【ハーバード成人発達研究の成果】
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本日ご紹介する一冊は、TEDトーク歴代ベスト10(2023年7月時点で2430万回再生)、ロバート・ウォールディンガー教授による「What makes a good life?」の待望の書籍化。
著者は、ハーバード大学医学大学院・精神医学教授で、マサチューセッツ総合病院を拠点とする「ハーバード成人発達研究」の現責任者と副責任者です。
「ハーバード成人発達研究」は、ハーバード大学が84年にわたり追跡調査してきた、幸福追求のための研究。
昨今の幸福論で引用されるあらゆる話がこれ一冊にまとまっており、現時点でわかっている人間の幸福の条件を短時間でおさらいすることができます。
幸福な人生の実現には、人間関係が大事だということ、選択肢のある人生が必ずしも幸せとは限らないこと、今、ここへの「注意」が人生を豊かにするということ…。
残念なことに、書かれている原理原則は、広く人口に膾炙したため、目新しく感じられないかもしれませんが、個別のケースやアドバイスを見て行くと、より詳細に幸福になるためのヒントが見えてくると思います。
パートナーや家族とどういうコミュニケーションを取るといいのか、間違った時にはどう軌道修正するといいのか、有用なアドバイスが示されており、じつに勉強になります。
日々の生活が仕事に偏りすぎて、バランスを失いかけた時に、ぜひ紐解きたい一冊ですね。
経験上、若い頃本当に忙しい時には、なかなかこういうアドバイスは耳に入らないものですが、ちょっと一段落した30代後半や40代前半に読めば、大切なものを失わずに済むはずです。
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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まさに困難や苦労こそが、豊かな人生ーー幸せな人生ーーをもたらす
人は「本当に自分のためになる物事」を把握するのがとても下手
五〇歳のときの人間関係の満足度が高い人ほど、(精神的にも肉体的にも)健康な80歳を迎えていた
「他人に与えるものが多いほど、自分が豊かになる」(老子)
現代社会では、人が幸せに生きること以外の事柄が優先されすぎている
ヒトの脳は、既知の宇宙における最も高度にして神秘的なシステムだが、長続きする喜びや満足を求めることに関しては、判断を誤ることが多い
選択肢のある人生が幸せとは限らない
乗車前の段階では、「見知らぬ人に話しかければ不快な経験になるだろうから、黙って過ごすほうがはるかに快適に過ごせるはず」という予測が圧倒的多数だった。自分が何をすれば幸せな気分になり、何をすればみじめな気分になるかを予測したわけだ。しかし、現実は予測とは正反対だった
自分の意志では変えられないことに執着するとみじめになる、とエピクテトスは述べた
トルコのことわざにもあるように、「いい仲間と一緒なら、どんな道も長くない」
他者との交流の頻度と質こそ、幸福の二大予測因子
他人への興味という小さな種を育てるには、いつもより思い切った会話を切り出す必要がある。「この人はどんな人で、何を大切にして生きているのだろう?」とわざわざ考えてみること
頑固さが人を脆弱にする
子どもの巣立ち後の夫婦関係の満足度の上昇が大きいほど、寿命も長かった
家族や親戚と強い絆を育む3つのルール
1.まず自分と向き合うこと
2.ルーティンを大事にすること
3.家族の一人ひとりが埋もれた宝物のような価値をもっていることを思い出そう
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巻末に、膨大な量の参考文献と原注が付いており、より詳しく研究内容を知りたい方にも、きちんと対応しています。
本書を機に幸福研究に目覚めた方は、ぜひ活用してみてください。
本書を読む限り、幸福になることは、何も難しいことではない。
どちらかというと、幸福を妨げるものの魅力に抗うことが、難しいのかもしれないなと思いました。
良い人生を送りたい方は、ぜひ、読んでみてください。
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『グッド・ライフ』ロバート・ウォールディンガー、マーク・シュルツ・著 児島修・訳 &books
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◆目次◆
はじめに
第1章 幸せな人生の条件とは?
第2章 なぜ人間関係が重要なのか
第3章 紆余曲折の人生を俯瞰して見てみよう
第4章 ソーシャル・フィットネス
第5章 人生への最高の投資
第6章 問題から目を背けずに立ち向かう
第7章 パートナーとのグッド・ライフ
第8章 家族のグッド・ライフ
第9章 職場でのグッド・ライフ
第10章 友情とグッド・ライフ
結 論 幸せになるのに、遅すぎることはない
謝辞
原注
参考文献
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