【データでわかる、これからの日本】
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本日ご紹介する一冊は、今年60周年を迎える講談社現代新書のなかで、今最も売れている一冊。
トーハンの新書ランキングでも、直近トップ10に入っています。
ルクルートワークス研究所の研究員・アナリストがまとめたレポートで、中身は、最新データからわかった日本経済の実態。
ビジネス的には今後どこにチャンスがあるのか、何がリスクになるのかを明らかにしてくれる内容です。
本書から読み取れる、明らかな兆候は以下の通りです。
・人手不足とそれに伴う賃金上昇
・事業者が案件を選ぶ時代
・サービスの消失
・生産性の低い事業者の撤退
・前期高齢者が減少し、超高齢者が増える
・機械化・省力化が進む
少子高齢化社会における経済の特徴について的確に解説されており、今起こっていることの本質、これからの経済の行方について、理解が深まること、間違いありません。
各業界、企業の省力化への取り組みが紹介されている第2部「機械化と自動化」は、特に読み応えがあります。
効率的な現場搬入を可能にした鹿島のBIMLOGI(R)、U・S・M・Hが進めるスマートフォン決済「スキャンアンドゴーイグニカ」、AIカメラが取得した画像データから欠品情報を取得するトライアルホールディングスの「AI冷蔵ショーケース」、医療法人徳洲会湘南鎌倉総合病院のロボット導入など、これからの時代のサービスのあり方、効率化を考えるヒント満載の内容です。
先端企業に投資を考える投資家にとっても、良いヒントとなるでしょう。
人手不足の深刻さは、これまでにも言われてきましたが、これが構造的な問題である以上、これからの企業の競争力は人材確保、省力化にあることは言うまでもありません。
待ったなしの状況で、企業としてどう対応するか、考えるヒントとなる一冊だと思います。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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近年判明してきたのは、人口減少と少子高齢化が引き起こす経済現象の正体は、むしろ医療・介護などを中心にサービス需要が豊富にあるにもかかわらず、それを提供する人手が足りなくなるという供給面の制約だったのである
発注者に事業者が選ばれる時代から、事業者が案件を選ぶ時代に
少子高齢化による影響に都心への人口流出も相まって、地方経済においては若い労働力が急速に減少している
ハイスキルワーカーとエッセンシャルワーカーが不足し、事務職など中間的な仕事で人余りが発生している
人は高齢になるほど人手を必要とするサービスをより多く需要する
これからの時代はサプライサイドに働きかける取り組みが重要になる
正規雇用者数は1997年3812万人でピークをつけたあとに減少が続き、正規雇用者数が最も少なかった2014年には3288万人まで減った。しかし、その後は増加に転じ、足元の2023年は3609万人まで増えている
非正規雇用者から先に賃金が上がっている
地方、中小企業、エッセンシャルワーカーから賃金上昇の動きが広がる
大都市圏では賃金上昇率は実はそれほど高くない
労働参加率は主要国で最高水準に
2000年に56.7%であった日本の15~64歳の女性就業率は、足元で72.4%まで上昇している
年収水準が低い労働者が増えている理由の多くは、女性や高齢者が労働市場に急速に参入してきたことや、労働時間が短くなっていること、あるいはこれまでであれば自営業者として働いていたような人が雇用されて働くように変わってきていることなどによってかなりの部分が説明できる
2000年以降で日本経済の付加価値額の増加に最も寄与した産業は製造業
経済成長には供給能力の強化が不可欠だという考え方に従えば、生産性が上昇しないまま傍聴する医療・介護産業を評価することはできない
設備修繕・維持に関する費用の上昇が著しい
現代において人々が需要している多くのものはサービスなのである
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本書で書かれていることは、ビジネスサイドの話に止まりません。
人手不足の影響で、消費者としてサービスが受けられなくなるリスクについても書かれており、今後どこに住めばいいのか、どうサービスを受ければいいのか、生活の根本に関わる問題についても書かれています。
最後にまとめとして、<人口減少経済「8つの未来予測」>が書かれていますので、ここだけでもぜひ、読んでみてください。
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『ほんとうの日本経済』坂本貴志・著 講談社
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◆目次◆
はじめに
プロローグ 人手不足の先端を走る地方中小企業の実情
第1部 人口減少経済「10の変化」
第2部 機械化と自動化 少ない人手で効率よく生産するために
第3部 人口減少経済「8つの未来予測」
おわりに
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