【リード・ホフマン、ChatGPTと未来を語る】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4296001604
本日ご紹介する一冊は、リンクトイン、Inflection AIの共同創業者であり、OpenAI最初期の投資家でもあるリード・ホフマン氏が、GPT-4と対話して書き上げたという、異色の一冊。
「激変に備える10の視点」として、AIが影響を与える、あるいは新たに可能にする仕事を取り上げ、その光と影を論じています。
教育やクリエイティブ分野、司法、ジャーナリズム、ソーシャルメディア、仕事など、あらゆる分野における現時点での可能性と、GPT-4の回答を載せており、来るべき未来の、LLM(大規模言語モデル)活用のヒントがまとめられています。
個人的に興味をそそられたのは、第9章「知識人との対話」で、既に亡くなった偉人との対話が「それっぽく」できるというのは、魅力的なコンテンツだと思いました。(そう考えると、『もしも徳川家康が総理大臣になったら』って、斬新な本でしたね)
ChatGPTの活用可能性については、今でもいろいろ取り沙汰されていますが、本書を読むと、さらにイメージが豊かになると思います。
また、なぜ不正確な回答が出るのかなど、技術的な問題についても、リード・ホフマン氏の解説が載っているので、理解が深まるでしょう。
何がAIにできて、何が人間にしかできないか、という議論はこれまでにもなされていますが、本書を読んで技術的な部分も理解すると、さらに正確な議論ができるようになると思います。
著者はAI分野に関して、こんなコメントを残しています。
<この分野からは、2020年代の終わりまでに、11桁の金額でイグジットする(つまり、100億ドル以上で買収されるか、上場する)企業が数十社は出てくるだろう>
そんなAI分野で、これから有望な企業
・技術のリストも挙げられており、投資家は、ここだけでもチェックする価値があると思います。(もちろん、ポジショントークも混じっていると思います)
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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いずれの場合も、すべて計算とプログラミングにすぎないのだ。LLMは、少なくともいまのところは、常識的な推論をしたり世界の仕組みを考えたりするための事実や原理までは学ばない。あなたが質問しても、やりとりの目的についてLLMは何も理解していない。LLMは生成する回答について事実関係の確認や倫理的判断をしている訳ではなく、入力されたプロンプトの単語の並びに対して回答すべき内容をアルゴリズムで推測しているだけだ
LLMが学習に利用するコーポラは通常、バイアスや有害な内容を含む可能性のある公共のウェブソースをもとにしているため、人種差別や性差別、脅迫などの不快なコンテンツを生み出す可能性もある
プラスとしては、AIは創造的表現を促す新たなツールとひらめきを提供し、それによってアーティストは新しいジャンル、スタイル、技法、メディアの組み合わせなど、ほかの方法では不可能な表現や困難な表現を探求できるかもしれません
AIはクリエイティブ市場にいっそう競争と飽和をもたらし、人間のアーティストが注目を集めて自分の作品から世間の認知や収入を得にくくなる可能性もあります
OpenAIは自社のツールとサービスの利用法を「利用規約」と「利用規定」で定めています。GPTツールを使う際にはこれらの条件に同意する必要があり、そこには制限や義務が含まれます。(中略)GPTツールの生成物を公に使用する場合には、OpenAIとGPTのクレジットを表示する必要があります
GPT-4を仕事で使う際の3つの基本原則
1.GPT-4を全知全能の神ではなく、大学生の研究助手のように扱う
2.自分の役割は大工ではなく、映画監督だと考える
3.とにかくやってみる!
GPT-4や、私がパートナーを務めるGreylockが投資しているTomeといったツールを使えば、AIがアイデアや文章をイラストにするのを助けてくれるため、妙案をかたちにするのが容易になる
AIは、求人票や履歴書などの採用資料のデータを使うことで、大卒資格はなくてもその仕事に必要なスキルや経験を備えている候補者を特定する手助けができます
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基本、人類を進歩させる存在として、ChatGPTを論じており、ポジティブな未来を感じさせる内容です。
正直、GPT-4が著者との対話で生み出した創作のレベルの高さには、舌を巻きます。
供給が増えて、価格下落圧力がかかることや、使用に関するルールが創作に与える影響など、これからコンテンツ業界に起きるであろう変化についても明確に論じられており、じつに示唆に富む内容でした。
ぜひ、読んでみてください。
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『ChatGPTと語る未来』リード・ホフマン、GPT-4・著 日経BP
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4296001604
<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0C84T14SF
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◆目次◆
日本語版序文 伊藤穰一
はじめに 気づきの瞬間
第1章 教育
第2章 クリエイティビティ
第3章 司法と正義
第4章 ジャーナリズム
第5章 ソーシャルメディア
第6章 仕事が激変する
第7章 仕事で駆使する
第8章 ハルシネーション(幻覚)
第9章 知識人との対話
第10章 ホモ・テクネーー技術を生み出し使える人間
まとめ 21世紀の分岐点
謝辞
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