2024年7月5日

『教養としての書道』前田鎌利・著 vol.6514

【グローバル教養としての書道】
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本日ご紹介する一冊は、ベストセラー『社内プレゼンの資料作成術』の著者、前田鎌利さんによる注目の一冊。

『社内プレゼンの資料作成術』
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前田鎌利さんのことは、<ソフトバンクの孫正義社長の後継者育成機関「ソフトバンクアカデミア」第1期生に選考され、事業プレゼンで第1位を獲得したプレゼンの達人>という認識でいましたが、じつは、プロの書家でもあったようです。

著者は、5歳から書を学び始め、大学も東京学芸大学の書道科を卒業。独立書家として、現在は全国700名が登録する書道塾「継未-TUGUMI-」を展開しています。

Softbank「志高く」、JAXA「こうのとり」、Jリーグ「絶対突破」、サイバーエージェント「会社を楽しもう」、国宝彦根城、羽田空港ラウンジ常設展示「心」「動」「静」「力」など、書家としても数多くの作品を手掛けており、海外でもニューヨークやシンガポールなどでライブパフォーマンスを手掛けているようです。

本日ご紹介する一冊は、そんな著者が案内する、ちょっとマニアックで奥深い書道の世界。

外国人や初心者にのわかりやすいよう、初歩の初歩から書かれていますが、本当に勉強になりました。

書道の歴史や、各時代の有名書家とそのエピソード、墨や筆、紙がどうやってできているのか、書道で使われている書体、じつは有名企業の看板や商品が有名書家の手によるものだったなど、興味深い話がびっしり詰まっています。

さすが、ビジネス教養の勘所がわかっていますね。

知っていると一目置かれる話、知らないと恥ずかしい話、プライベートが楽しくなる話が織り交ぜられており、詳しい人以外は、全員読むべき日本人の教養書だと思いました。

最近訪れた有田の宿に、本書でも登場する「明治の三筆」の一人、中林梧竹の書があり、ちょっと興味を持っていたので、まさに知りたいことが書かれていた感じです。

日本に興味のある海外の教養人と話す際には、かなり重宝する内容だと思いました。

さっそく、気になるポイントを赤ペンチェックしてみましょう。

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円相は図形の円を一筆で書き上げたもので、どこから書き始めてどこで書き終えたかが一見してわかりづらい、つながりのある円として表現されています。欠けることのない無限性や禅宗の悟りや心理、宇宙全体などをこの円相が表現しているといわれています

「書写」が文字を正しく整えて書けるようになることを目的としているのに対して、「書道」は芸術教育として設定されています

最高級のものはヤギの首のあたりの毛。この部位の毛は「細光鋒」という名称で細くて毛並みも良く筆には最上のものとされています

皆さんもご存じの枕草子に次のような一節があります。
「筆は冬毛を使うはみめよし、うの毛」「うの毛」とはウサギの毛のこと。中秋の頃(現在だと9月~10月頃)に刈り取ったウサギの毛は良質の筆になったといいます

弘法大師といえば、皆さんが知っているこの言葉。
「弘法筆を選ばず」
書が上手だった空海は筆を選ぶことなく素晴らしい書を書いたといわれていますが、いやいや「狸の毛がおすすめですよ」と推挙していたようです

手漉き和紙の原料
楮(こうぞ)
雁皮(がんぴ)
三椏(みつまた)
麻(あさ)

文房とは書斎のことを表します。書斎に置いてある道具だから文房具というわけです

文房四宝
筆・墨・紙・硯

筆使いの基礎を学ぶことはとても重要ですが、古来より書道の勉強法で行われてきたのが「永」という漢字を練習する「永字八法」です。書道に必要とされる基本技法八種類が全て含まれていることに由来します

書道自体に新しい書体の誕生(速書きから出来上がった書体)と新しい文房具の誕生という2つの大革命が起きたのです。その書道大革命の時に時代の寵児としてそれらの書体の全てを使いこなし類まれな文字感覚で世間を一世風靡したのが王羲之でした

平安時代初期の三筆
空海・嵯峨天皇・橘逸勢

明治の三筆
日下部鳴鶴・巌谷一六・中林梧竹

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想像以上に面白い内容で、読んだ後すぐに書を巡る旅に出たくなりました。

学校でしか学んだことがありませんでしたが、少しだけ書道もやってみようと思います。

文房具の言葉の由来、文房四宝とは何か、唐の四大家、平安時代初期の三筆、明治の三筆あたりは知っておいてもいいのではないでしょうか。

ぜひ、読んでみてください。

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『教養としての書道』前田鎌利・著 自由国民社

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◆目次◆

はじめに
第1章 外国人が知りたい日本の伝統文化 書道への質問
第2章 これだけは知っておきたい日本の伝統文化「書道」
第3章 なぜ今、書道が注目されるのか
第4章 知っていると一目置かれる 日本書道の歴史
第5章 知っていると広がる書道の世界
第6章 知っていると自信が持てる 書道の作法
第7章 知っていると旅が楽しくなる 書道道具の聖地
おわりに
参考文献

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