【最新調査でわかる「幸福の条件」】
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一時期、幸福に関する議論が流行し、Xなどでは、古い理論のまま、幸福を語っている人がちらほら見られます。
本日ご紹介する一冊は、最新のエビデンスに基づき、幸福を論じた、興味深い一冊。
著者は、拓殖大学政経学部教授で、労働経済学、家族の経済学、幸福の経済学を専門とする、佐藤一磨さんです。
本書のなかで著者は、幸福に関する衝撃的なデータを披露しています。
いくつかご紹介しましょう。
・人生の「幸せのどん底」は48.3歳
・経済成長と幸福度は関連がない
・経済成長すると子どもの幸福度は低下する
・日本では管理職に昇進しても幸福度は上昇しないし、健康状態は悪化する
・妻が管理職だと夫の幸福度は低い
・弟がいる長女の年収は16%低い
・未婚の子との同居は幸福度を下げる
これだけでもきつい結果ですが、詳細を読むと、さらに衝撃的なことがいくつかわかってきます。
なお、幸福が年収7.5万ドルで頭打ちになるというカーネマンらの分析結果は、最新の研究によって否定されているらしいので、アップデートできていない方は、ぜひ読んでおきましょう。
最新の調査結果では、「年収が7.5万ドル以上になっても、幸福度は伸び続ける」ようです。これまたシビアな結果ですね。
タイトルには「お金」とありますが、実際には、パートナーシップや兄弟構成、働き方、親子の同居などが幸福に及ぼす影響が広く論じられています。
世間の論調とは異なり、現在の日本で幸福に生きるための真実が見えてくる、貴重な文献だと思います。(この本、一部の論者にとっては極めて不都合な内容なので、おそらく口コミしてもらえないでしょうね…)
個人的には、とても読み応えのある本だと思いました。おすすめです。
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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人生の「幸せのどん底」は48.3歳
日本における幸せな女性の特徴は、「未婚」よりも「既婚」、「共働き」よりも「専業主婦」、そして「子あり」よりも「子なし」である
年収が7.5万ドル以上になっても、幸福度は伸び続ける
経済成長と幸福度は関連がない
経済成長のマイナスの影響は、幼年期からの勉学にさく時間の増大
スターリング大学のクリストファー・ボイス博士らのイギリス全土の民間企業の就業者も含んだデータ分析
・もともと健康状態がいい人ほど管理職に昇進
・管理職に昇進した3年後にメンタルヘルスが悪化
妻が管理職だと夫の幸福度は低い
妻の幸福度は、夫が(1)管理職の正社員、(2)非管理職の正社員、(3)非正社員、(4)非就業の順になっていました
女性活躍推進法の施行によって、男性の仕事満足度は低下
「妻が高学歴」だと世帯年収が低い
女性も若い男性と結婚したほうが夫婦関係満足度が高まり、逆に自分よりも年上の男性と結婚すると、夫婦関係満足度が低くなっていた
年下婚のメリットは10年で消える
夫が長男の場合、妻の幸福度は低下しています。ただし、その影響は大きいとは言えません。むしろ、義両親との同居のマイナスが強く、夫が長男の場合の2・4倍の大きさです
じつは長男ほど学歴が高く、その結果として年収も高くなることがわかっています
妻の幸福度が夫よりも低い場合のみ、離婚確率が上昇する
弟がいる長女の場合ほど、STEM(科学・技術・工学・数学)の分野を専攻する割合が約7・4%低くなっていました
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本書を読むと、メディアやインフルエンサーに影響されて人生を決めることのアホらしさを痛感しますね。
あなたを「都合の良い人間」に仕立て上げようとするあらゆる勢力から距離を置き、本当に大切なものは何かを見極める、良いきっかけになる本だと思います。
ぜひ読んでみてください。
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『残酷すぎる幸せとお金の経済学』佐藤一磨・著 プレジデント社
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◆目次◆
はじめに
序 章 「幸せ」の測り方
第1章 幸せはお金で買えるのか
第2章 出世すると幸せになれるのか
第3章 結婚したら幸せになれるのか
第4章 「子どものいる女性ほど幸福度が低い」のはなぜか
第5章 離婚したら不幸せになるのか
第6章 「家族ガチャ」で人生は変わるのか
第7章 なぜ日本の男性は幸福度が低いのか
第8章 「幸せのどん底」は何歳でやって来るのか
終 章 経済学が導き出す「幸せの条件」とは
おわりに
脚注一覧
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