいのですが、本書は数学の知識なしでも雑学的に楽しめる内容。
時折ビジネスに役立ちそうな話も出てくるので、ビジネスパーソンのわれわれには役立つ内容だと思います。
特に役に立つのは、ネーミングの部分。
どんな名前をつけると、どんな印象になるか、ネーミングする前に知っておいて損はないと思います。(本のタイトルも同様です)
われわれが何となく感じていたことが仕組みとともに明確に言語化されており、興味深い内容だと思います。
ビジネスパーソンの教養として、また飲み会の時のネタとして、ぜひ読んでおきましょう。
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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広告は同じ内容なのですが、Froshの広告を見た人たちの方が、Frishの広告を見た人たちよりも、そのアイスクリームを実際に買ってみたいと思い、そのアイスクリームに対する好感度も高いという結果が出ました
(1)阻害音:
/p/(パ行),/t/(タ行),/k/(カ行),/b/(バ行),/d/(ダ行),/g/(ガ行),/s/(サ行),/z/(ザ行),/h/(ハ行)
(2)共鳴音:
/m/(マ行), /n/(ナ行),/y/(ヤ行),/r/(ラ行),/w/(ワ行)
パーフォースの実験では、図形への名付けと同じように、「男性の名前では阻害音を含んだ名前が魅力的とされ、女性の名前では共鳴音を含んだ名前が魅力的とされる」という結果が出ました
実験の結果、「共鳴音の入った名前=萌えメイド」「阻害音の入った名前=ツンメイド」と結びつけられた確率は、74%でした
濁点は簡単に言うと、「声帯の振動(=有声音)」を表しています。私たちが「た」の子音部分(=/t/)を発音する際は、声帯が振動しませんが、「だ」の子音部分(=/d/)を発音する際は、声帯が振動します
おそらくみなさん、大きい方の蝶(a)に/wampang/、小さい方の蝶(b)に/wichikip/と名付けたのではないでしょうか。ここでも、/a/の母音が大きい蝶にマッチしていて、/i/の母音が小さい蝶にマッチしています
サピアが証明したように、英語でも/i/という音は「小さい」イメージを想起させるので、音象徴的には「小さい」ということになります。この実験では「元々10ドルの商品を7.66(sevensixty-six)ドルに値引きする」とした場合と「元々10ドルの商品を7.22(seven twenty-two)ドルに値引きする」とした場合、なんと前者の方が「お得感」を感じる人が多かった
へりくだるには自分を小さく見せるのが一番、ということになります。自分を小さく見せるには、「小さい=高い」と言う音象徴を用い、高い音を使えば良い
進化しているポケモンほど、名前に含まれている濁音の平均数が多くなる
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おそらく、一番盛り上がるのは、男性と女性で異なる好印象な名前だと思います。
ぜひ、ご自分の名前を客観的に分析してみてください。
また、自分の声を分析したい人にもツールが紹介されています。
ぜひ、読んでみてください。
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『「あ」は「い」より大きい!?』川原繁人・著 ひつじ書房
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◆目次◆
第1章 この本について
第2章 優しい音、ツンツンした音
第3章 大きな音、小さい音
第4章 濁音と向かい合う
第5章 学生たちが見つけた音象徴
第6章 ポケモンでする音象徴研究
第7章 より広い視点から音象徴・音声学を考える
第8章 最後のメッセージ
付録
用語集
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