【ＡＩをビジネスに活かす】
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本日ご紹介する一冊は、人工知能のビジネスソリューションを提供する注目スタートアップ、「シナモンＡＩ」を共同創業した株式会社シナモン執行役員の堀田創さんと尾原和啓さんの共著による一冊。

カバーの袖部分に、＜Data is Kingの時代はもう終わった。“膨大なデータ”ではなく“優れたループ”こそが勝者の条件となる！＞とあるように、今、ＡＩは急速に進化し、時代はＡＩを活用した「戦略デザイン」へとシフトしています。

本書でいう「ダブルハーベスト」とは、表から見えるデータのループの裏側で、もう一つ別のループを生み出すことで、「２つの収穫」を手に入れ、盤石な競争優位性を築くこと。

本書では、著者らが手掛けるプロジェクトを含む、企業のダブルハーベスト事例を紹介。

１．売上増大
２．コスト削減
３．リスク／損失予測
４．ＵＸ向上
５．Ｒ＆Ｄ加速

の５つのパターンでＡＩをどう活用すればいいのか、最新事例が示されています。

ＡＩが自社の持続的な競争優位性につながるか？　勝ち続ける仕組みとしてデザインされているか？　何重もの利益を生み出すループがあるか？

新しい時代のＡＩ活用のポイントが書かれており、参考になります。

さっそく、本文の中から気になった部分を赤ペンチェックして行きましょう。

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ソフトバンクの孫正義氏の言葉を借りれば、グーグルやフェイスブックが広告業界を牛耳り、アマゾンが既存の小売業を破壊したといっても、アメリカのＧＤＰに占める広告の割合は１％、小売は６％にすぎない。「残り93％」の大半はまだビフォアデジタルの段階で、これからＤＸが本格化するのだ

アマゾンが抜きん出ていたのは、外部から見えやすい「相互ネットワーク効果」というループの裏側で、もう１つ別のループを回し続けたことだ

１つの精度が上がれば、別のデータが取れるようになる。そのデータをもとにさらにＡＩの精度を上げていくことで、他社が簡単には追いつけない強力かつ持続的な競争優位性を獲得することができる

コピーボタンを置いたからといって、グーグルはユーザーに何かを強制したわけではない。ただ、翻訳結果をコピペしたい人にとっては、ボタン一発でコピーできたほうが便利だという「ＵＸ（ユーザー体験）の改善」にすぎないのだ。しかし、その延長線上で、ＡＩのトレーニングデータが自然とたまっていく仕掛けになっているところがすごいのだ。まさにデータを育てて収穫する「ハーベストループ」の考え方そのものだ

イギリスの「ローギークス（LawGeex）」は弁護士向けに契約書のレビューツールを提供している。たとえば、「分厚い契約書の第８章に出てくるこの単語の定義は何か」ということを、いちいち第２章の用語の定義を確認しなくても、その単語にマウスオーバーするだけで、用語の定義をポップアップ表示してくれる

ライフスタイルブランドの「コーチ（COACH）」では、リアル店舗を訪れた顧客がある商品を購入するか迷っていたといった情報を店舗スタッフが記録しておけば、同じ人が同社のオンラインストアを訪れたときに、その商品がレコメンドされるようになっている

強力なネットワーク効果が働くのが、地理データだ。地図やロードマップは、一部の地域だけではほとんど価値がなく、全国をカバーしてはじめて価値をもつという特殊性がある

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実装に関する部分は、203ページに「バーベストループを実装する９ステップ」としてまとめられているだけで、専門家にとっては食い足りない印象でしょうが、ＡＩの戦略的活用法の事例集としては、有用な一冊だと思います。

ぜひ、読んでみてください。

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『ダブルハーベスト』堀田創、尾原和啓・著
ダイヤモンド社

＜Amazon.co.jpで購入する＞
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◆目次◆

Prologue　勝敗を分ける「何重にも稼ぐ仕組み」
Chapter1　ＡＩと人とのコラボレーション
Chapter2　ＡＩで何を実現するかを見極める
Chapter3　戦略基盤を競争優位に変換する
Chapter4　データを収穫するループをつくる
Chapter5　多重ループを回して圧勝する
Chapter6　ハーベストストーリーを実装する
Epilogue　地球をやさしく包む「最後のループ」