【珍しい「反省(改訂)本」】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344041674
本日の一冊は、新時代の編集者として注目され、自著『死ぬこと以外かすり傷』が14万部のベストセラーとなった、箕輪厚介さんによる反省(改訂)本。
『死ぬこと以外かすり傷』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4838730152
文春砲に撃たれ、絶頂からどん底を経験したベストセラー編集者が、その時何を考えたか、どこに活路を見出したか、前作に赤入れする形で書かれており、じつに興味深い編集です。
前作の内容は赤色ページに、今回加筆した原稿は白色ページにまとめられており、考えを改めた部分は、赤色ページの原稿に赤入れする形で表現しています。
死ぬこと以外かすり傷→かすり傷も痛かった
予定調和を破壊せよ→予定調和を破壊するな
トラブルに身を投げろ!→トラブルはすべて身から出た錆
安全安心を破壊せよ→安全安心があるから戦える
随分丸くなった印象ですが、現実にぶつかって初めてわかったことが書かれており、若い世代の処世術として、役立つのではないでしょうか。
一度評判を落とした人のブランディングについても書かれており、目下話題の鳥羽シェフが出てきたのには笑いました。
著名人との交流が多い編集者だけに、周囲の方を観察して得られた悟りも、本書の読みどころです。
実用性でいったら、先日ご紹介した『怪獣人間の手懐け方』が読み応えありますが、本書も捨てがたい魅力のある一冊です。
『怪獣人間の手懐け方』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4295408794
幸せに生きるためのヒントが欲しい人は、ぜひ読んでみてください。
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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たしかに、今の時代には「成長なんて必要ない」「ありのままでいい」と優しく投げかけたほうがウケる。でも騙されてはいけない。それは、あなたを安心させるだけで救ってはくれない
『THE TEAM』を書いた起業家の麻野耕司さんが珍しくいいことを言っていた。「成長でも脱成長でもいいけど、人間は物語がないと幸せに生きられない。自分で物語を作れなくても会社とか宗教とか推し活とか他者の物語に参加することで生きがいを感じられる」
日常があるから祭りがあり、抑圧があるから解放が輝くのだ。自分の祭りを楽しむためには、僕も僕の日常を生きていかないといけない
僕は面白いコンテンツを生み出したかったら安全安心な場所を持ってはいけないと半ば強迫観念のように思っていた。しかし人に見せないだけで戦う人はみな安全安心な場所を持っていたのだ
「言ってはいけないこと」はやはり言ってはいけないのだ
結局は、僕そのものに値がついていたわけではなく、「意識高い若者」というジャンルの代表として消費されていただけだった
僕は何周か回って会社の時代がまた来ると思っている。「奴隷の幸福」という言葉がある。人間は何かやるべきことを上から強制されたほうが案外幸せで、何もかも自由にしていいと言われると途端に迷子になってしまうというような意味だ
ブランドは「デザイン、世界観、機能性」で作られるとよく言われる。デザインや世界観というイメージはすぐに作られ、すぐに壊される。しかしワークマンの作業服がファッションブランドとして再度脚光を浴びているように、機能性という実力は消えない
人が時代を作っているのではなく、時代が人を作っている
僕は思いつくままなんでもやってきたが、実は人間というのは、やりたいけどやれないと思っている時が一番楽しいのかもしれないということに気付いた
勇気を出してくだらないものは作らないと決めることも大切だ
人生の楽しみを「生産」だけでは埋められなくなる時に、プロセス自体を楽しめる「表現」を持っていられるかが大切
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本は改訂しても、どこがどう変わったのか、わかりにくいことが多いですが、本書の編集手法なら、バッチリどこがどう変わったのか、わかりますね。
『「伝説の社員」になれ!』も、この手法で復活させたいと思います(笑)。
ぜひ、読んでみてください。
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『かすり傷も痛かった』箕輪厚介・著 幻冬舎
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344041674
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◆目次◆
はじめに こっちの世界では革命は起こらない
第1章 予定調和を破壊するな
第2章 自分の手だけで金を稼ぐな
第3章 名前を売ると叩かれる
第4章 手を止めて考えろ
第5章 当たり前の生活をせよ
第6章 熱狂は気まぐれだ
おわりに かすり傷のまま生きていく
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