2024年7月11日

『紛争から読む世界史』荒巻豊志・著 vol.6518

【傑作です。】
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本日ご紹介する一冊は、東進ハイスクールで「東大世界史」を担当し、「受験世界史に荒巻あり」と言われる超実力派人気講師、荒巻豊志(あらまき・とよし)さんによる一冊。

「紛争」という視点で世界史を編み直した、注目の文庫書き下ろしです。

現在は、ウクライナ戦争やイスラエル・ガザ戦争、台湾危機など、とかく戦争への懸念が強まっていますが、投資を含め、いざという時、迅速に動くためには、火種がなぜ・どこにあるかを理解しておくことが重要です。

そういう意味で本書は、世界各地の紛争の「火種」を明らかにし、整理した一冊。

日本で報道されることの少ない地域を中心に、なぜ政情不安定になったのか、その理由を歴史から紐解いています。

・コンゴ動乱
・ビアフラ戦争
・西サハラ問題
・アンゴラ内戦
・オガデン戦争
・ソマリア内戦
・リベリア内戦
・ウガンダ紛争
・ルワンダ紛争
・ブルンジ内戦
・第一次、第二次コンゴ戦争
・ダルフール紛争
・南スーダンをめぐる紛争
・中央アフリカの内戦

アフリカだけでもこれだけの紛争があり、そのすべてを解説しています。

他にも、東南アジアの紛争、南アジアの紛争をカバーしており、気になる日本の竹島問題、尖閣諸島問題、北方領土問題など、日本と関係の深い紛争についても、しっかり押さえられています。

歴史認識を正しく持てば、どこに問題があるのか、当事者の感情が理解でき、ニュースを見ても、何が問題か本質を瞬時に理解できるようになると思います。

変化の時代に、素早く変化するためには、起こってから調べていたら遅い。

事前に学び、迅速に行動できるようになるために、ぜひ読んでおきたい一冊です。

さっそく、気になるポイントを赤ペンチェックしてみましょう。

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カトリックではローマ教皇と呼ばれる最高権威が存在していました。このローマ教皇の権威に挑戦した運動が宗教改革です

ヨーロッパは王が治める複数の地域に分割される

デモクラシーと国民軍というこの2つの両輪がうまく回る新しい主権国家(国民国家)の理念がナショナリズム

元来、宗教や身分が人々の仲間意識(アイデンティティといってもよい)をつくっていたのに対して、仲間意識を国家に帰属させるためには、いろいろな仕掛けが必要になります。たとえば、同じ言葉を話しているとか、同じ文化を共有しているとかです。そして、何より大事なのは共通の記憶を持たせることです。この共通の記憶で結ばれているという感覚を養うものが「歴史」です。この「歴史」を学ぶ教育機関、つまり学校が国民国家形成と同時につくられたのにはワケがあるのです

今の世界地図には定規で引いたようなまっすぐな国境線が見られますが、それは植民地化に際して引かれた国境線がそのまま残っているから

領土獲得(国境変更)をめぐる争いが資源を獲得するための戦争となったのは、自然科学の進歩による科学技術の発達が引き起こしたもの

民族自決の原則を積極的に掲げていたアメリカとソ連が超大国となったことで、植民地の独立が相次ぐことに

自らの国家をつくろうとすること(ナショナリズム)が植民地からの独立への動きになるのですが、それは自分たちの国の中の多数派と少数派との対立を生んでしまうことにつながる

失敗国家(破綻国家、脆弱国家)のランキングで南スーダンはソマリアと並んでベスト5の常連

一民族一国家というものはあくまで理念であって、これを実体化しようとすると多くの紛争が生じる

アルメニア人はヨーロッパから東南アジアにかけての広大な地域で商業ネットワークを築きあげます。商業で活躍する民族ということからユダヤ人と並ぶ存在となるのです

アルメニア人はキリスト教徒であるがゆえに、オスマン帝国内の主流派であるイスラームとの間で軋轢が生まれます

「たられば」になってしまいますが、なぜこのときイスラエルに武力による国境線の変更は認められないと国際社会はいえなかったのか?

民主主義を殺すのはクーデターをはじめとする暴力ではなく民主主義の原則なのかもしれない

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さすがは東進ハイスクールのカリスマ講師。

これまでにないほど、紛争の歴史がスッと頭に入ってきました。

知識はあっても上手に説明できない高校の先生に、ぜひ読んでいただきたい一冊ですね。

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『紛争から読む世界史』荒巻豊志・著 大和書房

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◆目次◆

はじめに「紛争」とは何か
第1章 世界大戦から世界内戦へ
第2章 植民地独立の光と影
第3章 帝国解体の余波
第4章 ヨーロッパにおける歴史認識紛争
第5章 「民主主義」対「権威主義」
おわりに

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