2021年4月12日

『TRICKトリック』エスター・ウォジスキー・著 関美和・訳 vol.5734

【これはすごい教育本だ。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163913602

Google創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンがガレージで創業したことは広く知られていますが、そのガレージを貸した女性が、現在、YouTubeのCEOをやっていることはご存知でしょうか?

しかも、このスーザンは幼稚園の頃、あの有名なスタンフォード大学の「マシュマロ実験」に参加していたという…。

本日ご紹介する一冊は、そのYouTubeCEO、スーザン・ウォジスキーの母親にして、「シリコンバレーのゴッドマザー」「アメリカ教育界のスーパースター」エスター・ウォジスキーによる、注目の一冊です。

著者は、あのスティーブ・ジョブズ親子を教え、Googleの人材育成も担当、育てた3人の娘たちは、YouTubeのCEO、カリフォルニア大学医学部准教授、バイオベンチャー23andMe創業者として活躍中という、とんでもない実績の持ち主です。

本の内容も、期待を裏切りません。

本書が提供するのは、そんな著者が教える教育の5原則、「TRICK」(トリック)と、その正しい使い方です。

◆TRICK(トリック)
TRUST(信頼)
RESPECT(尊重)
INDEPENDENCE(自立)
COLLABORATION(協力)
KINDNESS(優しさ)

変化の激しい時代になり、子どもの自立心を育てる教育に注目が集まっていますが、本書はまさにその秘訣を書いた内容。

タイガー・マザー式の子育てを信奉している方は、なぜあのやり方に問題があるのか、著者が批判した部分があるので、読んでおくといいでしょう。

著者同様、親や家庭環境に恵まれなかった人でも、子ども時代の経験を乗り越え、子育てに成功できる、そんな方法が書かれています。

言葉に力があり、読むと胸に希望があふれてくる、素晴らしい内容です。

さっそく、本文の中から気になった部分を赤ペンチェックして行きましょう。

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まずは大人が自分を信頼することからはじめなければならない。大人が親としての選択に自信を持てれば、子どもを信頼でき、子どもに自信を与えて自立につながる大切な経験をさせることができる

親がどんなことをしてでも子どもが苦しんだり傷ついたりしなくてすむように力を尽くすと、子どもたちは困難や逆境を乗り越える必要がなくなってしまう。すると、独立心ややり抜く力は育たず、子どもたちは周囲の世界を恐れ、みずからイノベーションをおこしたり何かを生みだしたりできなくなる

もし親と違う子育てをするつもりなら、自分の子ども時代にきちんと向き合わなければならない

世界中でただひとりだけでも自分を信頼し、自分の力を信じてくれる人がいれば、何でもできる気持ちになれる。でも、残念ながら、そのひとりに恵まれない子どもは多い

子どもにはそれぞれ違った発達のタイミングがある。発達といっても、歩いたり、話したりすることだけではない。親には黙って見守る我慢が必要だ

子どもは何かの専門家になれると、自信が持てる。ゲームの専門家でも、昆虫の専門家でも、好きなものなら何でもいい。専門家になれればそれでいい

高い水準を設けることも尊重の一部だ。ただ甘やかすことは、子どもの能力を尊重していることにならない。ただし、子どもが好きでもないことで1番になるよう無理やり努力させても、尊重していることにはならない。子ども自身が情熱を持てることにしか、高い水準を求めてもうまくいかないものだ

スーザンがマシュマロ実験を受けるはるか以前から、わたしは意図せずに、自宅で子どもたちに欲求を先送りすることを教えていた。たとえば、食事にはかならず順番があった

子どもは自分の教育の主導権も握るべきだ

感謝の気持ちは優しさの一部だ。感謝するということは、他者の存在に気づき、その人たちが自分の人生をどんなふうにいいものにしてくれているかを考え、そのことへのお礼を伝えるために何かをするということだ

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ローレン・パウエル・ジョブズ(スティーブ・ジョブズの妻)、イーロン・マスクの母、マーク・ベニオフ(セールスフォースCEO)など、さまざまな著名人が推薦していますが、その理由がわかる素晴らしい内容です。

不安を感じながらも人を信じ、任せることでどれほどの奇跡が起こるのか、エピソードのなかには、感動のあまり、涙してしまうものもあります。

すべての教育者、すべての親、すべてのマネジャー、個人に、ぜひ読んでいただきたい、珠玉の一冊です。

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『TRICKトリック』エスター・ウォジスキー・著
関美和・訳 文藝春秋

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◆目次◆

1章 自分が育てられたように、子どもを育てるべきか?
2章 自分を信じよう、そして子どもを信じよう
3章 子どもは親のクローンではない
4章 子どもができることは、絶対やってあげてはいけない
5章 やり抜く力=グリットをどう育てるか
6章 独裁者にならず、一緒に働こう
7章 子どもは親の言うことではなく、やることを見ている
8章 子どものお手本になって、優しさを拡散しよう
9章 世界をよい場所にできることを教える

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