【スタンフォードの利他主義研究】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4839701822
本日ご紹介する一冊は、スタンフォード大学の利他主義研究から生まれた8週間のメンタルプログラムを書籍化した一冊。
著者は、スタンフォード大学の客員教授として「コンパッション育成トレーニング(=CCT)」の8週間プログラムの開発に携わった、トゥプテン・ジンパ博士。
元僧侶であり、約30年にわたりダライ・ラマ氏の通訳を務めている方です。
オビには、当プログラムに関わっており、60万部突破の大ベストセラー『スタンフォードの自分を変える教室』の著者でもある、ケリー・マクゴニガル氏が推薦の辞を寄せています。
前半が、コンパッション(慈悲心)を持つことの効用とそれが対人関係や仕事に及ぼす影響のメカニズムの説明。後半は、具体的なエクササイズとなっています。
本書を読むと、なぜ現代に生きるわれわれが孤独で、勇気を持ち得ないのか、その理由がよくわかります。
また、仕事で他者の協力を取り付けられる人とそうでない人の違い、孤立しがちな人とそうでない人の違いも、本書によって明らかになると思います。
仕事ができる人や対人関係が上手な人は、コミュニケーションが上手なのだと思っていましたが、どうやらそれはコンパッション(慈悲心)の有無が原因だったようです。
本書のまえがきに書かれている、スタンフォード大学の心理学者、スティーヴン・マーフィ重松さん言葉を引用してみましょう。
<コンパッションは勇気を生みます。他者を思いやることで、人は怖れから解放され、勇敢になります。関心を自分の外に向けることで視野が拡がり、自分の悩みは相対的に小さくなり、しかもありふれた問題だと気づきます。怖れていた相手が自分と同じ人間で、敵ではないとわかった時、人は強くなるのです>
大きなことを成し遂げるには、それに見合った大きなマインドを築く必要がある。
ちょっと精神寄りの内容ではありますが、ビジネスパーソンにこそ、読んで欲しい内容です。
さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
—————————-
何らかの苦痛や窮状に直面し、慈悲の心が起きると、瞬時に三つのことが起きる。
(1)他者の苦痛や窮状を知覚する。
(2)その苦痛や窮状に感情が動く。
そして(3)本能的にその状況が改善されることを願う。慈悲は行動へとつながる
興味深いことに、助けたという行為に報酬を与えるのはよい成果につながらないことも分かった。ご褒美をもらった子供たちは、もらわなかった子供たちに比べ、その後助ける行為が減少した
思いやりの恩恵を強く受け止める人ほど、慈悲の心を持っていると言えそうだ
コンパッションが大きいほど目的意識が高い
慈悲深い姿勢を持っていると、社会の協力を得やすくなる
人助けの映像を見た学生たちのほうが、そうでない学生たちより多く無報酬のプロジェクトに協力し、主催者を助けようとした
達成依存型の自尊心は、物事が思うように運ばなかった時、自分が能力不足であるとか失敗作だという考えに陥りやすい
自己放棄(セルフネグレクト)は、他者の問題を解決するほうが自分の問題の解決よりずっと簡単な時、逃避の一形態として起きる
願望の中に他者の幸福や繁栄が含まれていれば、一人ひとりの日々の行動や人生が個々の存在を超え、より大きな目的を満たすことになる
メタ認知能力を高めることで、自分にもっとよく気づき、他者のこともよりよく見えてくる
三つの日常的訓練
1.自己批判的・否定的な考えや独り言を見逃さないようにする
2.それらは事実ではなく反応であり、単なる捉え方や解釈に過ぎないと理解する
3.否定的な自己評価を、より慈しみのある評価へと捉えなおす方法を探る
—————————-
不屈の精神や勇気を生むのが、じつはコンパッション(慈悲心)だった、というのは大きな発見でした。
他者を気づかい、共感することで人はもっともっと強くなれる。
ひょっとしたら、戦後の日本を強くしたのも、今の日本に欠けているのも、じつはコンパッション(慈悲心)なのかもしれませんね。
ぜひ、読んでみてください。
———————————————–
『コンパッション 慈悲心を持つ勇気が人生を変える』
トゥプテン・ジンパ・著 東川恭子・訳 めるくまーる
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4839701822
———————————————–
◆目次◆
はじめに
PARTI コンパッション(慈悲心)が大切な理由
第一章 幸せの隠し玉:コンパッション
第二章 自己受容のカギ:自分に向けるコンパッション
第三章 怖れから勇気へ:抵抗を乗り越える
PARTII 意識(マインド)と心(ハート)の訓練
第四章 コンパッションから行動へ:意図を動機に変える
第五章 コンパッションへと向かう道:意識を集中することで軌道に乗る
第六章 不自由からの開放:自己中心の牢獄から脱出する
第七章 「私が幸せでありますように」:自分自身をいたわる
第八章 「私と同じように」:気づかいの輪を拡げる
PARTIII 新しい生き方
第九章 さらなる幸福へ:コンパッションの力でより健康で強くなる方法
第十章 勇気が増すほどストレスが減少し、自由が拡大する:慈悲心を基本姿勢にする
第十一章 ひとつであることのパワー:世界をコンパッションで満たすために
謝辞
NOTES 注釈
この書評に関連度が高い書評
この書籍に関するTwitterでのコメント
同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)
お知らせはまだありません。