【日経平均が30万円に?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833440539
本日ご紹介する一冊は、トルコ・イスタンブール出身のエコノミスト、グローバルストラテジスト、エミン・ユルマズさんによる話題書。
6月17日に発売されたばかりですが、今週のトーハンのビジネス書ランキングでは、既にトップ10に入っています。
2025年に日経平均が5万円、その後30万円に向かうという、にわかには信じがたい主張をする方ですが、本書には、その根拠とこれからの日本経済の予測が書かれています。
アメリカの資産バブル崩壊や中国の景気後退、それに伴う地政学リスクの上昇などが詳細に書かれています。
現在、新NISAを使って、世界中の株式市場に分散投資する投資信託を買っている人が多いと思いますが、そういう方ほど、しっかり読んで仕組みを理解しておいた方がいいと思います。
仮想通貨や金、不動産も同様です。
エコノミストの著者が書いているので、投資の実践を期待してしまいますが、本書の中心は、表紙にも書かれているように「地政学」です。
中国、ロシア、アメリカ、インド、中東諸国などの複雑な政治・経済事情とパワーバランス、その理由がよくわかる内容で、国際情勢に疎い方は、読んでおくと勉強になると思います。
国際情勢がどちらにどう振れたら投資にどんな影響があるのか、その辺のメカニズムも併せて解説してくれているので、資産防衛のためにも、読んでおくといいと思います。
どんな荒唐無稽な主張も、時間が経つと、後から正しかったことがわかるものですが、本書が主張する「日経平均30万円」「5万円紙幣」「新卒初任給100万円」が実現する未来も、案外本当に訪れるのかもしれません。
インフレ、AIバブル崩壊、戦争、何が来るにしろ、備えておいて損はありません。
投資家は、頭の体操をするつもりで読んでおくといいと思います。
さっそく、気になるポイントを赤ペンチェックしてみましょう。
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デフレからインフレへの転換に伴い、これから日本人の給料は上昇する
「AIバブル」は弾け、地政学の時代が来る
実質、鎖国状態となった中国からグローバル資本だけでなくサプライチェーンが逃げ出している。それがどこに向かうかというと、世界中を探しても「代わりになる国」はそうはない。ある程度インフラや人材が揃っていて製造業が盛んな国となると、結局、日本しかないのだ
グローバル投資の形は株式だけではない。半導体工場がやってくるように、これから日本に直接投資(FDI)をする動きが活発化していく。日本へのFDIは対GDP比1.1%で、2022年は中国を超えた
あと20年くらいしたら、5万円紙幣が出てくるかもしれない。日経平均30万円時代の新卒初任給は、100万円くらいになっていてもおかしくない
「エブリシング・バブル」として私が指摘してきたバブルのうち、最も大きなものは米国の「資産バブル」だが、実は2021年時点で、世界で最も大きなバブルは中国の「不動産バブル」だった
世の中がリスクオフになると、暗号資産や不動産担保証券のように、もともと流動性が現金から最も遠い位置にある資産は、本来の位置に戻ろうとする
中国バブルが崩壊した時、世界にどのような影響をもたらすだろうか。確実に起こるのは、コモディティのデフレだ
原油や鉄、セメントを買い付けるためには、米ドルが必要
米国の株式市場の時価総額が、世界の株式市場のそれに占める比率は約60%なので、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスのポートフォリオに占める米国株式の組入比率は60%前後になっている
2023年4月に対して、同年10月の失業率は0.5%上昇しているので、米国経済はそろそろ景気後退局面に入るのではないかと考えられる
米国はフィリピンを重要な軍事拠点と考えるようになり、今後は経済面も含めて、フィリピンを積極的に経済発展させようとするはずだ
沿海州を取り戻すということは、中国にとって宿願である海洋進出の大きなきっかけとなる。なにしろ沿海州には、ロシア太平洋艦隊の拠点でもある、ロシア最大の軍港ウラジオストクがあるからだ
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オリジナルの情報に乏しいですが、それでも一般公開されている情報から、考えられるあらゆるシナリオを炙り出した、興味深い内容です。
投資、資産防衛のヒントに、またビジネス教養として、ぜひ、読んでおきたい一冊です。
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『勝者の科学』マシュー・サイド・著 永盛鷹司・訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン
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◆目次◆
プロローグ 世界経済の未来を「ストーリー」で読む
PART1 2つの大国が抱える苦悩
PART2 世界の地政学リスクを読み解く
PART3 新冷戦の中で日本が生き残るための活路を考える
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