【歴史を変えた広告コンセプト】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4296116037
本日ご紹介する一冊は、小学館「ピッカピカの一年生」、サントリーローヤル「ランボー」などの名広告で知られる名クリエイターの杉山恒太郎氏が、歴史に残る名広告を選び、解説した一冊。
取り上げられているのは、いずれも歴史を変えた名広告で、そこには新しいコンセプトのヒントがあります。
「Think small.」(フォルクスワーゲン)
「SWOOSH」(ナイキ)
「1984」(アップル)
「Think different.」(アップル)
「トリス」(サントリー)
「ピッカピカの一年生」(小学館)
広告が出された時代背景と、何が革命的だったのかの解説は、今、イノベーションを起こそうともがいている人々に、きっと前向きなヒントを与えてくれると思います。
著者は、1章の冒頭で、こんなことを述べています。
<歴史に学ぶことは大切です。「振り向けば最前線」とはうまく言ったもの。時間軸では過去であっても、知らなければすべてが新しい。スティーブ・ジョブズのように時代をつくってきた人は、新しいものは歴史の中からしか生まれないことを知っていました。歴史に学ぶから、歴史を変えるものが生まれる。そこには宝の山があります>
これこそがまさに本書を読むべき理由で、読む際に、以下の3つに注目すべきと著者は述べています。
「アレゴリー(寓話)」
「アナロジー(類比)」
「メタファー(隠喩)」
巧みな説得を行うために先人たちは、この3つを駆使していた。
ここに注目すれば、より詳細なヒントが見えてくるはずです。
さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
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【Think Small.】(フォルクスワーゲン)
最初の広告は、「Lemon.」(1959年)。ビジュアルには、ごく普通の“ビートル”の写真が誌面いっぱいに掲げられ、そのすぐ下には「Lemon.」の文字、なんと英語のスラングで「不良品」を意味する。そして、ボディーコピーではこう語る。「このフォルクスワーゲンは船積みされませんでした。車体の1カ所のクロームがはがれ……K・クローナーという検査員が発見しました。(中略)何台ものフォルクスワーゲンが、到底、肉眼では見えないような外装のかすり傷のために不合格となりました」
(「Think Small.」を制作した)コピーライターのジュリアン・ケーニグは、アイデアを考える過程で、広告の掲載誌が主に経営者に愛読されていた『フォーチュン』誌であると知り、経営者の常識だった“Think big.”への挑戦として「小さいことが理想」という着想を得た
【SWOOSH】(ナイキ)
ナイキの驀進を支えたスウッシュは、世界的ブランドとしての成功にロゴタイプが果たす役割と重要性を証明した好事例だ。それまでは静的だったロゴタイプに「モーションロゴ」といわれる動的な演出を加えた先駆けでもあり、その大成功が、ロゴを使う動画時代の幕開けのひとつになった
【ABSOLUT VODKA】V&S
広告とアートの結婚といえば、アブソルートウォッカの広告だ。1979年、創業100周年を機にスウェーデンのプレミアムウォッカはアメリカを中心に世界市場に拡販開始、ボトルデザインも変更、商品名もAbsolute Pure Vodkaから商標の問題でAbsoluteの最後のeを削除、シンプルに「ABSOLUT VODKA」となる。そして新ロゴのため力強いフォントも開発、ブランドの世界観を構築し、そのボトルを撮影したシンプルな広告展開が評判を呼んだ。(中略)広告はその商品を甘い糖衣で包むことだと思われがち。でも、それは手段であって、その商品が優位に立てる場所を市場の中に探り、新たにその商品のポジションをつくること(リ・ポジショニング)が広告のやるべき本来の主目的だ。アブソルートは、その手段としてアートをフル活用し、目的である独自の社会的ポジションをつくることで成功した
インサイトを探すチカラは、実は決して合理的には生きていない人間ってやつを理解することなんだろう
優れたブランドは、自分が愛するものについて語る
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クリエイターたちの挑戦の歴史を読んでいるようで、じつにワクワクする内容です。
社会に新しいものをもたらしたい起業家、クリエイターには、ぜひ読んでいただきたい一冊ですね。
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『世界を変えたブランド広告』杉山恒太郎・著 日本経済新聞出版
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4296116037
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◆目次◆
1章 ブランド広告の殿堂
2章 21世紀のブランド・イノベーション
3章 僕をインスパイアした日本のブランド広告
4章 すべての広告は“パブリックサービス”である
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