2024年7月16日

『世阿弥 道を極める』世阿弥・著 森澤勇司・編訳 vol.6520

【世阿弥の名言を一気読み。】
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本日ご紹介する一冊は、現代まで約600年間演じ続けられる能楽の基礎を作った能役者にして天才プロデューサー、世阿弥の言葉をまとめた一冊。

編訳者として、能楽師小鼓方の森澤勇司さんが「はじめに」を書いています。

世阿弥といえば、『風姿花伝』が名著として知られていますが、本書では、『風姿花伝』以外にも、『花鏡』『至花道』『風曲集』『遊楽習道風見』『夢跡一紙』『申楽談儀』『拾玉得花』『五音』『五音曲条々』『習道書』『六義』『却来花』『曲付次第』などから、世阿弥の言葉を引いています。

『風姿花伝』
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演劇をやる人や、作品をプロデュースする人、人前に立つ人など、他者を感動させたいすべての人の役に立つ心得が書かれており、勉強になります。

昔、自著『成功読書術』で、『風姿花伝』を紹介していますが、久しぶりにまた『風姿花伝』を紐解きたい衝動に駆られました。

この歳になって、「初心を忘れてはならない」と言われると、刺さりますね。(初心忘るべからずは『花鏡』)

ソデ部分のオビには、こう書かれています。

初心を忘れてはならない。
1.道を志しはじめた時の「未熟さ」を忘れてはならない。
2.キャリアに応じた、その時その時に抱く「感覚」を忘れてはならない。
3.何歳になろうと、初めてというものはある。そのときの感覚を忘れてはならない。

この「初心忘るべからず」から始まり、どうしたら一流に至ることができるのか、相手を感動させられる表現ができるのか、世阿弥の持論が語られます。

いつ読んでも、背筋がピンとなる言葉ですね。

すべて現代語で書かれているので、読みやすいのもこのエッセンシャル版の良いところ。

世阿弥の思想に触れたことがなかったという方は、ぜひこの機会に読んでみてください。

さっそく、気になるポイントを赤ペンチェックしてみましょう。

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どんなことも、「自分は何も知らない」「何もできない」という初心者の心構えで臨めば、自分を磨き続けることができる(『花鏡』)

稽古段階では避けてきた「非風」を少々取り入れることで、名人なりの「是風」を新たに作り出すことができる(『至花道』)

幼い苗が思ってもみない成長を見せる。それが見る人の感動になる。成長を重ねて目的に近づくことが「実り」といえる(『遊楽習道風見』)

どんなにキャリアを積んでもまだ自分の思い込みの外側には成長するための考えが転がっている(『遊楽習道風見』)

同じ言葉を繰り返すことはマンネリ感を生むもとになる。しかしこの繰り返しを逆手にとって心地よいリズムを作り出すこともある(『遊楽習道風見』)

例えば水晶は透明なものだが、そこに光が当たれば赤や青という火性、水性という多彩な色が表現される。このように水晶のような癖のない基礎が多彩な表現をつくるのだ(『遊楽習道風見』)

仕事を習得する順序は中から入り、上、そして下の順番がいい。下から入ると、寿命や時間の限界によって道半ばで絶えてしまうことになりがちだ。自分の能力をあまり見くびらないことだ(『申楽談儀』)

名人のパッと目を引く面白さを真似ようとしてはいけない(『至花道』)

表現には皮、肉、骨がある。
「骨」は生まれ持った性質であり、上手として人間界に望んで生まれてきた資質をいう
「肉」は動き、声という基礎を習得してできるもの。
「皮」は「骨」と「肉」を充分に習得した者の余裕ある美しい表現をいう
(『至花道』)

私たちの仕事は、人々の幸福を増やし長く続くよう祈りを込めることに存在意義がある(『風姿花伝』)

言葉を使う場面で、言葉に花を咲かせようとすることがある。そこに呪縛されると文章が長くなる。飾る心を思い切って捨て去り言葉を使うのがいい(『申楽談儀』)

順序立ててストーリーを作ろうとすると文章が長くなる。必要最小限のことを伝え、きっかけを付け加えるくらいがちょうどいい(『申楽談儀』)

花とは「咲くによりて面白く散るによりて珍しき」(『拾玉得花』)

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ビジネスパーソンにも刺さる言葉が満載で、いつ読んでもいい言葉だなと思います。

本書をきっかけに、他の本も、まとめて読んでみたくなりました。

ぜひ読んでみてください。

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『世阿弥 道を極める』世阿弥・著 森澤勇司・編訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン

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◆目次◆

はじめに
I 初心--学ぶ姿勢とは
II 花--成長
III 勝負の心得
IV 批判を生かす
V 幽玄
VI 品格
VII 面白さ
VIII 成功
IX 幸福
参考文献

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