2024年7月29日

『教養としての「行政法」入門』服部真和・著 vol.6529

【役に立たないようで、めちゃくちゃ役に立つ】
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本日ご紹介する一冊は、服部行政法務事務所、シドーコンサルティング株式会社、synclaw株式会社などを経営する行政書士の著者が、ビジネスパーソンの教養としての「行政法」を紹介した一冊。

行政法とは、本書によると、以下のような定義となります。

<「行政法」は、「国や地上自治体(都道府県)」が、法律に基づき社会を形づくるために必要なルールを定めた法律(個別法)の総称>

行政法は六法全書に出てこないため、政治家や行政に携わる方、およびその周辺の方以外にはあまり知られていませんが、驚くことに、日本の法律の約9割が行政法。

2000本以上に及ぶ日本の法律の約9割が行政法で占められているそうです。

読者の中には、「なんで行政法なんて学ばなくちゃいけないの?」と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、以下の事実を知れば、きっと興味が湧くと思います。

・「官公需」の市場規模は20兆円
・日本国内で実際に官公需の仕事をしているのは全ての企業や事業者のうち2%しかいない

行政法は、この巨大市場を攻略するための基礎であり、知ることで、どこにビジネスチャンスがあるかを理解することができます。

地方公共団体と仕事する方や不動産投資をする方、思い切って立候補して、地方公共団体の首長になろうとする方も、読んでおくと面白いと思います。

本書はまた、生活者目線から見ても、非常に有用です。

われわれが行政からどんな制約を受けることがあるのか、不利益を被った場合、どんな対抗手段があるのか、何を要求できるかなど、詳しいところが理解できます。

法律の本であるため、若干難解な表現があるのが玉に瑕ですが、事例が面白いため、全体としては、楽しく読むことができると思います。

何よりビジネスパーソンにとっては、行政法を知ることで広がるチャンスの方が大きい。

一回読んで覚えられる内容ではありませんが、概要を知るだけでも、勉強になると思います。

お堅い内容なのに売れているという話ですが、理解できる内容ですね。

さっそく、気になるポイントを赤ペンチェックしてみましょう。

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行政法の「型」
(1)行政主体
(2)目的
(3)行政客体
(4)行政活動
(5)要件
(6)効果

行政には独自判断が許されない

「立法機関(国会)でない機関(行政)でも作ることができる規律」のことを「法規」といいます

警職法によれば、警察の職務は『個人の生命や財産を保護するため』に「質問・調査」「保護」「避難等の措置」「犯罪の予防や制止」「土地や建物等の立ち入り」「武器の使用」とされています

国が地方公共団体の事務に関与する場合には、法律の根拠が必要

地方公共団体が国の下部機関ではないことは明らか

学校の設置については多くの小学校や中学校を市町村が設置しています。これらの学校に関する通学区域や教職員の服務監督、入学・転退学の手続、学級編成、教科書選定などを担っています。さらに都道府県は、小学校や中学校における教職員の人事、懲戒、給与決定などを行い、小学校や中学校の職員の給与を負担しています

国家賠償法という法律には、公の営造物の設置・管理の瑕疵により国民(住民)に損害が生じた場合には、国(地方公共団体)に賠償責任が生じることを定めています

不動産価格の形成要素
「社会的要因」
「経済的要因」
「行政的要因」

土地や建物などの価格に影響を与える主だった行政計画は「国土利用計画」と「都市計画」「地区計画」「土地区画整理事業計画」など

保育所の管轄は「厚生労働省」ですが、幼稚園は「文部科学省」

都道府県や市町村(地方公共団体)のトップ(首長)を決める二元代表制は、大統領制と同じ直接選挙

「官公需」を受注するためには「入札」に参加する必要があり、その「入札」に参加するためには資格が必要

指定管理者制度というのは「公の施設」の管理に関する権限を私人(民間事業者等)に委託(委任)して行わせることができる制度

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最初はまったく興味が持てませんでしたが、行政法は、経営者として、市民としての選択肢が広がる、素晴らしい情報源だと思うようになりました。

本書を読んで、地方公共団体の首長を目指す方も、出てくるかもしれませんね。

ぜひ読んでみてください。

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『教養としての「行政法」入門』服部真和・著 日本実業出版社

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◆目次◆

序 章 行政法の構成要素
第1章 要素1 行政法の基本原理
第2章 要素2 行政主体を知る
第3章 要素3 行政客体とは何か
第4章 要素4 行政作用を知る
第5章 要素5 地方自治という共同体
第6章 要素6 行政と私法領域
第7章 要素7 行政救済の手段
第8章 行政法を未来に繋ぐ
あとがき

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