【驚きの一冊。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797680903
本日ご紹介する一冊は、YouTubeで登録者数20万人を超える、音楽解説のプロ、ドクター・キャピタルさんによる一冊。
著者は、中学~高校時代に家族が日本人の学生のホームステイを受け入れたことからJ-POPに詳しくなり、やがてバークレーでJ-POPの専門家として民族音楽学の修士を取得したという、変わった経歴の持ち主。
現在は、南カリフォルニア大学で音楽教授として教鞭を執っており、たまたま氏の授業を履修したアンジェラ・アキさんに勧められて、曲解説を始めたのが、ユーチューバーになるきっかけだったそうです。
ユーチューバーデビューしてからは、その演奏力、歌唱力と音楽解説の素晴らしさでたちまち人気を博し、現在に至っていますが、なるほど、YouTubeを見て、本書を読むと、氏のすごさと面白さが伝わってきます。(アメリカ人がJ-POPを関西弁で解説するインパクトがすごい)
氏が解説したKing Gnuの「白日」、サカナクションの「新宝島」はともに100万回再生を超えており、米津玄師の「Lemon」も85万回再生を記録しています(2022年12月1日現在)。
実際に動画を見て、本書でさらに詳しい解説を読むと、氏がいかに「人を動かす」音楽の原理を理解しているか、よくわかると思います。
ビジネスにおいて、人の心を掴むことは最重要課題のひとつですが、本書で解説される「リズム」もその大事な養素のひとつと感じています。
人の心を掴んで離さない音楽と、そうでない音楽の違いは何なのか。具体的かつ実践的な解説で、素人でも興味深く読むことができると思います。
さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
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音楽の3養素:
リズム、メロディ、ハーモニー
つねに危険と隣り合わせの自然環境で進化してきたわれわれ人類は、生き物っぽい存在感に反射的に注意を引かれます。
音楽にも生き物らしさのある表現と、そうではない表現があります。たとえばひとつのコードの上でメロディが「ドレドレドレドレ……」と同じ音量と音色で、完全に均一なリズムでコピー&ペーストされて、一切の変化なしに繰り返される表現は、悪いとはまったく思いませんが、あまり生き物の気配がしない表現だと思います
意識して聴かなくなったときに突然リズムやコード、音色、音量、メロディが意外な音に変化すると、背後で「ポキッ」と音がする例のように、その音楽に反射的にリスナーの注目を引く効果が生まれます
ヒット曲が持つ「4つの条件」
1.生命力(LIFE)
音が生き物のように予測不能な動きをして、人々の注意を引きつけるか?
2.魅力(APPEAL)
大勢のリスナーが安心して聴くことができ、思わず近づきたくなるか?
3.一体感(IMMERSION)
音楽が表現する感情の物語に、リスナーの気持ちが共鳴するか?
4.恩恵(REWARD)
楽曲が期待通りの気持ちにさせてくれて、「聴いてよかった」と思えるか? もしくは、良い意味で期待を裏切り、想定した以上の気持ちにさせてくれるか?
ほとんどのヒット曲は、生命力を感じるリズム遊びを、4拍子の魅力によって支えている
リズムと歌詞の表現性がフィットすると、歌詞にこめられたメッセージを感じやすくなります
Superfly<愛をこめて花束を>のサビは7小節という面白い長さですが、質問と回答のリズムの型の良い例です。サビの前半の3,4小節目で「理由なんて訊かないでよね」と歌っていますが、比較的音節が多く、リズムが複雑で物語の終わりが見えません。これを回収するのが最後の7小節目です。「照れていないで」と少なめの音節でリズムのアクセントを4分音符のオンビートに置いています
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昔なら、「音楽の話を本でされても」という話だと思いますが、YouTubeがある今は、ちょっと違う。
YouTubeで曲を聴きながら本書を読むと、昭和・平成のヒット曲の秘密が、驚くほどよくわかります。
人間の心を掴む「音の秘密」がわかれば、マーケティングのヒントが見えてくる。
ぜひ、読んでみてください。
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『ヒット曲のリズムの秘密』ドクター・キャピタル・著 集英社インターナショナル
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797680903
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◆目次◆
はじめにーーすべての道はリズムに通ずる
第1章 ヒット曲が持つ「4つの条件」
第2章 リズムってなんやねん
第3章 リズムの生命力(LIFE)
第4章 リズムの魅力(APPEAL)
第5章 リズムの一体感(IMMERSION)
第6章 リズムの恩恵(REWARD)
第7章 4つの条件の実践解説
おわりに
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