2023年4月10日

『コンサルティング会社サバイバルマニュアル』メン獄・著 vol.6213

【仕事が速くなる。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163916768

本日ご紹介する一冊は、2009年から12年間、大手外資系コンサルティング会社に勤務し、同社でアナリストからコンサルタント、シニアマネージャーまでを経験した著者が、その体験と仕事のアドバイスをまとめた一冊。

2022年1月にnoteに書かれた「コンサルティング会社完全サバイバルマニュアル」<アナリスト編><ジュニアコンサルタント編><シニアコンサルタント~マネージャ編>が元になっており、これを大幅加筆修正しています。

著者自身「独断と偏見にのみ基づき記載する」と述べているように、完全に個人の体験談ですが、それゆえに上司やクライアントの人物像、プロジェクトの生々しいリアルが書かれています。

入社早々、仕掛けられたドッキリ、飲み会後、21時を過ぎて「議事録、何時にできる?」と聞かれた話など、リアルなコンサルティング業界が知れるほか、仕事の心構えや仮説思考の手順、仕事でミスを減らすための秘訣なども書かれています。

全体が3部構成で、「アナリスト編」「ジュニアコンサルタント編」「シニアコンサルタント・マネージャー編」に分かれており、レベル別に考慮すべきこと、仕事で成果を上げるための秘訣が書かれています。

「“速い”はそれ自体が重要な価値だ」
「自分の限界を会社の限界にするな」
「顧客の歴史に敬意を払え」

など、新人はもちろん、ベテランになっても忘れてはいけない心構えが書かれており、ゆるい表紙とは裏腹に、じつに痺れる内容です。

マイケル・ルイスがウォール街のドタバタ劇を書いてベストセラーとなった、『ライアーズ・ポーカー』を彷彿とさせる筆致でコンサルティングの現場のリアルを書いており、読み物としても面白い一冊です。

※参考:『ライアーズ・ポーカー』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/415050394X

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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私がExcelをマウスを使って操作しているのを見たヤマウチは、マウスを取り上げ、「次マウスを使っている所を見たら、手を切り落とす」と言い放った

第一歩として、1日8時間の作業ロットを2時間単位に分割したい。例えば朝、何か上司から指示された場合、日を跨いで結果を見せるようでは遅い。朝一で指示があれば、遅くとも午後一に、一度何かしらの作業進捗を上司に見せられるコミュニケーションが必要だ。なぜなら、作業の<手戻りリスク>を最小化するためだ

作業を進める中で20分以上手が止まる場合は2時間を待たずして、即上司に対してエスカレーション(上席への報告)することを心がけたい。20分考えて手が止まるような場合は、作業のやり方がイメージできていないことを意味する

正確な見積りと期待値調整で速さを“演出”する

僕たちはピカソの絵にならないといけない。ピカソの絵を買う人は値段を見て買ったりしない。ピカソの絵だから買うんだよね

品質担保の手順を必ず持つ

どんなに一所懸命にやった仕事であっても、納期・予算・品質の3つが期待値に合わないのであれば、クライアントにとってその仕事は不十分

仮説をもとにクライアントとの対話を深め、正しい論点を設定する

証拠を残したい時はメールで

クライアントに関連する政策や管轄省庁の動向や分科会の資料は重要なインプットになる

武器となるスペシャリティ(専門性)
1.特定の業務領域に対しての専門性
2.特定の製品ソリューションに対しての専門性
3.特定業界の専門性

「もし○○さんが、社長であれば、今の業務のやり方をどう変えますか?」というカジュアルな問いかけをしてみるのは一つ、クライアントの考え方を拡張する有効な手段になる

クライアントに対して、「本当はどのような仕事の仕方をしたいのか?」という質問を投げかけるのも有効な方法

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オビに「どんな業界でも使える門外不出の秘技!」と書かれていますが、基本はコンサルティング業界の人間が読んで勉強になる本だと思います。

他業界の方にとっては、コンサルティング業界のカルチャーが面白おかしく読めることや、仕事の進め方や心構えが学べるのがメリットとなるでしょう。

ゆるい表紙からは想像もできない、刺激的なビジネスノンフィクションです。

ぜひ、読んでみてください。

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『コンサルティング会社サバイバルマニュアル』メン獄・著 文藝春秋

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163916768

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◆目次◆

はじめに
第I部 アナリスト編
第1章 「“速い”はそれ自体が重要な価値だ」
    --スピードを生む仕事の基礎力
第2章 「ピカソの絵を買う人は値段を見て買わない」
    --品質に説得力を持たせる
第3章 「自分の限界を会社の限界にするな」
    --会社の<集合知>を徹底活用する
第4章 「3ヶ月後に何を言えれば成功なのか?」
    --コンサルタントの型=「論点思考」「仮説思考」
第5章 「お前がいないくらいで潰れるようなチームじゃない」
    --サステナブルな仕事のスタイルとは?
第II部 ジュニアコンサルタント編
第6章 「顧客の歴史に敬意を払え」
    --クライアントを多角的に理解する
第7章 「前提を疑え」
    --「言われた通りにやりました」に潜む罠
第8章 「あなたが社長ならどうします?」
    --「変化」を起こすから価値がある
第9章 「作業を切り出せ」
    --チームにどう動いてもらうか?
第III部 シニアコンサルタント・マネージャー編
第10章 「真剣にやってその程度なら降格しろ」
    --マネージャーの絶対条件
第11章 「お前って結局何ができる奴なんだっけ?」
    --自分が進化し続ける重要性
第12章 「最高のチームでした」
    --周囲を動かすビジョンを持つ
おわりに

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