【韓国でベストセラー】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4296001949
タイトルを見て、「自己中心的な考え方だな」と初見で思ったのですが、じつはものすごい良書。
韓国の大手広告代理店・第一企画の元副社長でコピーライター/クリエイティブディレクター、さらにはサムスングループ最初の女性役員になったという、チェ・イナ氏による仕事論です。
タイトルと中身が違うのは、当然。
じつは本書の原題は、『私が手にしているものを世界に欲しがらせなさい』(韓国語はすみません。わからないので省略します)というものです。
著者は、コピーライター/クリエイティブディレクターとして、多くの企業・サービスをブランド化してきた方ですが、本書では、読者個人をブランドにする働き方・生き方を提示します。
・それぞれの職業にはそもそも追求すべき意味があり、その分野で働く人はその意味に合った役割を果たすから尊敬される
・異なる業種に携わることになっても、どんな能力を発揮すべきなのかをイメージできれば、以前の仕事と無関係ではなくなる
・引き受けた仕事は大小にかかわらず間違いなくやり遂げること。一人では仕事が回らない世界で「あの人とやればうまくいく」という信頼を得ること
・私たちが投げかけなければならないのは、「私の差し出す価値がいまも魅力的か?」という問いだ。答えがノーなら、革新しなければならない
ひとしきり仕事論が語られた後、「頑丈なブランドは、頑丈な実体の上につくられる」という本質が語られるのですが、読者はこの辺で背筋がピンと伸びると思います。
「私が顧客なら、私というブランドを選ぶだろうか?」という問いは、自分ブランドで食べて行こうと思う人全員に刺さる問いだと思います。
言葉の専門家である著者が選ぶ名言や、著者自身の巧みな比喩、実業家の教訓
・エピソードなども登場し、豊かな読書体験になること間違いなし。
久しぶりに良い仕事論に出合いました。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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働くことはたんに生計を立てる手段ではなく、自分の人生を豊かに過ごす手段でもある
私たちは労働の対価として賃金を得る。しかし、受け取るものがお金だけだとしたら、あなたは損をしている
人間は生存に有利な行動をとったときに幸せを感じるという
(延世大学 ソ・ウングク教授)
大切なのは、仕事で感じる喜びや楽しさがあなたにとってなんなのかを意識すること
理想と現実は多少違っても、弁護士が正義を守り、教師が人材を育て、医師が命を救うように、それぞれの職業にはそもそも追求すべき意味があり、その分野で働く人はその意味に合った役割を果たすから尊敬される
長いあいだ仕事をしていると、ときどき心が揺れ動くこともある。そんなとき、仕事の意味が私たちを根本から支えてくれる。意味を追い求める人は、そうでない人に比べて幸せを感じる確率は低いかもしれないが、不安の波が襲ってきたときにどっしりと構えていられるのだ
仕事の本質を語るうえで欠かせない人物がいる。<サムスン電子>のイ・ゴンヒ元会長だ。(中略)イ・ゴンヒ元会長の考え方は違った。ホテル業は装置産業だというのだ。「ホテルの客室には1300個の備品が必要で、その備品の質によってホテルの成否が左右される。つまりホテル業は装置産業だ」と。イ・ゴンヒ元会長はさらにこう続けた。「事業の成否は、その仕事の概念を把握しているかどうかにかかっている。百貨店の運営が不動産業なのは、不動産業では“立地”が重要だからだ。電子産業は、誰が先に製品を世に送り出すかによって成否が決まるため、“タイミング産業”といえる。仕事の歴史、概念、哲学、つまり本質をとことん理解すれば成功する要素を見つけられる(以下略)」
仮に異なる業種に携わることになっても、どんな能力を発揮すべきなのかをイメージできれば、以前の仕事と無関係ではなくなる
この世にはブランディングに関する定義がいくつも存在するが、私はシンプルにRとPの関係を意のままにつくりあげる作業だと考えている。ここでのRは実体を意味するReality、Pは認識を意味するPerceptionだ。要するにブランディングとは、実体をもとに人々の認識をつくりあげる作業なのである
人は、目に見えるものの裏側を見たときに大人になるのだ
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韓国では「泣けるビジネス書」としてベストセラーになったようですが、その理由がよくわかる内容でした。
自信を持っておすすめできる一冊です。
ぜひ、読んでみてください。
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『会社のためではなく、自分のために働く、ということ』チェ・イナ・著 中川里沙・訳 日経BP
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◆目次◆
プロローグ
第1部 仕事
第1章 なぜ働くのか
第2章 仕事は成長のチャンスだ
第3章 私の名前3文字がブランド
第4章 姿勢が競争力だ
第2部 人生と時間
第5章 自分に問いかける時間
第6章 人生の決定的な瞬間を越える方法
第7章 これからもずっと、いままでと同じように生きていくのか?
エピローグ
参考文献
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