2023年8月9日

『教養を磨く』田坂広志・著 vol.6294

【これからの時代の教養とは】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334046703

本日ご紹介する一冊は、シンクタンク・ソフィアバンクの設立者であり、多摩大学の名誉教授、田坂広志さんが教養を説いた本。

といっても、よくある教養本ではなく、AIの普及により変化しつつある現代の新しい教養について言及しています。

著者は、「書物を通じて学んだ、様々な専門分野の、該博な知識」に、大きな「3つの変化」が起きていると主張しています。

その3つとは、

1.「該博な知識」に関する時代の変化
2.「書物を通じて」に関する時代の変化
3.「様々な専門分野」に関する時代の変化

です。

つまり、

・該博な知識だけなら、もはや人間はAIに勝てない
・情報や知識を手に入れるメディアとして、映像や動画が主流になることによって、擬似体験や仮想体験ができるようになった
・難しい本を読まなくとも、なじみやすい表現で専門分野の学びができるようになっている

ということです。

そして、著者は、これらの変化がこれからの教養のあり方に次の「三つの深化」を求めるようになると説きます。

「三つの深化」
・「専門の知」から「生態系の知」へ
・「言語の知」から「体験の知」へ
・「理論の知」から「物語の知」へ

これからの教養の変化を的確に言い表しており、じつに示唆に富んだ内容です。

単に大所高所から教養を説くのではなく、個人としてどうすれば成長できるのか、リーダーとしてどうすれば大成できるのか、実践的なアドバイスも説かれています。

人の上に立つ人、あるいは自らの人間性や学びを深めようとする人には、きっと響くのではないでしょうか。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

—————————-

「一つのテーマ」「一つの問題」「一つの問い」を中心として、様々な知識と叡智が結びついた個性的な「知の生態系」を持っていること、自分の知的成長とともに成長し続ける「知の生態系」を持っていることが、その人間の価値になっていく

真に「人間学」を学びたいのであれば、優れた人物の印象的な「エピソード」が書かれた自伝やルポルタージュを読むことや、小説や映画やアニメを通じて、人間心理を生々しく描いた「物語」を読み、観ることこそが、「人間学」を学ぶ良い方法となる

「知性」とは、「答えの無い問い」を問う力

過去の歴史が経験したことのない状況に人類が直面していく時代において、我々が未来を知るためには、「経験」に依拠した社会科学には限界があり、「想像」に依拠した文学、特にSF文学が、大きな役割を果たすことになるだろう

「大我」は「無我」に似たり

人工知能革命による「学歴社会」の崩壊

「逆境を肯定的に解釈する力」、それこそが、「不運」に見える出来事を「幸運」へと転じていく力に他ならない

「人生において、自身が、様々な苦労を重ねること」そのことを抜きにして、我々は、真の「共感力」を身につけることはできない

「この商品で、世の中の多くの人を喜ばせたい」「このサービスで、困っている人を助けたい」その深い思いが、経営者の心の中にあり、拙い言葉でもよい、その思いを真摯に、熱を込め、社員に語り続けるならば、その現場には、自ずと「熱気」が生まれてくる

人間、自分に本当の自信がなければ、謙虚になれないのですよ。(河合隼雄)

年齢による「自己限定」をしない

「折よく」「たまたま」「丁度そのとき」「ふとしたことから」と形容すべき「偶然」と見える出来事の中に「大切な意味」を感じ取る力、さらに言えば、「自分を導く声」を感じ取る力。それが、優れた仕事を成し遂げ、「人生の成功者」と呼ばれる人々が、共通に持つ資質であろう

—————————-

仕事のヒントや生きるヒント、対人関係や逆境を乗り越えるヒントなども書かれていて、教養本としてはもちろん、自己啓発書としても読める内容です。

これからの教養とは何か、これからの時代に自分は何を指針に生きていくのか、知りたい方はぜひ読んでみるといいと思います。

これはおすすめの一冊です。

———————————————–

『教養を磨く』田坂広志・著 光文社

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334046703

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0CB7R7TVC

———————————————–
◆目次◆

はじめに 二一世紀に求められる「新たな教養」とは何か
第一部 哲学の究極の問い
第二部 科学と宗教の対立を超えて
第三部 「戦略的反射神経」の時代
第四部 「フォース」を使う技法
第五部 「ポジティビズム」の時代
第六部 「神の技術」がもたらすもの
第七部 思想を紡ぎ出す読書
謝辞
さらに学びを深めたい読者のために

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー