【深く読む人のための読書術】
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本日ご紹介する一冊は、朝日新聞の編集委員・天草支局長の著者が書いた、書物を糧にする技術。
以前、同著者が書いた『三行で撃つ』を紹介しましたが、こちらがアウトプット編とすれば、今回の本はインプット編です。
※参考:『三行で撃つ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4484202298
どんな風に本を読めば人生が豊かになるのか、自分が成長できるのか、名著にどう挑めばいいのか。
著者のユニークな視点が書かれた、興味深い読書論であり、読書術です。
速読に始まり、遅読、百冊に本を限って読む方法、一年前の書評本、図書館の活用法など、著者独自のやり方が書かれていて、読書の参考になるのはもちろんですが、時折飛び出す著者の思想がいい。
いくつか紹介してみましょう。
「本を読むとは、結局、人類を信じるということだ」
「目標は、いまの自分より高いところにある。そっちのほうが、生きてて退屈しない」
「挑んで、はね返される。その体験じたいが必要」
「読書とは、新しい問い、より深い問いを獲得するための冒険だ」
安易に「わかりやすい」本に逃げるのではなく、積読しても、挫折しても、名著に挑む読書の方法や心構えが説かれています。
なかでも194ページ「難解本に惨敗しないために知っておきたいテクニック」は、多くの方が気になるところではないでしょうか。
時に寄り添い、時に励ましてくれる、本好きのための読書論です。
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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速読術を養う五つの技術
(1)音読しないーー視覚で読む
(2)漢字だけ追う
(3)段落読み
(4)探し読みーー問題意識の自覚
(5)同時並行読みーーすきま時間で読む
日本語の「情緒」は、送り仮名にある
文章そのもののリズムを味わう。メロディーを口ずさむ。グルーヴに乗せられる。そのつもりで、味読する。しかし、それでも乗れなかったら……。それはあなたの舟ではなかったのだ。読むのをやめよう。新しい舟はいくらもある
本を読むとは、結局、人類を信じるということだ。人間に信をおくということだ。自分の判断力などあてにしない。しかし、わたしたちの先輩は信用する。いままで人間が読み継いできた本は、安心して、ゆっくり、意味が分からずとも、音読する。時間ほど、世の中に信用できる批評家はいない
一年前の書評は意外な盲点
そもそも「自分の好み」が変わっていくのでなければ、読書なんてなんのためだ、と思う。自分の好みが増える、好みの層が厚くなる。自分が変えられる。わたしにとっては、それが読書の最大の目的だ
目標は、いまの自分より高いところにある。そっちのほうが、生きてて退屈しない
挑んで、はね返される。その体験じたいが必要
読書とは、新しい問い、より深い問いを獲得するための冒険だ
最初は書店で、自分が取り組もうと思っているトピックに関する入門書的な書籍を数冊、手に取る。新書でもまっく構わない。ただし、巻末などに参考文献が列挙されているものを選ぶ。その入門書をまずは読み、あげられている参考文献をたどり、さらにくわしい専門書の森に分け入っていく
社会科学のリストは、時代の古い方から新しいのに向けて、順に読んでいく
日本文学のリストは、新しい方から古いものにさかのぼる
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巻末の参考文献リストと、「百冊選書」は、名著を読みたい読者にとっては垂涎の内容。
これから名著に挑んでみたいと考える人には、良い水先案内人となる一冊です。
ぜひ読んでみてください。
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『百冊で耕す』近藤康太郎・著 CCCメディアハウス
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◆目次◆
第1章 終わりなき論争
第2章 本という投資
第3章 読まないくせにというけれど
第4章 わたしは読めているのか
第5章 「論破力」より、深く掘る
第6章 読む本を選ぶということ
第7章 読書の愉楽
第8章 何のために本を読むのか
第9章 百冊で耕す
第10章 美しい日本語世界のわたし
第11章 Don’t Think Twice
おわりに
引用・参考文献
百冊選書
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