【プロ校閲の文章修正テクニック】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4490210841
本日ご紹介する一冊は、朝日新聞元校閲センター長で、現在は文筆家・文章コンサルタントして活躍中の前田安正さんによる一冊。
ベストセラーとなった『マジ文章書けないんだけど』の著者といえば、わかる方は多いのではないでしょうか。
『マジ文章書けないんだけど』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4479795863
本書では、現代人にありがちな文章の悩みや、文章を書き始めた人がやってしまいがちな失敗、ある程度書けるのに長い文が書けない人への問題解決策が示されています。
4W1HにWHY(理由)を追加する視点や、「状況」→「行動」→「変化」を綴ったものがストーリーというシンプルな説明に、目からウロコが落ちました。
確かに、こう説明されれば、文章は簡単に直せるような気がしてきます。
さすがはプロの校閲さんですね。
最も多くページが割かれている第7章「文章を点検する際のポイント」は、校閲を受ける側として、特に勉強になりました。
自分の文章をチェックする際の視点がほぼ網羅されているので、文章を書く人は、全員読んでおいた方がいいと思います。
実際の文章の添削例なども載っているので、原理原則だけで終わらないのがいい。
これは実践的な文章本だと思います。
第8章「校閲七つの教訓」では、固有名詞や数字をチェックする際の注意点について書かれており、プロ編集者でも勉強になると思います。
著者、編集者、ビジネスパーソンにおすすめの一冊です。
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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第三者に伝わるようにするには、「閉じられたコミュニケーション」から、第三者にも伝わる「開かれたコミュニケーション」手段として、過不足のない文や文章にするということです
第三者に伝えることばにする場合には、「情報にする」という意識を持つべき
実は、文章を書く際に忘れがちな「WHY=なぜ」こそが、ことばを情報に変えていく手段として有効
「状況」→「行動」→「変化」を綴ったものがストーリー
文章がうまく書けない理由の一つに、骨の部分を深掘りして肉付けせず、直接関係のない枝葉を伸ばして冗長にしてしまうことがあります。状況の説明を積み重ねるばかりでかえって文章全体が散漫になり、書きたい内容が伝わりません。文章は、いかに焦点を絞って深く書いていくか、なのです
「一つの要素で一つの文を書く」というのは、主語と述語が1回だけで成り立つ文(単文)で書くということです
「ので」「が」を見つけたら、その前後で分割する
「骨」を定めて、そこから書き始めると、対象を深く掘り下げることができる
伝えたいことは前に出す
キーフレーズ、キーワードは独立させる
読点(、)に頼りすぎて、そこに含まれることばを略してしまうことがあります。伝えるべき内容をことばで表現するようにします
例1)君、元気でよかった。
「君」の後にいくつか異なる助詞を加えてみます。
(1)君が、元気でよかった。
(2)君は、元気でよかった。
(3)君も、元気でよかった。
面積は正方形に当てはめて、1辺の長さを計算する
取材したり校閲したりするときに、とても重要な考え方があります。「それは本当か」と、常に疑問を持ち確認する作業です
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著者が国語の先生だったら、きっと子どもたちは文章が好きになるだろうに。そう思わせるような内容でした。
ちょっとマニアックな業界ネタも出てくるので、直接的には業界人向けですが、文章を学ぶ機会のなかった大人たちに、広くおすすめしたい一冊です。
ぜひ、読んでみてください。
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『文章は簡単に直せる!!』前田安正・著 東京堂出版
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◆目次◆
第1章 伝えるとは何かーー情報とメディア
第2章 改めて5W1Hを考える
第3章 新聞記事の変遷から文章を考える
第4章 文の構造を考える
第5章 文章の構造を考える
第6章 筆者、デスク・編集、校閲の視点から見た文章
第7章 文章を点検する際のポイント
第8章 校閲七つの教訓
第9章 気をつけるべき表現 その考え方
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