【イーロン・マスクからの学び】
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本日ご紹介する一冊は、元Twitterジャパン社長が見た、カリスマ経営者イーロン・マスクの実像とそこからの学び。
著者は、リクルート、MTVジャパンCEOを経て、Twitterジャパン代表取締役となり、23年に同社を退任した、笹本裕(ささもと・ゆう)氏です。
イーロンのTwitter買収完了から、著者が退職するまでの215日の出来事をまとめたもので、イーロン・マスクと著者とのやり取りが生々しく書かれています。
広範囲のデューデリジェンスをすることなしにTwitterを買った話、一度やめさせたエンジニアを躊躇なく戻した話、すべての経費をいったん止めさせた話、会社に残留するかどうかをグーグルフ
ォームで申告させた話など、破天荒なエピソードが満載で、飽きることがありません。
また、多くの読者が期待しているであろう、イーロン・マスクの人間性と思考についても、興味深い話がまとめられています。
・人には興味はないが、人類には興味はある
・失敗を許さない
・「プレゼン」ではなく「会話」を好む
・非線形の思考
・前例を踏襲しない
・「タイミング」に対する勘所のよさ
先日ご紹介した、『会社のためではなく、自分のために働く、ということ』に、サムスン電子イ・ゴンヒ元会長が事業の本質を語った話が紹介されていましたが、それによると「電子産業はタイミング産業」。
『会社のためではなく、自分のために働く、ということ』
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やはりイーロン・マスクはタイミングに優れた人物のようですね。
また、いかに天才でも向いていないことはできないんだということも、読んでいてよくわかります。
著者の主観や愚痴が混ざる局面がちらほらありますが、ここを差し引いて読めば、勉強になると思います。(愚痴が妥当かどうかを考えるのも、良い思考トレーニングになる)
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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イーロンが見ているのは「人類」です。彼はとてつもなく大きな絵を描いています。本当なら何世代もかかるようなことを、ひとつの世代というか、自分自身の生涯の中でやり遂げようとしている。そんな人はこれまでの人類史上、おそらくいなかったでしょう。「できるところまでやって、あとは子孫に継承しよう」などという思いはおそらくない。だから、ものすごく時間に敏感なのです
彼が失敗を許さないのは、「失敗する」ということが顕在意識に埋め込まれてしまうと、潜在意識を発揮できなくなるから。だから「失敗はないんだ」と言い聞かせる
大前提として、彼は「誰もやらなかったこと」に着手しています。スタートラインがそこである以上、成功も失敗もありません
彼は「これをやるためには、まずこれをやろう。そのあとでこれをやろう」という「線形」につながった考え方をしません。「今どこにいようが、これをやるぞ」というように、つながりのない決断をするわけです
「最初に外堀から埋めていくほうがうまくいく」と考える経営者もいるでしょう。しかし、彼はいきなり本丸に行ってから、どうしたらいいかを考える
買ってから、速攻でコストを削減したり大胆な改革をすることで「デューデリの時間」でさえも無用化してしまう
必要な人がいたら戻せばいい
「能力があるかないか」というよりも「応える意思があるかないか」のほうが大きい
「ロケットを飛ばして火星に行くぞ」とか「化石燃料を使わずにクリーンな車を作るよ」「速くてかっこいい車を作るよ」というように、ものすごくわかりやすい
彼の強みは「時」だと思っています。EVに関しても、いわゆる自然エネルギーにベットしたタイミングはベストでした。宇宙も同様です
買収後、彼からの最初の指示にも驚きました。「すべての経費をいったん止めろ」というのです
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やり方は破天荒ですが、大きなスケールで考えること、ゼロベースで見直すことなど、伝統的な日本の経営には欠けている視点が多く、勉強になります。
スタートアップの経営者はもちろん、すべてのビジネスパーソンが読むべき内容だと思います。
ぜひ、読んでみてください。
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『イーロン・ショック』笹本裕・著 文藝春秋
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◆目次◆
はじめに
Chapter1 天才経営者は善か悪か? 私が見たイーロンという男
Chapter2 破壊は予告もなくやってきた Twitter買収の一部始終
Chapter3 私がTwitterジャパンの社長になるまで リクルート、MTV、マイクロソフト
Chapter4 イーロン・ショックは他人事ではない AI時代に生き残る働き方
Chapter5 日本に必要な「破壊と創造」 2030年問題にどう立ち向かうか
おわりに
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