2024年6月26日

『勝者の科学』マシュー・サイド・著 永盛鷹司・訳 vol.6507

【マシュー・サイドの新刊が登場】
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本日ご紹介する一冊は、『非才!』『失敗の科学』などのベストセラーで知られる、マシュー・サイド氏の新刊。

『非才!』
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『失敗の科学』
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著者は、英『タイムズ』紙の第一級コラムニストで、イギリスの卓球チャンピオンでもある、マシュー・サイド氏。

『非才!』では、成功を左右する偶然の要素と、最終的に必要となる努力について述べていましたが、今回の本は、勝利するための心構えとチームの法則について述べています。

もともとは、著者がスポーツについて書いたコラムを集めたものらしく、そのため、内容はすべてスポーツの話になっています。

大リーグの大谷翔平選手や日本サッカー、男子バレーの例を出すまでもなく、現在、スポーツの世界には革命が起こっています。

かつてないほどの日本選手の活躍を見てわかるのは、やはり勝利には科学的アプローチと、それを支えるチームの存在が重要だということ。

本書では、華々しく成功したスポーツ選手を陰から支えた存在にフォーカスし、勝利を実現したさまざまな要素を考察しています。

モハメド・アリを支えたトレーナーのアンジェロ・ダンディー、自転車競技のイギリス代表チームを率いたデイヴ・ブレイルスフォード、著者らを支えてくれた、地元卓球クラブのハリデイ…。

漠然と勝利に憧れる人は、本書を読むことで、現実の勝利に必要なあらゆる要素について考えることができるでしょう。

リスクへの恐怖や思い込みを乗り越えること、常に状況をスキャンすることなど、スポーツ以外にも応用できそうな考えがいくつも書かれており、どちらかというと自己啓発書に近い本だと思いました。

努力や勝利、パフォーマンスに関する学術理論も出てくるので、知っておけば、勝利を阻害する悪条件を未然に排除することができるかもしれません。

さっそく、気になるポイントを赤ペンチェックしてみましょう。

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スポーツは、コンピューターゲームやビデオゲーム、および未来のバーチャル・リアリティにその座を明け渡すと思われていた。(中略)ところが、スポーツは不思議な持久力を示し続けている。さらには、この数十年で縮小するどころか、より盛り上がっている

成功とは、偉大なチームによって達成されるものでもある

その抜け目なさが、ダンディーの実像だった。彼は自分と組んだボクサーたちの面倒をよく見た。彼らを感化し、訓練し、トレードマークである左ジャブと右オーバーハンドパンチを伝授した。そして、決勝のラウンドで体力の限界に達しようとしているとき、彼らに自分を信じる力を与えた。しかし何よりも優れていたのは、さまざまな人間関係やエゴ、およびボクサーを取り巻くとても壊れやすい社会的バランスを操る能力だった

単純化された「才能」という概念は、レジリエンス(立ち直る力)を壊してしまう

当事者意識が選手もチームも強くする

権力の分散は内発的モチベーションを生み出す

心理学的に言えば、自分自身がつくったルールを破って叱責されるのと、上から指示されたルールを破って叱責されるのとでは、天と地ほどの差がある

統計的な相関関係の発見がチームや監督にとって有用なのは、対戦相手がそれをまだよくわかっていない場合だ。何らかの知見がすでに確立されていたとしたら、値がつけられて市場に出回る。言い換えるなら、競争で差をつけるなら、情報は独自のものでなければならない

常に状況をスキャンすることが習い性となった選手は、誇張ではなく、とても大きなアドバンテージを持っている

偉大なスポーツ選手たちは対戦相手の細かい手がかりを「読む」ことができ、早期に警戒するべきしるし(姿勢、ボディーランゲージの小さな変化など)から、相手が何をしようとしているかの情報を得られる

エリート級のスポーツ界には、「クワイエット・アイ(視線固定)」という確立された現象がある。これは、とても優れたスポーツ選手は、普通の人よりもわずかに長い間、ピッチの一部(あるいはボールやF1サーキットのカーブ)に向けて固定された完璧に静止した視線を保つことができ、それゆえ行動する前により多くの情報を引き出せるというものだ

他者の努力にただ乗りするのではなく、そこにプラスする

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既刊書に比べ、若干の読みにくさを感じましたが、そうは言ってもさすがマシュー・サイド。

スポーツ界から経済界まで巻き込みそうな、興味深い議論が展開されています。

個人的には、これを読んで誰かを勝利させるためのボランティア活動がしたくなりました。

「スポーツ」や「勝利」の見え方が変わる本だと思います。

オリンピック前にぜひ、読んでみてください。

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『勝者の科学』マシュー・サイド・著 永盛鷹司・訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン

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◆目次◆

序論
第1章 チャンピオンのつくり方
第2章 メンタルのゲーム
第3章 美について
第4章 政治のゲーム
第5章 スポーツのアイコンたち

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