【行動経済学のビジネス実践例】
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本日ご紹介する一冊は、最近流行の行動経済学の本。
類書との違いは、本書が行動経済学者と、広告クリエイティブのプロフェッショナルとのコラボで書かれている点です。
人間の非合理性が、ビジネスの現場でどう使われているか、その実践例が書かれており、ビジネスパーソンにとっては、まさに知りたい内容。
流行の行動経済学本ということで、既知の内容が重複して出てくるのは仕方ないですが、実践例を読むだけでも面白いと思います。
なぜカジノが「現金」ではなく「コイン」を使わせるのか(負けた時に痛みを感じにくくなる)、なぜスーパーは「野菜売り場」から始まるのか(健康なものを買わせておいて、その後不健康なものを買わせるため)、なぜ人気レストランの皿は、料理に比べ極端に大きいのか(食べる量が増える)、なぜアップルはiPodに「白いイヤホン」をつけたのか(他と違うものは目立つ)…。
人間の認知メカニズムを知れば、当然ですが、ビジネスは伸びます。
そういう意味で、マーケター、経営者にはぜひ読んでいただきたい内容です。
とはいえ、本書は単なる金儲けテクニックの本ではありません。
後半には、人間の行動を正しく導くためのヒントが書かれており、個人の能力開発のヒントとしても読めると思います。
ある程度勉強している人にとっては、おさらいの要素が強い本だと思いますが、登場する事例や文章が面白いため、なんとなくグイグイ引き込まれてしまいます。
行動経済学を一から学びたい人も、ある程度勉強した人も、読んでみて損はないと思います。
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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プラスチックのチップを使って賭けをすると、現金を使った場合よりも負けたときに苦痛を感じにくくなる
自分を過大評価するのは他人がいるとき
意志に頼るのではなく、環境を変える
ニンジンをファストフードの包装紙で包んで与えると、子どもは「いつもより美味しい」と言うだろう
ある実験によれば、皿の大きさを2倍にすると、被験者が食べる量は41パーセントも増えた
大量の情報は注意の欠乏をもたらす(ハーバート・サイモン)
ダイエットを成功させたいなら「数字のない」体重計を使うべき
手にカゴを持っている客は多く買い物をしやすい
「みんなが選んでいるから」というのは、デフォルトの選択肢を選ぶもっともな理由になる
賢い企業は、必要がない限り、むやみに消費者の習慣を壊そうとしない
エンダウド・プログレス効果
「ここまでスタンプを貯めたのだから、途中でやめるのはもったいない」
人を夢中にさせる4段階の「フック・モデル」
1.「トリガー」を与える
2.ユーザーの「アクション」が起こる
3.変化するリワード(報酬)を与える
4.インベストメント(投資)、または「サンクコスト」
人は「選択の可能性が消える」のを嫌がる
オンラインショップでは、画面の上の位置にその時点の総額ではなく、カートに入っている製品の数を表示していることが多い。だが、これだと予算を決めて買い物をしている顧客は総額がわからないために買う量を減らす可能性がある。つまり、サイト側はこの意味では損をしているかもしれないのだ
「皆さんもご存じのように」で権威を高められる
先延ばししたくないなら、スケジュール帳は色分けされていない1色刷りのものにしたほうがいい
「コーヒーが無料で飲めない」職場では、盗難やハラスメントが起こりやすい
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個人的には、272ページの<すぐやる人は「未来時制」を使わない>が刺さりました(笑)。
マーケティングなどの人を動かすノウハウとしてはもちろんですが、自分を動かすためのヒントとしても、ぜひ読んでおきたいところです。
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『勘違いが人を動かす』エヴァ・ファン・デン・ブルック、ティム・デン・ハイヤー・著 児島修・訳 ダイヤモンド社
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◆目次◆
訳者はじめに
はじめに
日本語版への序文
第1章 脳に騙される私たち──自分にとって都合のいいことばかり考えてしまう理由
第2章 なぜ人は怠けてしまうのか──「面倒くさい」を脱し「すぐやる人」になる方法
第3章 「想像の痛み」から逃げたい──不安やストレスに振り回されない技術
第4章 「人と同じ」じゃないと不安──「同調」と「社会性」を使いこなす
第5章 「今すぐ欲しい」が「まだやりたくない」──「時間」を効率的に使うコツ
第6章 知らぬ間に注目している──誘惑の仕組みを利用する
第7章 報酬はどう与えるべきか──「アメとムチ」をうまく使うために
おわりに
謝辞
エヴァからの私信
ティムからの私信
訳者あとがき
原注
付録 人を動かす71の認知バイアス
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