【地政学で日本史がわかる!】
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『応仁の乱』、『ハーバード日本史教室』…。
※参考:『応仁の乱』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/412102401X/
※参考:『ハーバード日本史教室』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4121505999/
最近は、「日本史ブーム」といっていいほど、日本史関連の本が売れています。
本日ご紹介する一冊も、そんな日本史関連本のなかの変わりダネ。
何と、「地政学」の視点から、「歴史の必然」を紹介しているのです。
なぜ瀬戸内海が、日本の「物流ハイウェイ」となったのか?
なぜ日本は京都や大阪を中心に栄えたのか?
なぜ日本最初の中央政権が大和盆地(奈良県)に成立したのか?
なぜ信長は琵琶湖東岸に安土城を築いたのか?
なぜ秀吉は大阪城を築いたのか?
なぜ薩長は徳川氏支配の下、富と勢力を蓄えることができたのか?
なぜ薩摩でのみ、「自我」が各個人のものとなったのか?
全国を巡り、歴史を調べてきたというミリタリー系フリーライターの著者が、地政学の視点から日本の歴史をひも解く、知的好奇心くすぐる一冊です。
ビジネスパーソンは、本書を読むことで、国家建設や戦略における重要な視点を学ぶことができると思います。
さっそく、内容をチェックしてみましょう。
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明治二年に函館北郊の「二俣口」で、山中の細道を攻め寄せてきた官軍部隊が、土方歳三の指揮するわずかな人数の守備隊に前進を阻止されてしまいましたのも、単純に、小銃弾薬の準備量の差が原因なのです。土方部隊は事前に用意した弾薬集積場から距離が近くて、ふんだんに小銃を発砲できましたが、攻める官軍は、数十キロも後方の上陸地点から歩兵が山道をじぶんで携行してきたわずかな弾薬を射ち尽くしたら、もう補給が来ないのです。苦戦したのは当然でしょう。にもかかわらず、それでは庶民が面白くないと思うのか、いまだに「土方=名将」説が語られています
おおむね日本という国は、西から東へ勢力が伸張して成り立った。このとき山がちの陸路より、海路が活用された。たとえば九州方面から近畿に入るには、「太平洋沿岸ルート」「瀬戸内ルート」「日本海沿岸ルート」の三通りが考えられるが、中世までは、このうち瀬戸内ルートが発展し、「物流ハイウェイ」としての役目を担った
九州北部は、大陸や半島から最短の距離にある経済的な要地である一方、外国からの攻撃にさらされやすく、また、本州に外国勢力の拠点が置かれた場合、地政学的には不利の状態に転じる
日本が、京都や大阪を中心に栄えたのも、ひとえに淀川の存在が大であった。また、瀬戸内海を「一本の運河」とすれば、淀川の下流域はその「ターミナル船着場」
現代人の地理感覚で見るかぎり、安土のある琵琶湖東岸は、とくに要地という印象を受けない。しかし、東国からもたらされるヒト・モノ・カネは、ほとんどこの地を通過して京都に入る。ある意味、京都や西国へ向けられた「東国の最前線」ともいえる
今日の核兵器の爆発エネルギーは必ず「三次元的」に放散される。敵の核ミサイルが、同心「円状」に発達したわが大都市の中心部を外すことはまずないだろう。これだと、消防署も、自衛隊基地も、病院も一網打尽にされ、麻痺してしまうから、誰も住民を救えなくなるのだ。しかし、「紐状」に延々と再開発された新都市を一発(もしくは数十発)の水爆で破壊し、殺傷し尽くすことは誰にもできない
もともと南方の植物である水稲は、地球が寒冷化した弥生時代以後の奥羽地方では、安定的な収穫をけっして約束しなかった。その無理を押しつけられた東北人は、じつに一九五〇年代までも「不作と餓死のリスク」に人生観を支配された
日本独特の水稲作文化は、「耕作者の自我」を「字」(灌漑水利共同体)に預けることを促してきた。ところが薩摩でのみ、「自我」は各個人のものだった。なぜなら甘藷栽培には、「用水路」という面倒な共同管理資産がいっさい不要だからである
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地理的な条件や、当時の技術、土地による作物の違いなどがいかにわれわれの歴史を動かしてきたか、よくわかりました。
東北で生まれ、18歳から東京に住み、現在山口にも住んでいる身だからこそ、本書で書かれていることは、実感としてよくわかります。
制約条件を考え、戦略を考えるのは、いつだってビジネスパーソンに欠かせないトレーニング。
本書は、そのトレーニングに最適の一冊です。
ぜひ読んでみてください。
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『日本史の謎は地政学で解ける』兵頭二十八・著 祥伝社
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◆目次◆
序章 西から東へ
一章 せめぎあう西と東──なぜ、そこに日本の中心が置かれたか?
二章 日本の成立──西と東はどうやって統一されたか?
三章 日本外交の採るべき道──国防の必須条件
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