【結果に結びつく練習とは。】
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本日ご紹介する一冊は、守備が苦手だったにも関わらずゴールデン・グラブ賞を5回、ベストナイン6回を受賞した、元プロ野球選手の鳥谷敬(とりたに・たかし)さんによる一冊。
プロスポーツ選手が書いた本のすべてがビジネスに役立つわけではありませんが、たまに、ものすごく役立つ本があります。
それはどんな本かというと、考え方ややり方に再現性のある本です。
本書によると、野球界にもビジネスの世界と同じようにミスが許されない仕事があるそうです。
それは何かというと、「守備」です。
守備の世界では、100回のうち3、4回ミスをするだけで9割7分、9割6分となり、下手の部類に入ってしまうそうで、そういう意味で言うと、著者は「ほぼミスをしない」選手だったということになります。
では、なぜそんなにミスを減らし、守備の名手と呼ばれるまでに至ったのか?
本書には、その考え方・やり方の秘訣が書かれています。
「ミスをしない」といった精神論や、「正面に入る」といった古いセオリーではなく、あくまで合理的にミスをしない方法、仮にミスをしてもリカバリーできる方法を考える。
データを元に、思い込みではなく、本当に結果が出るやり方を選択する。
以前、『アメリカン・ベースボール革命』という本を紹介しましたが、あれと同じく、データに基づく、あくまで結果を出すための方法を論じています。
『アメリカン・ベースボール革命』
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現在活躍中の大谷翔平選手もそうですが、偉大なことを成し遂げる人はみな、思い込みや古いセオリーに囚われない。
あくまで合理的にもっと良いやり方を模索する姿勢が、結果としてすごい数字に結びつくのです。
本書には、そんな科学的態度が書かれており、ビジネスパーソンにもぜひ読むことをおすすめしたい。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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個々人は渡されたマニュアルを自分なりにかみ砕いて解釈して、自分の形を構築していく作業を忘れてはいけません
野球界には守備機会という指標があります。刺殺、捕殺、失策といったアウトに関与した守備機会のうち、失策しなかった割合を表す数字です。これは守備がうまい選手だと九割八分から九割九分ぐらいの数値をたたき出します。言い換えれば、一〇〇回のうち三、四回ミスをするだけで九割七分、九割六分となり、下手の部類に入ってしまう
そこで私は「捕球練習」と同様に「打球のはじき方」も練習するようになりました。たとえば試合でゴロを体の右側にはじいてしまって、打者走者をアウトにできなかったとします。このゴロをもし体の左側や送球方向にはじくことができれば、たとえ完全捕球できなかったとしても打者走者をアウトにできるのではないか? そんな考え方で「ミスの質を上げる」努力も始めるようになったのです
送球ミスの原因が捕球時の足の運び方だったのに、周囲から言われるがままに送球練習ばかり繰り返していたって、根本的な解決にはつながりません
「ミスを受け入れる」とは、その対処策を考えること
甲子園は内野部分が黒土なので、グラウンド整備を担当する阪神園芸の皆さんには、よく土の状態を聞いて確認していました。試合前練習が始まる時間のさらに前のタイミングで「今日の土はどんな感じですか?」と聞くことで、試合で飛んでくる打球をイメージしやすくしていたのです
大きな目標があれば、失敗を糧にできる
「ミスをするな」は解決策にならない
たとえば「打球に対する一歩目のスタートが緩くなった分、うまくバウンドに合わせられなかった。だから明日の練習では一歩目のスタートを意識しよう」と具体的に伝えた方が、成長するヒントを与えられるはずです
アウトにするために逆算して考える
分析する時に大切なのは、自分の「ミスの傾向を知る」こと
下半身をうまく使えている選手はプレーの再現性が高くなります
守備力の高い内野手はほぼ間違いなく、飛んでくる打球に加えて走者、味方野手の動きまですべて視界に入っています
この常識は本当に正しいのか。もっとうまくなれる方法があるのではないか。そうやって自問自答を繰り返しているうちに、自分の形ができあがっていく
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ミスをしない技術、そしてミスが致命傷にならないための考え方が書かれています。
指導者にとっても教え方の勉強になるので、ぜひ、読んでみてください。
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『ミスをしない選手』鳥谷敬・著 PHP研究所
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◆目次◆
まえがき
第1章 ミスの定義 「準備」「分析」「練習」のサイクル
第2章 実力を見極め、正しい準備をする
第3章 ミスを分析して改善する
第4章 年齢を重ねてもミスをしない
第5章 プロ野球はショート目線で見れば面白い
第6章 ミスを成長につなげる教え方
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