2024年6月11日

『ビジネスを育てる新版』ポール・ホーケン・著 阪本啓一・訳 青木耕平・解説 vol.6496

【再読したいスモールビジネス向けの名著】
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本日ご紹介する一冊は、世界で200万部を突破した、スモールビジネスのバイブル。

原題『Growing a Business』の邦訳の新版です。

著者は、複数のビジネスを成功させ、起業家、作家、活動家として活躍中のポール・ホーケン氏です。

2005年にバジリコさんから出た時も書評しましたが、何せあれから19年。

起業から20年経て、自分がこの本をどう受け取るのか、確認してみたくて再読することにしました。

この新版は加筆修正されており、丁寧な訳注も付いていますが、それに加え、訳者・阪本啓一さんによるあとがき、さらには本書から影響を受けたという「北欧、暮らしの道具店」クラシコムの代表、青木耕平氏の解説も付いています。

両者の主張からはっきり言えることは、インターネットやスマートフォン、SNSの影響によってこんなにビジネス環境が変わっても、本書の教えはまったく色褪せないということ。

スモールビジネスを立ち上げる人にとって、ニッチを攻める起業家にとって、本書は、一生モノの知恵と勇気を授けてくれる、そんな本なのです。

「人は自分の大志を、ビジネスの世界でも思いっきり表現することが可能である」

という大好きな言葉に始まり、起業家を鼓舞し、リスクに備えさせる、さまざまな金言が登場します。

「創業間もなかったり、育ち盛りのビジネスにとって、資金があり余ることは、ないよりタチが悪い」

「起業家精神とは、行動するより前に、見ることである」

「損益は損益計算書に任せればよろしい。大切なのは、損益にかかわらず、何事かを生み出す泉となる数限りない活動である」

昔読んだ時の赤ペンチェックを見ると、起業直後の自分は、自由と勇気、使命感への着火剤を求めて本書を読んでいたんだということがよくわかります。

そういう意味では、古いからといって若い人に読まれないのはもったいない本だと思いました。

規模の大小を問わず、起業家、挑戦者に、ぜひ読んで欲しい一冊です。

さっそく、気になるポイントを赤ペンチェックしてみましょう。

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起業家精神とは、社会が短期的・長期的に何を求めているのか、想像力を働かせて考え、製品やサービスを最適に提供できるよう自社を構築すること

成功とは攻撃的になったり、一日18時間働いたりすることを指すのではありません。また、お金に対する強欲さや欲望でもない。あくまで自分自身の内なる声と、自分を取り巻く世界に耳を澄ますことを指します

ビジネスが失敗する基本的要因はきわめてわかりやすい。顧客がいないことである

ビジネスが大きくなると、会社自身が生命を持ち始めるのである

「問題は常にある」
問題があるからこそ、そこにチャンスがある。問題はチャンスが姿を変えているだけなのだ

良いビジネスは面白い問題をはらんでいる。悪いビジネスの問題はつまらない

グレゴリー・ベイトソンはかつて、情報を構成する主要な要素を「違いを作る違い」と定義した。商品を、物質的なモノではなく、含有する情報量が重視される経済においては、製品やサービスを製造したり顧客の元に届けたりするのに、いかにして「違い」を創造できるかが成功への鍵となる

変化、意味ある変化は常に辺境、境目から生まれる

もし、あなたのビジネスプランがすべてうまくいくことを前提に成り立っているのであれば、遅かれ早かれ壁にぶつかるはずだ。目を逸らさずに失敗を、そして失敗になりそうなこと、すべてを見つめなければならない

人があなたを尊敬したり信用したりするのは、あなた自身が他人様のお金をどう扱い、どのように敬意を持って接しているかで決まる

フレッド・スミス(フェデックス創業者)の金言がじわりと胸に響く。「借りすぎる最大の問題は、君が新しい共同経営者を得てしまうことだ」

ぼくは、ビジネスをするのに、アタマの良さとはまた別の重要な資質のあることに気づいた。それが「商売のセンス」だ

マイケル・フィリップスとサリー・ラズベリーは商売のセンスを、次の4つの属性に分類している。第一に、粘り強く物事をやり遂げる力。第二に、事実に向き合う能力。第三に、リスクを最小にできる力。第四に、現場で学ぶことのできる力。ぼくはこれらにもう一つ、第五の力を加えたい。それは、数字で考える力だ

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著者による「日本の読者の皆様へ」に、アメリカの詩人、メアリー・オリバーの言葉が載っていますが、これを読めば、誰しも自分の事業を始めなければならない、と思うはずです。

「人が最も恐れるのは、自分が何か特別で、手応えあることをなし得ないまま生涯を終えるのではないかということ」

意義ある人生を送る、と決めた読者にとって、本書が福音となることは間違いありません。

ひさびさに再読して、やっぱり本書は素晴らしい本だと再確認しました。

現在、スタートアップに関わっている人は、解説者・青木耕平氏が本書から受け取ったメッセージを解説した部分も注目です(「私たちが強く影響を受けた4つのポイント」)。

ぜひ、読んでみてください。

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『ビジネスを育てる新版』ポール・ホーケン・著
阪本啓一・訳 青木耕平・解説 ディスカヴァー・トゥエンティワン

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◆目次◆

日本の読者の皆様へ
第1章 あなたらしさを実現するために
第2章 成功のヒント、成功のワナ
第3章 小さくても大丈夫!
第4章 グッドアイデアだと思ったら時すでに遅し
第5章 成長の秘訣
第6章 お金
第7章 商売のセンス
第8章 まず、顧客に「パーミション」をもらうことから始めよう
第9章 顧客の視点から学ぶ
第10章 良い仲間で良い会社を作ろう
第11章 聖堂守
訳者あとがき
解説
訳注

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