【現実を直視せよ。】
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ビジネスの世界では、「お客様を知る」ことは必須の作業ですが、なぜか日本人は「良いものを作れば売れる」という考え方をしがちです。
だから、モノ作りではアップルやサムスンの後塵を拝することになりましたし、ロンドンでは、本格博多ラーメンのお店にお客さんがいなくてガラガラなのに、Wagamamaラーメン(日本人にはまずく感じる)が大人気なのです。
本日ご紹介する一冊は、この日本人の「クール」と外国人客の「クール」のズレを正すべく書かれた一冊。
著者は、アメリカ・ニューヨーク州生まれの国際コミュニケーション・コンサルタントで、2016年から内閣府公認のクールジャパン・アンバサダーを務めているベンジャミン・ボアズ氏です。(2022年10月より名称が変わり、クールジャパン・プロデューサー)
そもそも「クールジャパン」という名称自体が自画自賛で違和感がある、“Made in Japan”のブランディングは不要、外国人観光客はゆるキャラには興味がないなど、歯に衣着せずに厳しい指摘をしており、関係者は、ぜひ読むべき本だと思います。
反対に、今後どうすればいいのかのヒントもあり、3章の「ビジネスにおけるクールジャパンの成功例」や、4章にまとめられた外国人向けの翻訳のヒントは参考になります。
大仏は、「Dai-butsu」ではなく「Big Buddha」と訳すべき、「重要文化財」を「Important Cultural Property」と訳すだけでは不十分、QRコードに馴染みのない外国人に対しては、「Pointyour smartphone camera here for more information」のようなメッセージが必要など、かゆいところに手が届く指摘がいくつもあり、観光ビジネスに関わる方は、必読の内容です。
さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
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最近では、コンテンツ産業の中心が国外に移りつつあるように思えます。アニメの制作が海外に委託され、Netflixのような外資系企業が日本のコンテンツ業界をコントロールしていく中で、かつて日本のクールの象徴だったものが、もはや日本にはない可能性さえ出てきています
自分たちがこだわっているマイ・ジャパンの観点を忘れなければ、インバウンドの数は増えない
日本に関する正確な情報を広めるために、正しいコンテンツである必要はなく、外国人のユア・ジャパンの視点に立った、魅力的なコンテンツである必要がある
この本を書いている間、私は新潟の浦佐でとてもユニークだと思う場所に滞在しました。そこは、250年前に建てられたお寺を利用した民宿「ホタル」です。宿泊客は仏壇のすぐそばに敷かれた布団で寝ることができ、仏像や何百年も前の装飾品が飾られています。宿泊料金は、2名で約15,000円から13名で約45,000円
「この仏像は重要文化財です」という日本語を「This Buddhist Statue is an important Cultural Property」(この仏像は重要な文化財です)と英訳しても、外国人にとっては、特に意味のある文章にはなりません。なぜなら、彼らは日本における重要文化財という言葉の意味を知らないからです(中略)「重要文化財」の翻訳には、少なくとも「日本政府が文化的、歴史的に価値のあるものを選んだ」という説明が必要
良い翻訳のコツはインパクト重視
アメリカのお客が喜ぶコンテンツを作りたいのであれば、アメリカ市場向けの執筆経験のある人を雇えばいい
「運賃前払い」の訳
「Please pay as you board.」
(搭乗時にお支払いください)
国際的なイベントは、あくまでも国際的であるべきです。企画も、制作も、観客も、日本以外の要素を取り入れるべき
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惜しむらくは、横書きでかつ日本語がこなれていないため、ちょっと読みづらさを感じること。
英文が入るので仕方なかったのかもしれませんが、著者自身の主張に従って、UXを整えていれば、もっと多くの日本人に伝わったのではないかと思い、ちょっと悔やまれます。
ただ、書かれている内容は至極もっともで、クールジャパンに関わる方、観光・飲食・宿泊等のビジネスに関わる方は、ぜひ読んでおくべきだと思います。
ぜひ、チェックしてみてください。
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『日本はクール!? 間違いだらけの日本の魅力発信』ベンジャミン・ボアズ・著 クロスメディア・パブリッシング
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◆目次◆
序章 完璧を売り込む
第1章 日本ではなく「ジャパン」
第2章 マイ・ジャパンからユア・ジャパンに渡る
第3章 ビジネスにおけるクールジャパンの成功例
第4章 他人の興味を活かせばいい
第5章 クールジャパンってそもそも何?
第6章 クールジャパンの本当の姿
第7章 国や組織ができること
第8章 クールジャパン庁を設立せよ
終章 日本再発見
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