【歴史小説沼にハマりそう。】
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本日ご紹介する一冊は、ダンスインストラクターを経て歴史小説家となり、直木賞まで受賞したという異色の経歴の持ち主、今村翔吾さんによる歴史小説ガイド。
ビジネスパーソンに向けて、歴史小説がどう仕事や人生に役立つのか、どんな作品のどこを読めばいいのか、紹介されています。
当初は自己啓発的な内容や名言を期待していたのですが、その部分は限られており、歴史小説そのものの基礎知識、有名な作品・書き手の紹介が中心となっています。
ある意味、肩透かしを食らったわけですが、それでも満足させてしまうのが、さすが直木賞作家。
歴史小説の醍醐味がわかる上、ビジネスに役立つ知恵に関しては、その都度、適切な歴史小説を紹介してカバーしています。
ビジネスパーソンを「教養」という言葉で釣って、歴史小説沼に引きずり込もうという、著者・編集者の意図が見え見えなのですが、それでもなお、抗えない力を感じます。
著者が元々歴史小説ファンであり、心から歴史小説を愛しているからなのでしょう。
個人的には、気持ちよく、引きずり込まれた気がします(笑)。
執筆している側だからわかる、創作の舞台裏や、現在ヒットしている作品で歴史小説からヒントを得ているものは何かなど、業界の裏側に興味のある読者にも、嬉しい内容。
歴史小説を書きたい読者にとっても、成功のヒントが書かれています。
「教養」の2文字に騙され、ふと手に取ったら、歴史小説家になっていた、なんて未来のキャリアもあるかもしれません。
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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好きな「時代」や「人物」から興味を広げていけば、確実に歴史が好きになります
政治家の多くが歴史の教養を共有し、史実を引き合いに政策を訴えることを自然に行っていました。たとえば、小泉純一郎元首相は、内閣発足後の最初の所信表明演説で「米百俵の故事」を引用しています。『米百俵』は作家の山本有三が戯曲として書き下ろした作品です。明治の初期、厳しい財政難にあえいでいた越後・長岡藩に、支藩の三根山藩から米百俵が届けられました。食うや食わずの藩士は、これで飢えをしのげると喜びました。しかし、長岡藩の大参事である小林虎三郎は、米百俵を学校設立の資金に当てました。その結果、この学校から優秀な人材が輩出され、日本の近代化に大きく貢献することとなったのです。小泉元首相は、このエピソードを引用した上で、今の痛みに耐えて明日を良くするために改革を進めようと訴えたのです
歴史の偉人を見ていると、病気や事故、暗殺といった予想外の不運に見舞われ、あっけなく命を落とすケースが目立ちます。それを見て思うのは、「今日を精一杯に生きなければならない」という当然のことです。偉人の生涯に触発されて「自分は人生で何を残すか」について考えることもあります
池波先生は、旅館などに泊まるときは、心づけを先に渡すと書いていました。最初に渡せば、サービスが良くなって快適に滞在できるからです
あの局面では、捕まろうが無様であろうが、1%でも可能性があるなら、信忠は逃げるべきでした。その選択をしなかったという時点で、信長は帝王学の伝え方を失敗したといわざるを得ません
「承継に失敗した組織が潰れる」というのは時代を超えた真理
大久保利通は、初代の内務卿(現代でいうと総理大臣)でしたが、公共事業に私費を投じ、多額の借金を作っていたという逸話があります。しかも、債権者たちは大久保の借金の使い道を知っていたので、死後は遺族に対して返済を求めなかったといいます
歴史を見れば、教育に力を入れない国は確実に衰退しています
『呪術廻戦』や『ONE PIECE』も、源流をたどっていくと山田風太郎の『甲賀忍法帖』にたどり着きます
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歴史小説は、それほど読んでいなかったのですが、本書を読んで、俄然興味が湧いてきました。
まんまとハメられましたね(笑)。
歴史小説ファンはもちろん、そうでない方にもおすすめの内容です。
ぜひ、読んでみてください。
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『教養としての歴史小説』今村翔吾・著 ダイヤモンド社
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◆目次◆
はじめに
序 章 人生で大切なことは歴史小説に教わった
第1章 歴史小説の基礎知識
第2章 歴史小説が教える人としての生き方
第3章 ビジネスに役立つ歴史小説
第4章 教養が深まる歴史小説の活用法
第5章 歴史小説を読んで旅行を楽しむ
第6章 歴史小説 創作の舞台裏
第7章 教養としての歴史小説ガイド
おわりに
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